2022年9月に無理やり戦闘任務承認から2年を経て
国内任務や海外訓練を経て、3日前に突然派遣命令
初度配備国内基地への展開準備を中止し国外派遣
11月1日付米空軍協会web記事は、未だに複数の第1級不具合を抱え、代表的な要求性 未達不具合であるRVS (Remote Vision System)の改修が2026年までずれ込む見通しのKC-46 空中給油機が、2022年9月の空軍輸送コマンド司令官による無理やり「できる範囲で実戦投入開始宣言」を受け、米本土での演習&訓練支援やインド太平洋、欧州、南米を中心とした派遣訓練等を続けてきましたが、10月初旬に中東での実戦派遣を命ぜられ現地に到着していると紹介しています
訓練目的での中東派遣は 2022年にUAEのAl Udeid 基地展開等で経験済のようですが、今回の実戦派遣は移動完了 3日前に命ぜられたものらしく、米国内の初配備基地(Peace 州空軍基地 NH州)での部隊態勢確立を当面の目標としていたKC-46部隊にとってもサプライズだったようで、イスラエル VS ハマスにイランが絡んで緊張が増す中東情勢が背景にあると同記事は伝えています
また今回KC-46は第305 派遣給油飛行隊(305th Expeditionary Air Refueling Squadron)として展開しているようですが、派遣指揮官が「今回の展開はKC-46Aの中東での持続的な遠征作戦の基盤を築くものだ」と現地で語っているように、今後数年間は機体や派遣人員をローテーションしながら現地に留まり本格的な実戦運用に従事することが指示されているようです。
ただ305派遣隊を送り出した最初のKC-46部隊は、空軍大改革の柱の一つである即戦力状態を維持すべき「mission generation force element」に指定された部隊であり、搭載燃料増強措置を受け、機内医療&救出装置搭載し、指揮統制等のリンク連接能力強化等も完了し上で、給油作戦計画キット(Deployable Air Refueling Support Hub kit)も現地に持ち込むなど万全の態勢にあり、部隊の土気は高いようです。
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3か月に及ぶ労働者ストライキや従業員1割リストラなど、企業として「崖っぷち状態」にあるポーイング社が製造するKC-46は、冒頭でご紹介したように、既に計画から3年以上遅れており、第1級不具合対策として投入予定の給油遠隔操作装置改良型RVSの導入が、2022年に約束の2025年10月に間に合わず、「2026年にずれ込む。詳細な計画は後ほど」と 2024年4月に説明があってから「梨の礫(なしのつぶて)」の惨状です
不十分な機材を与えられた中でも、現場の兵士は工夫を凝らして緊迫の中東情勢に立ち向かうのでしょうが、その努力には頭が下がります。策はないが、現場がんばれ!
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「RVSは 2025 年まで遅延」→https://holylandtokyo.com/2022/10/14/3741
「無理やり運用開始宣言」→https://holylandtokyo.com/2022/09/21/3688/
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