米特殊作戦軍と空軍特殊作戦車が2022年契約
小型巡航ミサイルBlack Arrowの次回試験を今秋に
10月3日付米空軍協会web記事は、米軍の特殊作戦軍がLeidos社と契約して進める、C-130 特殊作戦機の貨物室から投下&発射する小型巡航ミサイル「Black Arrow」の開発状況を取り上げ、2023年12月の試験成功を受け、今秋にもAC-130から投下&発射する試験を計画していると報じています
しかしながら、輸送機を活用した兵器投射には根強い反対論があります。
米空軍は中国との本格紛争を念頭に、大量の攻撃目標に対応するには、柔軟な発想で多様なオプション検討が不可欠だとし、2020年ころから本件に取り組んでいますが、 有力専門家多数の反対派は、圧倒的に不足する輸送力が対中国作戦の課題なのに、輸送機を攻撃に活用するのは本末転倒で、また、輸送機から投射する高価な誘導兵器に依存するようでは破産すると、口をそろえて強く非難してきたところです
そんな中での「Black Arrow」開発状況は・・・
●Leidos 社は、AC-130への迅速装備に成功した「GBU-69小型滑空弾」と、DARPAと実施したC-130 輸送機から無人機を射出&回収する「X-61 Gremlins program」の経験を基に、 2021年に Black Arrow 小型巡航ミサイルの設計を開始
●同社の状況を見た米特殊作戦軍と空軍特殊作戦車が、2022年にBlack Arrow共同研究開発契約を同社と締結。すべての軍種での将来使用可能を前提に、low-costで多様な任務対応可能で、将来の最新技術導入可能なものを念頭に本格開発着手
●2023年12月、同社は Black Arrowの模擬弾頭搭載ミサイル発射及び貨物室からの投下&分離試験に成功。この試験には米海軍開発&試験センターも協力。
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米空軍は2021~22年に複数回、ロッキード社の協力を得た「Rapid Dragon 計画」で、射程約 1000 kmの空対地長射程ミサイルJASSM-ERを、米空軍MC-130特殊作戦機の後方から投下&発射するデモ試験に成功し、欧州での演習でも訓練発射した実績を残しています
Black Arrow小型巡航ミサイルとJASSM-ER の性能差までご紹介できなくて申し訳ありませんが、今年秋に予定される Black Arrow試験の様子を、軍事メディアや専門家がどのように評価するかに注目したいと思います
輸送機からの兵器投下検討
「欧州演習で初披露」→https://holylandtokyo.com/2022/11/15/3936/
「巡航ミサイル投下&攻撃試験」→https://halylandtokyo.com/2021/12/20/2550/
「Rapid Dragon を本格検証へ」→https://holylandtokyo.com/2020/11/06/380/
「Stand-inとoffのバランス不可欠」→https://holylandtokyo.com/2020/07101/562/
「空軍計画部長が語る」→https://holylandtokyo.com/2020/06/09/619/
「MC-130からパレタイズ兵器投下試験」→https://holylandtokyo.com/2020/06/09/619/
輸送能力や弾薬量の圧倒的不足
「民間海空輸送力活用のための取組」→https://holylandtokyo.com/2022/10/21/3780/
「弾菜不足:産業基盤育成から」→https://holylandtokyo.com/2022/10/19/3758/
「ウ事案に学ぶ台湾事案への教訓9つ」→https://holylandtokyo.com/2022/03/15/2806/