NGAD 用に開発のセンサー・兵器・連接性をF-22に
F-22に最近まで 2030年代退役方針だったのに
8月19日付米空軍協会 web 記事は、2030年代退役予定とされてきたF-22や、莫大な開発&導入コストでプログラムの再検討を米空軍指導層が表明しているF-22後継機の次世代制空機NGADに関し、NGAD 計画の再考により、NGAD用に準備されてきた各種技術を利用した F-22 改修&延命の可能性が高まっていると示唆しています
米空軍の先端航空機開発関係者は、F-22をテスト機体としてNGAD 用に開発してきた多数の機密センサー、接続性向上装備、空対空ミサイルなど兵器は、F-22を活用した搭載試験で成功を収めており、この新技術がF-22の耐用年数を伸ばす可能性があると語った模様です
2021年に米空軍は「4+1」戦闘機計画を発表し、F-22を2030年代にNGADに置き換え、F-35、F-15EとEX、F-16を維持(これで4)し、「+1」としてA-10を考慮した体系を想定していましたが、2024年の現時点では、「+1」のA-10は米議会の理解を得て退役が進み、2030年までには全機が退役する見通しとなっています
また、元々F-22の機体自体は2040年代まで使用可能なものの、1980年代設計思想のセンサーやステルス性から、中国等の最新兵器に対応できないと判断され早期退役判断されましたが、F-22用にOpen Architecture のコンピューティング環境「GRACE」が提案され、新たなソフト導入目途が立ったと、空軍開発関係者は説明しています
米空軍の開発関係者だけでなく、7月に戦闘機族のボスとも呼ばれる空軍戦闘コマンド ACC 司令官に就任したばかりの Kenneth Wilsbach 大将(前太平洋空軍司令官)も、かつて米空軍が2度にわたり米議会に早期退役を要請した32機のブロック 20の初期型F-22について、「非常に有能で緊急事態には必要だ」とまで最近発言し始めているようです
米空軍開発関係者は、F-22維持&近代化改修の取り組みは「F-22が世界最高の制空戦闘機として優位性を維持することを保証するもの」と表現し、一方でF-22に利用される新技術は、NGADなど「将来の全ての航空機開発をサポートする」、「今後のあらゆるプラットフォームで全ての新技術を活用していく」とも語り始めています
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1機ざっくり450億円(F-35の3倍以上)とのNGAD 価格見積もりにKendall空軍長官が言及し、NGAD の要求性能や役割分担の再精査のために「NGAD 計画を数か月保留する」と7月末に発言したと思ったら、間髪を入れず、以前から計画を温めていたかの様に、「F-22 近代化改修にNGAD 用に開発してきた新技術を活用し、それら技術は全ての将来アセットや既存機種にも生かされる」との良くできたストーリーを、「戦闘機族」が展開し始めました
一方で Allvin空軍参謀総長や Slife 副参謀総長らは、ウクライナや中東での最近の戦訓を踏まえ、無人機による「低高度域の航空優勢」が制空の概念を変えつつあるとの危機感から、NGAD への投資を「選択肢の一つに過ぎない」と冷めた目で見ています。米空軍内で今後、戦闘機への投資がどのように精査されていくのか見ものです
米空軍にNGAD あきらめムード
「数か月間保留」→https://holylandtokyo.com/2024/08/06/6185/
「価格低減が必須」→https://holylandtokyo.com/2024/07/19/6083/
「NGADの将来は不透明」 →https://holylandtokyo.com/2024/06/18/6040/
航空優勢概念の再考必須
「2トップが航空優勢再考に言及」→https://holylandtokyo.com/2024/06/07/5938/
2021年当時の戦闘機体系構想
「近未来の戦闘機構想」→https://holylandtokyo.com/2021/05/21/1709/
「戦闘機は7機種から 4機種へ」→https://holylandtokyo.com/2021/05/18/1496/