太陽光で駆動の海洋監視長期在空無人機

仏のThales社と米新興企業がパリで披露
全幅がB-747サイズで海洋監視レーダー搭載
設計上は数か月継続監視可能
機体は安価で運用コストはライバルMQ-9の10-20%とか

6月18日付Defense-Newsが、同日パリ航空ショーで仏軍需産業Thalesと米国のstartup企業Skydweller Aero社による提携発表会見が行われた、製品名「Skydweller」との「数週間から数か月連続在空可能な太陽光駆動の無人海洋監視機」プロジェクトについて取り上げていますのでご紹介します

両社が発表した機体「Skydweller」の構想は・・・
●全幅がB-747サイズの大型無人機に太陽光パネル17000個以上を搭載して400kgのペイロードを可能とし、現在フランス海軍が運用している有人海洋哨戒機「ATL2:Atlantique 2」が搭載のレーダーを改良したAI制御の海洋監視レーダーを搭載

●太陽光を駆動エネルギーとし、数週間から数か月の連続紹介飛行を目指す。ただし当初は90日間の連続哨戒を一つの目標とする

●搭載する海洋監視レーダーはThales社製の「AirMaster S」(Xバンドを使用するactive electronically scanned array radar)で、仏海軍機が現在搭載中のレーダーとは異なり、捜索半径200㎞の海洋監視に特化したレーダーで、AI活用データ処理により探知目標の選別&分類を行い、真に必要な情報詳細のみを提供して地上操作&監視員へのデータ送信量を抑え、消費電力を抑制する。

●太陽光駆動のため、米国製MQ-9に比して格段に安価で、運用コストも1/5~1/10程度に抑制可能と想定しており、既存マーケットを大混乱させるだろう(It will be very disruptive)
●なお「Skydweller」は太陽光をエネルギー源とすることから、北緯及び南緯40度以下の緯度で使用可能で、北極や南極地域では夏期のみ連続飛行可能ながら、冬季には連続飛行は1日が限界

●両社は軍事需要を念頭に同プロジェクトを開始したが、上記の特徴から、欧米諸国軍のほか、各国の国境管理担当機関や民間の緊急対処サービス企業から多くの問い合わせを受けている
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MQ-9に正面から勝負を挑み、米国のスタートアップ企業と協力する仏Thales社の心意気を讃えたいと思います。

一方で、B-747旅客機並みの全幅に太陽光パネルを大量搭載して電力確保するにしても、大電力が必要と考えられる海洋監視レーダーをAI搭載で駆動させ、「どの程度」の性能が確保できるかが気になります

太陽光利用無人機等の記事
「米陸軍がアジア太平洋に投入」→https://holylandtokyo.com/2024/11/19/6482/
「大型無人機64日間連続飛行」→https://holylandtokyo.com/2022/08/30/3585/
「世界記録更新し飛行中」→https://holylandtokyo.com/2022/08/02/3503/
「宇宙太陽光発電エネルギーの電磁波伝送」→https://holylandtokyo.com/2021/12/27/2567/

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