演習名「REFORPAC(Return of Forces to the Pacific)」
冷戦時代時の「REFORGER(ドイツへの部隊帰還)」にちなみ
8月16日、ハドソン研究所で講演したAllvin米空軍参謀総長が、2月に発表した米空軍大改革(re-optimization for great power competition project)の主要項目の一つである「即応態勢の向上」の一環として、来夏予定の米豪主催の統合多国籍大規模演習である「Talisman Sabre 2025」と並行して、「REFORPAC(Return of Forces to the Pacific)」との演習名の大規模米空軍演習を行うと明らかにしました
米空軍大改革は、「新規装備品構想や開発管理を一手に担う新コマンドIntegrated Capabilities Command創設」と「ACE構想実現のための兵士多能化等を目指した教育訓練体系改革」に、「即応態勢の向上」を加えた大きく3項目から構成されていますが、
「即応態勢の向上」のため具体的に、「新しい戦力造成ローテーションAFFORGEN導入」、「基礎単位の航空団Wingを前方展開即応部隊や基地機能維持部隊等に区分し、各Wingへの要求を明確に規定」、そして「冷戦期のような無通告能力点検・検閲の復活」と「実戦的演習の強化」に取り組むと2月時点で発表されていましたが、細部は不明だった「実戦的演習の強化」について、具体的な方向性が8月16日に初めて明らかにされたということです
米豪主催の統合多国籍大規模演習である「Talisman Sabre」は、2005年が初回の隔年開催の演習で、毎回7月中旬から8月初旬にかけ2週間程度、豪州や西太平洋地域で実施されており、前回2023年時には米豪の他、13か国(Fiji, France, Indonesia, Japan, South Korea, New Zealand, Papua New Guinea, Tonga, the United Kingdom, Canada and Germany。その他オブザーバ参加が比星タイ)から計35000名が参加し、15の主要訓練イベントが実施されています
「REFORPAC」演習についてAllvin大将は
●「REFORPAC(太平洋への部隊の帰還)」と命名した本演習は、冷戦時代の「REFORGER(ドイツへの部隊の帰還)」にちなんで命名した。REFORGERがドイツ国境を越えて押し寄せるソ連軍への備えに設計されたのと同様に、REFORPACは、潜在的な中国との戦いに米空軍をよりよく準備することを目指している
●演習には、主要メジャーコマンドからは米戦略コマンド、北米コマンド、大平洋コマンドが参加し、空軍輸送コマンドも重要な役割を果たす。これら部隊の戦力がアラスカ、ハワイ、グアム、米国本土から展開して約14日間訓練を行う
●演習で取り組む重要な課題は、最近の(ACE構想演習)「Bamboo Eagle演習」でも強調しているように、設備不十分な難しい環境に展開し、敵の攻撃下でも戦力発揮ができるよう運用基盤を整え、燃料や弾薬を確実に届けて任務を継続的に遂行可能な態勢を確立すること
●実際に現地に赴き、一定期間作戦活動を行うことにより、そしてそれを従来より大規模に試験することで、中国との潜在的な戦闘の規模と困難さを体感し、机上では未知だった課題や不足事項を見つける事が狙い
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最近、この米空軍大改革(re-optimization for great power competition project)について記事にすることが多いのですが、最近の中国の経済破綻状況や中国軍への影響を、米国や米国防省や米軍が、どのように分析しているのかが気に成ります
最近の様々な報道やSNS情報からは、習近平の動向が最近つかめなくなっているとか、中国全土で頻発している水害等の自然災害で人民の不満が爆発寸前とか、中国での失業者急増の勢いがすさまじいとか、主要な都市で停電が頻発し始めているとか、各所で公務員や軍人の給料削減や遅配が常態化して組織機能が低下しているとか、尋常ならざる事態が急速に拡大している気配が漂っていますが、どのように米国では評価しているのでしょうか? 気になります
米空軍の大改革アクション推進
「最大の課題はICC創設と運営」→https://holylandtokyo.com/2024/09/03/6230/
「大改革の概要発表」→https://holylandtokyo.com/2024/02/16/5579/
「改革の目玉ICCコマンド」→https://holylandtokyo.com/2024/05/23/5873/