B-21初飛行から観察されたこと12個

初飛行で撮影された映像で専門家が分析
専門的内容で理解不十分もとりあえずご紹介
ご興味のある方は原文でご確認を

B-21 FirstFlightFront.jpg11月22日付米空軍協会webサイトが、同協会月刊誌「Air&Space Force Magazine」のJohn A. Tirpak編集長まとめによる「B-21爆撃機初飛行から学んだ12点」との記事を掲載しましたので、「概要の概要」をご紹介したいと思います。ただ、機体形状や装備に関する極めて専門的な内容もあり、まんぐーすの理解範囲を超えている部分は省略&推定していますので、ご興味のある方は原文をご確認ください

米空軍が初飛行に関する公式な画像や映像を現時点で公開していないため、あくまで「一般マニア」が撮影してネット上に出回っている映像や画像から分析した記事ですが、ご参考にどうぞ。また、関連する機体写真を何枚かご紹介していますが、「B-21 First Flight」でググって頂くと、大量に玉石混交でネット上に流布していますので、ご興味のある方はそちらもご覧ください

1 機体形状全般から
B-21 FirstFlightBELOW.jpg●B-2爆撃機は、地形に沿った低高度飛行も可能にするため「のこぎり型機体形状」に途中で機体形状を変更し、再設計等で数千億円と数年の追加を必要としたが、B-21は単純な「W字形状」で、低高度飛行を想定せず高高度運用を前提としていると考えられる
●B-2は夜間運用を前提とした「暗いグレー色」塗装だったが、B-21は「明るいグレー色」塗装であり昼間運用を想定していると考えられる

2 ニックネーム
●B-2は20機全ての機体に「Spirit of New York」など州の名前を付与していたが、B-21初号機は機首車輪ドアに「Cerberus」とのギリシャ神話の「地獄の番犬」の名が記されており、2番機以降の名称が注目される

3 機体の大きさ
B-21 FirstFlightOr.jpg●初飛行でチェイスしていたF-16戦闘機の大きさと比較して測定したところ、空軍が説明してきたようにB-2より少し小さく、兵器搭載量もB-2より少ない模様だが、従来の専門家推定よりは少し大きく「翼幅140フィート(B-2は172)」「全長55フィート(B-2は69)」程度と推定される

4 ジェット噴射口
●B-2と似ているが、尾部より少し「Set Back」している。また「黒っぽいパネルによる熱放射削減措置:darkened panels indicate some kind of thermal reduction treatment」が確認できる

B-21 FirstFlightB-2.jpg5 エンジンへの補助空気取り入れ口
●地上滑走時にエンジンへの空気取り入れを補完する三角形の扉が開く「補助取入れ口」が2個機体左右に確認できるが、エンジンを4基搭載しているB-2には4個確認できることから、B-21の搭載エンジン数は2基と考えられる

 

6 兵器搭載庫
B-21 FirstFlightWEPBy2.jpg●胴体下部の写真から、エンジン整備時に使用すると考えられる扉2つと、兵器搭載庫と考えられる扉が中央のメイン扉1個と左右の小型の扉2つの計3つ確認できる
●これまでの米空軍発表によれば、少なくともB-21には3種類の兵器(B61-12 重量投下型核爆弾、通常型Stand-in Attack Weapon (SiAW)、核兵器搭載型AGM-181 Long-Range Stand-Off (LRSO) Missile)が搭載されるが、2つの小型扉の兵器庫は、扉が迅速に開閉可能なタイプで、敵防空網を制圧するSiAWが搭載されると推定される

7 ステルス機体の表面
●機体の上面はガラスのような滑らかな機体表面仕様となっているが、下部面はB-2爆撃機のように各構成部位のつなぎ目がテープ・パテ・コーティング等の「seam-sealing techniques」で処置されている。この手法は「技術というより芸術」とも表現される職人技であるが、B-2では非常に維持整備に時間と労力が必要で問題となっている点でもある

8 操舵翼
●B-2と同じく、8つの操縦翼面が確認できる

9 翼内の燃料タンク
●翼の膨らみ具合から、翼端まで相当程度の厚みのある燃料タンクが収納されていると推定できる

10 レーダーを搭載しているか?
B-21 FirstFlightBelUP.jpg●B-2爆撃機は、機体先端部分に搭載されているレーダーを維持整備する際に取り外し可能なパネルが機種部分に確認できたが、B-21にはそれらしいものが確認できない。最近のレーダーは信頼性が向上して維持整備工数も削減されていることから、機体の内側から搭載レーダーにアクセスして整備等を行う構造かもしれない
●一方で、米空軍は「family of systems」での運用を将来コンセプトとしていることから、B-21はレーダーを搭載しておらず、外部からセンサー情報をネットワーク経由で入手する選択をした可能性もある

11と12 レーダー反射装置装着と試験用装置
B-21 Raider1.jpeg●B-21初飛行や今後の試験飛行を通じ、敵国のスパイがB-21のステルス性能(RCS:電波反射率)を測定する可能性があることから、また他機との衝突回避のため、機体のレーダー反射を意図的に増幅する装置が機体に複数装着されて初飛行を行っている
●初飛行時には、飛行速度を計測するための装置を、機体からワイヤーでけん引して飛行していた
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今後も様々な分析が専門家から出ると思いますが、その一つとして提供いたします。繰り返しになりますが、機体形状や装備に関する極めて専門的な内容もあり、まんぐーすの理解範囲を超えている部分は省略&推定していますので、ご注意ください

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