イージスアショア撤退の日本にそれでも提言

日本の環境では元々BMDは困難
イージスアショアも問題はあるが次善の策だったはず
それでも中止し無駄投資するくらいなら・・・

Clark.jpg6月26日付Defense-Newsは、イージスアショア導入中止を決定した日本に対し、もともと日本の環境からすれば困難(ultimately unsuccessful attempt)なミサイル防衛に、より非効率な投資を行うのではなく、これを機会に、中国や北朝鮮から同時多数攻撃を受ける前提を踏まえ、抑止力を少しでも高める包括的な航空ミサイル防衛全体(comprehensive approach to air and missile defense)を考えて投資すべきと提言する、ハドソン研究所(前CSBA)Bryan Clark研究員らの寄稿を紹介しています

冒頭から非常に難解な紹介になってしまいましたが、まんぐーすなりに解釈して説明すると、イージスアショアの発射するSM-3迎撃ミサイルが地上に落下しないように改修等の方向では、もともと日本の環境からすれば所詮困難なミサイル防衛投資が更に非効率になるから、少しでも中国などへの抑止力を高めるため、総合的な防空能力強化投資にこれを契機に目を向けては・・・との助言のよう思います

Aegis Ashore1.jpg更に言えば、住民への配慮といったよくわからない理由(unfoundedな懸念)で(問題があっても手段の中では)効率的なイージスアショアを中止し、住民対応に無駄に投資するより、策源地攻撃オプション採用が難しいなら、より大きな視点で包括的に防空システム全体の能力向上に投資すべきだとの提言と解釈しました

提言自体は総花的で、どこまで実現性があるのか専門知識不足でよくわかりませんが、大量の弾道ミサイルや巡航ミサイルを保有する中国の攻撃からの防御という「ultimately unsuccessful attempt」に、少しでも合理的な投資方向を見出し、抑止力強化につなげては・・・との無理を承知のアドバイス・・・のようにも感じました

Walton.jpgより広い視点から、日本の航空&ミサイル防衛を見つめる機会であることは間違いないので、基礎に立ち返って提言を眺めてみましょう
Bryan Clark氏は元海軍パイロットで、春まで所属していたCSBAでは、米海軍の今後の態勢について提言し、大型艦艇中心の編成から、無人艦艇を多く取り入れた体制への変換等を訴えていた人物で、エスパー長官も信頼する軍事メディア頻出の研究者ですもう一人の若手Walton研究員が起案でしょうが

提言:日本の航空&ミサイル防衛が追求すべき5要素
分散体制の固定型および移動型各種センサーのネットワーク構築。ここでのセンサーには、日本のイージス艦、米国の衛星、米軍のXバンドレーダー、構想・計画中の長期在空型無人機(弾道ミサイルや超超音速兵器の早期探知追尾用の赤外線センサー搭載)等を含む
Clark2.jpg航空&ミサイル防衛用の迎撃兵器は、より短中射程を重視し、小型でより安価なもので、多数配備可能な迎撃体に焦点を当て追求。現在進められている海上配備のSM-3やSM-6による広いエリアのカバー。PAC-3による緊要都市や基地の防御。また新たな拠点防空システムRolling Airframe Missileの活用。NKミサイルにブースト段階で対処する将来の空中発射兵器などを組み合わせ

エネルギー兵器(高出力マイクロ波兵器、電子線妨害装置やおとり、レーザー兵器)を緊要な防御対象周辺の配備し、有限数な迎撃ミサイルを補完し、短射程で緊要施設を守る
強靭な指揮統制システムで、米軍からの情報を含む各種センサー情報を融合し、より安価な兵器で、より効率的に脅威に対処する
重要軍事施設や基地に対する受動的な防御策の徹底:カモフラージュ、隠蔽、掩蔽、欺まんのほか、施設強化で残像性の高い体制の整備
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Aegis Ashore2.jpg日本の防御態勢を飽和させるだけの十分なミサイルを、中国はもちろん北朝鮮も保有している現実の中で、迎撃ミサイルが24発しかないイージスアショアを2か所に配備しても限界があったのですが、よく理解できない理由でそれも配備中止し、更に非効率な投資をするくらいなら・・・

現有のSM-3や6をたくさん配備し、より安価な短中射程迎撃兵器の追求し、飽和攻撃に対処するエネルギー兵器や電子戦の追求、これら対処兵器をより精緻に指揮統制可能とする強靭なシステムの整備導入、更に防御対象をカモフラージュ(隠蔽・掩蔽)して見つかりにくくする等を考えたら・・・とのお話でした

色々裏のありそうなイージスアショア撤退ですが、「ultimately unsuccessful attempt to prevent successful ballistic missile attacks」な方向に流れていかないよう、注意していただきたいものです

前CSBAのBryan Clark氏関連の記事
「F-35BとC型超音速飛行に制約」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-04-27
「フォード級空母にレーザー兵器を」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-02-05
「CSBA:大型艦艇中心ではだめ」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-01-10
「FA-18から2機の同機を操縦」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-02-05-1
「空母の脆弱性を海軍トップに詰問」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-08-07

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