米陸軍は長射程兵器で2023年から変わる

2023年にアジアと欧州の両正面ですべてが変わると
射程1000nmの方に加え、中射程の対艦・対地兵器を

PrSM.jpg4日、Defense-Newsのインタビューに答えた米陸軍長射程精密火砲近代化担当のJohn Rafferty准将は、2023年には米陸軍の中国やロシア対処のパラダイムシフトにつながる、長射程から短射程までの様々な兵器を提供開始すると語り、年初に終えた分析の結果、特に中射程(500-2000㎞)部分に米陸軍の弱点があるとも述べました

同准将は対中国を例に、射程が重なる様々な兵器を保有することで、それら様々な射程の兵器を中国正面の様々な場所に機動的に配備することができ、中国A2ADの目標選定を混乱させ効果を減衰させることができると説明し、多様なミサイルや砲の追求背景を説明しました。対ロシアには「縦深性をもってリスクを与える:risk in depth」と語っています

PrSM4.jpg以前ご紹介した「射程1000nm」の砲開発をはじめ、国防省のSCO(Strategic Capabilities Office)が進める移動目標対処ミサイル(Cross-Domain ATACMS:陸軍戦術ミサイルシステム)など様々な兵器名が登場し、頭が混乱するのですが、米空軍幹部が地上部隊の長射程兵器偏重は誤りだと訴える中でも、地上部隊の「長射程兵器追及」の動きは海兵隊も含め加速度的に進んでいます

米空軍幹部が懸念する「本格紛争では2~4万個の攻撃目標が想定されるが、それらに高価な長射程兵器だけで対処すると破産する」との主張にも一理あり、何が正しいのか、だれが米軍全体を統制しているのか見えない状況ですが、とりあえず米陸軍の取り組みを紹介しておきます

8日付Defense-News記事によれば
●極超音速兵器(hypersonic missiles:射程不明)
3軍共有の飛翔体ボディー試験を2回実施し成功。2023年配備開始を目標に、米陸軍はランチャーとの適合を図る等の取り組み中

●PrSM(Precision Strike Missile:射程500㎞)
PrSM3.jpg2023年配備開始を目標に開発中
—現在は海上を移動する艦艇攻撃能力付与や、破壊力アップのための研究開発を近未来の焦点に取り組んでおり、後に射程延伸に取り組もうとしている。またIADS(融合防空システム)の拡張(emitting Integrated Air Defense Systems)と合わせ、米陸軍研究機関が取り組んでいる「シーカー」試験とともに良いスタートを切っている
—米陸軍首脳、産業界、議会関係者は、2025年までにPrSMに「Land-Based Anti-Ship Missile」の「シーカー」を導入し、既存のランチャーから発射が可能になれば、米陸軍の中心装備になりえるとして、検討を加速するよう議論している
—また最近技術的課題で開発の遅れが報じられたが、国防省のSCO(Strategic Capabilities Office)が進める移動目標対処ミサイル(Cross-Domain ATACMS:陸軍戦術ミサイルシステム)の「シーカー」にも、米陸軍は関心を持っている

●中止の「Mobile Intermediate Range Missile」射程500㎞以上
2020年度予算に計上されたが、開発に長期間必要だとの理由で2021年度予算で中止された「Mobile Intermediate Range Missile program」であるが、米陸軍の緊急能力技術獲得質(RCCTO)は、より迅速に進め2023年までにプロトタイプを如何に完成させるかを再検討している
●射程1000nmの長射程砲(strategic long-range cannon)
strategic long-range.jpg—(2023年に技術的な可能性を見極めるとされている本兵器は、)年初に終えた分析でもその必要性が導かれている。分析は射程距離だけでなく、移動容易性、残存性、破壊力等々についても包括的に検討した結果である
—この砲開発は、依然として米陸軍の近代化検討の中で、科学技術面で第一優先である。これまでにない挑戦だが、まだ時間はある
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米空軍は、ウォーゲームやシュミレーション結果を踏まえ、長射程兵器だけでは勝てないと主張し、地上部隊の動きに警鐘を鳴らしつつ、安価な爆弾を目標に運搬可能なステルス爆撃機等の突破型装備への予算獲得を狙っているのですが、高価な長射程兵器だけでは弾が不足することも確かです。そのあたりの考え方に今後注目したいです

一方、このような方向に米軍が進むとき、日本はどうなるの???・・との疑問がわきますが2019年5月にCSBAが発表した「「海洋プレッシャー戦略」に沿うならば

PrSM2.jpg長射程攻撃能力を備えた米軍の「アウトサイド部隊」の反撃攻撃態勢が整うまで「インサイド部隊」主力となりそうな日本など同盟国軍が、中国の緒戦での侵略「既成事実化」を防ぐため、カモフラージュ・隠蔽・欺瞞などの自己防御手段と強靭さを備えたミサイル部隊と電子戦闘で粘り強く持久することが求められます・・・。まんぐーすはこのレポートに、未だに唖然、茫然自失の気分ですが、どうやらこの考え方が主流のようです

「海洋プレッシャー戦略に唖然」
https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-06-13

米陸軍の射程1000nm砲と極超音速兵器開発
「射程1000nmの砲開発の第一関門間近」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-10-15
「射程1000nmの砲を真剣検討」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-01-26-1
「極超音速兵器の開発状況」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-08-15-1
遠方攻撃を巡り米軍内に不協和音
「遠方攻撃をめぐり米空軍が陸海海兵隊を批判」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-05-22
「米空軍トップも批判・誰の任務か?」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-04-02
「海兵隊は2つの長射程対艦ミサイルを柱に」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-03-06
「中国対処に海兵隊が戦車部隊廃止へ」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-03-25

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