米空軍が輸送機から攻撃兵器投下試験

様々なタイプの兵器を貨物庫から投下
何でも使って攻撃能力をアップしたい苦肉の策?

palletized munitions2.jpg5月27日、米空軍司令部の新規能力検討チーム(Warfighting Integration Capability cell)の副部長であるClint Hinote少将が、空軍協会ミッチェル研究所のオンラインイベントに登場し、米空軍の攻撃能力増強の一検討として、C-130やC-17輸送機から、パレタイズした精密誘導兵器(細部不明な弾薬・ミサイル?)を投下する実験を1月から行っていると明らかにしました

今後の予算確保の見通しが危ういプロジェクトのようですが、中国などとの本格紛争を考えるとき、攻撃能力が絶対的に不足しているとの問題意識が米空軍にはあり、弾薬庫航空機(arsenal plane)や無人ウイングマンの兵器庫化などの検討や、B-21爆撃機の調達増要求にもあるように、様々な方向で知恵を出している状況のようです

palletized munitions4.jpgただ、この構想は部隊側から出たものではないようで、同少将が技術問題よりカルチャー的に米空軍に受け入れられるかが課題とか、作戦時にどのように指揮統制するかも考える必要があると語っているように、白紙的に様々なアイディアを出す司令部組織と現場の温度差を乗り越えるのも容易ではなさそうです

見通しが明るくない中でも、今後も企業からアイディアを募りつつ、色々試して行くようですので、具体的にどのような兵器を投下しているのかについてほとんど明らかにされていないのですが、厳しい中でも知恵を絞る米空軍の姿勢に敬意を示し、ご紹介しておきます

5月27日付Defense-News記事によれば
27日にHinote少将は、これまで輸送機からの「パレタイズされた弾薬:palletized munitions」の投下試験を、様々なパターンを含めて2回行い、「今後どのようにこの事業を進めていくかについて議論している」と語った
そしてその中では、4月に募集を締め切った新たな技術情報提供に応じてくれた5社からの提案や情報も踏まえて検討していると説明した

palletized munitions.jpg2月にも同様のRFIを出し、その際は、敵の脅威範囲外から大量のスタンドオフ兵器を投下する技術に関してであったが、「我々は如何に大型爆撃機部隊が大きくなろうとも、統合戦力が求める投射量要求はそれよりも大きく、長射程のパンチ力拡大を狙い、あらゆる可能性を追求する一環として輸送機からの投下を検討している」と、様々なアイディアを検討している背景を同少将は語っ
最初の1月28日の投下試験はユタ州の試験場で行われ、特殊作戦部隊のMC-130J貨物庫から、5つの木製パレット(CEP:Combat Expendable Platforms)に搭載した6つの模擬爆弾(ミサイル?)を投下し、その中の4つはCLEAVER(Cargo Launch Expendable Air Vehicles with Extended Range)であった

実験した空軍研究所は質問に対し、長射程巡航ミサイルも投下されたパレットに含まれていたことを認め、5つのパレットを投下高度を変えて投下したと説明している
2回目の実験は2月27日に行われ、輸送コマンドのC-17から、2回のパレタイズ弾薬の投下が行われた模様

palletized munitions3.jpgHinote少将は課題について、予算確保が極めて難しい状況にあることにまず触れ、次に輸送アセットを戦闘機や爆撃機のように戦闘任務に用いる際の指揮統制の難しさに言及し、強力なまとめ役や洗練された指揮統制系統を準備する必要があると述べた
そして更に付け加え、米空軍内にある輸送機からパレタイズされた弾薬を投下することに関する心理的壁、カルチャーバリアーも極めて大きく、技術的なものよりも大きい障害だと表現し
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イベントの映像

主催者側であるミッチェル研究所のデプチューラ退役中将は湾岸戦争時の航空作戦立案者(当時中佐)ですが、大きな戦いでは4-6万個の攻撃目標に対処する必要があるとして、費用面で高価な長射程兵器だけでは耐えられないことから、陸海海兵隊の長射程兵器注力に疑問を呈しています。輸送機からの投下が費用対効果的にも役立つかは不明ですが、対中国では、戦力の拠点が少ないことから、いかにして攻撃力を確保するかが大きな課題となります

C-17-2.jpg米空軍では弾薬庫航空機(arsenal plane)や無人ウイングマンの兵器庫化、B-21ステルス爆撃機の調達増、海軍では平時は少数の有人で運用する有事無人艦艇の導入や攻撃型潜水艦の巡航ミサイル搭載数増、陸海海兵隊の長射程兵器の導入などが耳にする動きですが、中国が米国や同盟国の拠点を弾道ミサイル等で攻撃すれば、たやすく崩れそうな気もします

速度が遅く、敵に狙われたら回避できなく、また目立ちやすい輸送機が、おしりを開いて弾薬を投下する場面が想定しがたいのですが、そんなことは百も承知の米空軍の取り組みで

次期制空機PCAでも攻撃力は課題
「従来型戦闘機は対中国で需要がないかも」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-02-28
「CSBAの米空軍将来提言」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-01-24
「連接重視で航空アセット削減へ」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-01-28
「次期制空機検討は急がない、急げない」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-11-19
「米空軍が次期戦闘機検討でギャンブル」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-10-05
弾薬庫航空機の構想
「米空軍は弾薬庫航空機を継続検討中」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-11-05
「カーター長官が17年度予算案で表明」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2016-02-03
「弾薬庫航空機に向け改修」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-08-13
「同構想とB-52」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-03-12

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