最終的契約交渉は今後数週間で:反対の独を説得したか?
既に米国が40機の新型 F-16と79機分の近代化改修キット提供承認済
F-35 計画から排除されたトルコが旧式F-16約200機の更新に目途か
トルコは約200機の旧式 F-16の後継に関し、約100機をF-35に更新し、残り約100機(現在は79機)を能力向上する構想を念頭に、F-35 共同開発国に加わっていましたが、2019年のトルコによるロシア製S-400防空システム導入決定で、トルコ防空を支えてきた西側諸国が猛反発し、トルコは当時のトランプ政権により同年9月F-35計画から排除されました。
その後トルコは、ロシアのSU-57Eに興味を示したり、国産ステルス戦闘機TF-X開発を掲げたりしましたが話は進まず、また 100機のF-16能力向上についても米側との交渉がとん挫していました。
ただ、NATO 唯一のイスラム国であるトルコとの関係は米国にとって重要で、欧州 NATO 諸国(ドイツ、ベルギー、オランダ、イタリア、トルコ)による「米国戦術核兵器シェアリング」任務の件もあり、更にトルコからのF-35部品調達の完全脱却も時間が必要等の点から、2021年10月に「米がトルコに F-16売却提案」との報道が出回りました。
その後の紆余曲折は細部不明ながら、2024年1月下旬に、スウェーデンのNATO 加盟に反対していたトルコが賛成すると米国政府に約束したタイミングで、米国務省が40機の最新 F-16と 79機分のF-16近代化改修キットを約3兆4000億円で売却することを承認したと発表され、今回の Eurofighter 導入に向けた覚書に至っています。(なお Defense-News は、トルコが40機導入予定とのメディア情報を紹介しています)
23日の覚書署名に関する英側説明によれば、Eurofighter共同開発国のワークシェア協定に基づき、機体の37%相当を英国が製造し、残りは他の共同開発国で分担し、最終組立は英国Warton の BAE Systems 工場で実施予定とのことで、BAE Systems 社も「両国政府と緊密に協力し、機体と関連機材の正式調達契約を締結する予定だ」と「ほぼ決着済」のような雰囲気を醸し出しています
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これまでの経緯や報道情報を総合すると、トルコが計画していた 100機のF-35 の代わりに、最新 F-16 と Eurofighter を各40機づつ導入することで決着しそうです。
記事によれば、Eurofighter共同開発国にとって推計約7200億円のビジネスで、英国は今後数年間、Eurofighter関連雇用 2万人分を確保することになるということで、米国としては一歩引きさがった様なディールの気も致します。(大筋はバイデン政権時に決まっていたのでしょう)
更にご参考まで:Eurofighters(英独西伊の共同開発)の導入状況
・英国 159機
・独 70機(追加で 40機発注済)
・スペイン 70機(追加で 48機発注済)
・伊 95機(追加で 17 機発注済)
・サウジ71機
全く別の視点ですが、記事はトルコのライバルとして領有権を争うギリシャを取り上げ、
ギリシャ空軍の戦力を紹介しています
・仏ラファール
・旧式 F-16とミラージュ 2000
・驚きのF-35 発注済
トルコのF-35 計画除外とその後
「米が最新 F-16と改修キット売却承認」→https://holylanctokyo.com/2024/02/05/5511/
「F-35代替で F-16 提案か?」→https://holylandtokyo.com/2021/10/20/2357/
「トルコへの F-35部品依存」→https://holylandtokyo.com/2020/10/14/432/
「トルコをF-35計画から除外」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-07-17

