F-35を双発エンジン型にして「F-55」に
「私がやりたい」F-22 近代化の「F-22 Super」
米空軍や国防省や関係企業は「ホワイトハウスに聞いて」
この発言を受け、米空軍と国防省F-35計画室はコメントせず「ホワイトハウスに聞いてくれ」との姿勢を示し、ホワイトハウスの安保関係部署もコメントを拒否している模様で、
F-35とF-22製造企業であるロッキード社も、「大統領のF-35とF-22への支持に感謝し、引き続き政権と緊密に連携して目的の達成に取り組む」と声明を出したものの、それ以上のコメントを避け「ホワイトハウスにご確認を」姿勢となっています
ついでにエンジン企業でカタール会見に同席のGE 社幹部も、「我々はカタール航空との15兆円($97 bilion)契約署名と視賀行事に来ているだけ」と答え、他に関してはコメント不能と対応しています
更に前空軍長官のKendall氏は「President Trump appears to have been speculating out loud about future airplanes that, as far as I know, don’t exist. 大統領は、私の知る限り、存在しない将来の飛行機について大声で推測していたようだ」と突き放したコメントを出しています。
同日付米空軍協会 web 記事からトランプ発言を拾ってみると・・・
(どのような話の流れで、民航機ビジネス会見の中で戦闘機の話題になったのかは謎で、以下の発言の順序も正確には不明ですが・・・)
●(F-35の Block4 upgradeに言及し、)我々は単純なUp-Gradeを実施している。しかし我々はまた、大幅な Up-Grade にも取り組んでいる。これを「F-55」と呼ぶつもりだ。米軍には F-35をよく検討するよう依頼してある
●(F-55には、)エンジンが2つ搭載される。F-35はエンジンが1つだけで、私は単発エンジンが好きではない。片方が故障したらおしまいだからだ
●我々は F-55を開発するつもりだ。F-35にエンジンを2台搭載する大幅なアップグレードになるだろう。適正な価格が実現すれば・・だが、適正価格を実現しなければならない
●F-22 は世界で最も美しい戦闘機で、(F-22をベースに)「F-22 Super」を開発する予定だ。これはF-22の非常に近代的なバージョンになるだろう。中国は米国製を模倣して中国産の第5世代戦闘機を設計製造しているが、エンジン等はすぐには模倣できないだろう。「F-22 Super」は私がやりたいものだ。
大統領発言に関する同記事のコメントや背景分析
(まんぐーすの邪推も含め・・・)
●F-35にエンジン2基搭載改修は可能?
・現在開発中の「F-35 Block 4 upgrade」に2基目のエンジン追加は含まれておらず、2基目の追加はF-35の抜本的な再設計を意味し、事実上、別の航空機を新規開発するほどの大規模な設計開発となり、恐らく数兆円規模の費用が必要。
・エンジン 2基搭載は、機体重量の大幅増加による機動性や航続距離の大幅低下につながる。
・仮に完成したとしても、F-47戦闘機と競合しながら、ステルス性では大きく劣ることになろう。
●エンジン製造企業が大統領に入れ知恵したのでは?
・F-35とF-22製造のロッキードは、F-47選定でボーイング提案に敗れたが訴訟には出ず、F-35 改良型を提案していく立場を表明し、「NGAD (F-47)性能の80%を、1機あたり約450億円のF-47の半分の価格で実現する」と表明しており、大統領の方向性とは改修規模や経費レベルが全く異なる
・エンジン製造企業のPratt & Whitney(P&W)とGE 社は、当初両方がF-35エンジンを担当し、毎年年間調達を競う方向だったが、2011年にゲーツ国防長官が2企業並行開発は無駄金だとし、P&W社のF135 エンジンが採用され、GE 社のF136エンジンは開発中止になった
・その後、F-35の中間能力向上を狙い、両社に10年間で約2兆円の投資をして、次世代AETPエンジン開発(P&WがXA-101、GE がXA-100)が行われたが、これも最終的に巨額の改修経費(国防省や同盟国や他軍種から否定意見)と、F-35B 型とC型で使用困難であることから不採用と決定した。
・現在2社は約5000億円の子算で、AETP技術をベースにしたF-47用エンジン NGAP(Next-Generation Adaptive Propulsion:AETPより小型の必要がある)を競って開発中だが、F-47が高価すぎてエンジン調達数が想定より少ない見通しで、エンジン企業 2社体制や高度技術者の維持が困難になると、継続的なエンジン開発予算を各方面に訴えているところ。
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「火のないところに煙は・・」のことわざに沿えば、具体的に「F-55」との名称が飛び出すあたりから、それなりの検討が産軍複合体の内部に存在するのかと疑いたくもなりますが、各方面関係者の反応からして、「プラモデル少年的なトランプ」の側面が表面化した事例と聞き流すのが得策かと思います。
まんぐーす的には、最新の戦闘機と防空システムを保有するイスラエルが、フーシ派の安価なドローンやミサイル攻撃に好き放題されている現実を直視し、更にウクライナの状況も踏まえ冷静に考えれば、米空軍幹部も十分に意識しているはずの「脅威の変化」から、「F-47」は有効な投資とは言い難く、ましてや「F-55」や「F-22 Super」など論外だと思います。
開発リスクや開発費用を抑えられる「F-16 Super」や「F-15EX Super」追求で十分じゃないかと思いますけど・・
米国のエンジン産業存続の危機感
「先端エンジン開発継続の必要性訴え」→https://holylandtokyo.com/2024/10/18/6380/
「AETP の F-35搭載を断念」→https://holylandtokyo.com/2023/03/16/4422/
「産業基盤崩壊訴え」→https://holylandtokyo.com/2022/08/24/3562/
F-47 導入発表の関連
「ロ社は反論せず、F-35改修型追求」→https://holylandtokyo.com/2025/04/25/11392/
「海軍/A-XXや同盟国との関係」→https://holylandtokyo.com/2025/04/22/11201/
「F-47は優先度低く予算枠外のはず」→https://holylandtokyo.com/2025/04/03/11185/
「ボーイング製 F-47に決定」→https://holylandtokyo.com/2025/03/24/11099/

