国防長官が米空軍大改革の一時停止を指示

2月6日に口頭指示。既に完了済事項はそのまま
新空軍長官と副長官が承認＆就任し内容を確認するまで
米空軍と宇宙軍は直ちに停止し、説明準備に入る

２月6日、Pete Hegseth新国防長官が米空軍と宇宙軍に指示を出し、新しい空軍長官と空軍副長官が議会承認され就任し、2024年4月に当時のKendall空軍長官が指示した24項目にわたる「空軍大改革：Re-Optimization for Great Power Competition」の内容をレビューし、問題ないことを確認するまで、同改革に関するすべてを「一時停止」するよう命じ、同時に数十の疑問点に回答＆説明するよう求めているとのことです

米空軍省の報道官はこの件を認め、「空軍省は、新しいリーダーが進行中の全ての活動を評価し、国防省の方針指示に準拠していることを確認する機会を歓迎します。必要に応じて、細部実施についての明確な指示を空軍省内に示します」とメディアに対応し、既に米空軍と宇宙軍が国防長官の一時停止指示に沿って動いており、新リーダーへの説明準備にも取り掛かっていると説明しています

まんぐーすはKendall前空軍長官が開始した24項目の改革を「空軍大改革」と呼び、これまでも以下のような記事（一部）でご紹介してきたところですが、背景には「今の空軍省内の状態では、中国との本格紛争に適切に対処できない」との強い問題認識があり、制服組トップのAllvin空軍参謀総長や宇宙軍トップのSaltman大将ともこの認識で一致して開始された大改革です

米空軍が大改革アクションを発表
「大改革の概要発表」→https://holylandtokyo.com/2024/02/16/5579/
「改革の目玉ICCコマンド」→https://holylandtokyo.com/2024/05/23/5873/
「2025年夏の太平洋大演習」→https://holylandtokyo.com/2024/11/13/6465/

米空軍省報道官は、「既に実施された改革措置を元に戻す必要はなく、実施済のプログラムは継続される」と説明し、電子戦やサイバー人材確保のため復活した階級「准尉」や関連の教育コース設置等の実行済施策の逆行はないとしていますが、2月10日付米空軍協会web記事は、例えば以下のような「大改革」の主要メニューは、「一時停止措置で宙に浮く」、「Kendall前長官時は、議会承認と就任まで3か月間を要した」と懸念を表明しています

●大改革の目玉で実行が最も困難とされている、装備品開発や調達の基礎となる新装備の要求性能やプログラム管理の役割を戦闘コマンドや輸送コマンドやGSCから引きはがし、一元的にICC（Integrated Combat Command）へ集約する案件は、ICCの暫定司令部が立ち上がったばかりの状態で一時停止となっている
●2025年夏に予定され準備が佳境を迎えている、部隊の即応態勢強化策の目玉である西太平洋地域を対象とした大演習「Resolute Force Pacific」だが、この一時停止で当初想定されていたスケジュールと規模で実施可能か不透明に

●宇宙軍の長期的なニーズや必要能力や体制を検討するため、2025年創設予定の「Space Futures Command」準備が一時停止になっている。
●まだ机上の検討段階にあったものだが、Air Force Materiel Commandが創設を準備していた「Information Dominance Systems Center」と「Nuclear Systems Center」も一時停止の対象

●教育訓練コマンド（Air Education & Training Command）を廃止し、2025年に新たな「Airman Development Command」を創設する検討準備も一時停止
●現在は空軍戦闘コマンドACC内の一組織である空軍サイバー軍を、戦闘コマンドや輸送コマンド等と同格のメジャーコマンドに「格上げ」する準備も一時停止
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米空軍省や米空軍や米宇宙軍の各担当部署にとっては大変な「一時停止」でしょうが、トランプ政権の立ち上がりの状況からすれば、「多少の混乱は避けられないが、方向性は間違っていない」と思いますし、「USAID」の件など「もっとやれ」と思いますので、いつものように「生暖かく」見守りたいと思います