嘉手納ローテーション戦闘機がちょっと判明&追加

ハワイF-22に加え、VA州からのF-22も
F-16は派遣元の2州の州空軍が判明
相変わらず各機種の機数は非公開

F-22 Kadena.jpg5月1日、米空軍嘉手納基地報道官が老朽化で撤退&退役するF-15C戦闘機の短期穴埋めローテーション派遣戦闘機について、4月11日に実施された航空戦力アピールのために滑走路上に各種航空機42機を並べたイベント「Elephant Walk」時点から、当時のハワイ所属F-22に新たに追加でバージニア州Langley-Eustis統合基地からF-22が派遣され、また4月上旬には「派遣元非公開」だったF-16が、South Dakota州とMinnesota州の州空軍(第114戦闘航空団と第148戦闘航空団)からの派遣戦力だと明らかにしました

ただし依然として、各機種の派遣機数については「作戦運用上の非公開情報」だとして言及はなく、4月11日の戦力誇示イベントに参加していた11機のF-22と8機のF-16が、その機数を5月1日時点でも総計で維持しているのかは「?」で、疑い深いまんぐーすは、「Elephant Walk」から数週間経過した現在では、各派遣元から2~6機程度のミニマム派遣規模になっているのでは?・・・と推測しています

F-16 Kadena3.jpg2022年10月に米空軍が突然、老朽化により維持困難になった沖縄配備 40年のF-15C型戦闘機40機を、「今後2年間で」段階的に米本土へ撤退&退役させると発表し、恒久的なF-15の後継配備機は今後検討し、当面は「穴埋め戦闘機ローテーション派遣」で戦力の空白を防ぐ方針を示し、以降のローテーション配備の経緯は記事末尾に列挙する通りですが、 まんぐーすが邪推する米空軍の本音は、「沖縄のような、有事に敵攻撃で即機能停止が予期される場所に戦闘機を置きたくないから、F-15Cの後継に別戦闘機を配備する考えは全くないが、急に戦闘機を撤退すると言うと世間体が悪いから、当面は戦闘機のローテーション派遣と後釜の戦闘機配備は検討中・・・で誤魔化しておこう」だと思います

Kadena Elephant 2024.jpg最終的には、「嘉手納へのローテーション派遣への注目が低下して忘れられかけた頃に、嘉手納への後継戦闘機配備を検討の結果、西太平洋地域への配備戦力全体で代替することとし、嘉手納基地での戦闘機運用については、今後戦力運用上の非公開事項として言及しない」と、コッソリ「2+2」合意文書の説明用資料の添付資料の地図の端っこに、小さな小さな文字で補足説明されて終わりの様な気がしています。でも、根拠の全くない邪推ではありません・・・

米空軍関係者は嘉手納に期待していません(過去記事参照)
Holmes3.jpg●2021年2月、当時の米空軍戦闘コマンド司令官(Mike Holmes 大将)が米空軍主要幹部や軍需産業関係者を前に、「今の戦闘機の航続距離、搭載兵器、展開距離等は、欧州線域ではそのまま将来も通用するが、太平洋線域では距離の問題が克服できない」、「太平洋戦域では、次世代制空機(NGAD)検討において従来の戦闘機のような装備のニーズは必ずしも生まれない」と課題の本質を明確に述べたり、

●2022年11月、関連ウォーゲームに何度も関与しているミッチェル研究所長のデプチューラ退役空軍中将が、嘉手納F-15C/D撤退開始発表時に「嘉手納は対中国有事の際、疑いなく数百の中国軍の精密誘導ミサイル攻撃を受けるので、嘉手納基地の航空機は危機が迫れば他基地に避難する可能性が高い」、「前方プレゼンス維持、同盟国への関与維持、ISR活動の必要性等から嘉手納を捨てることはないだろうが・・」と隠すことなく軍事的合理性を基に語っています

Allvin18.jpg●更に2023年5月の Defense-News は、Allvin米空軍参謀総長とSlife副参謀総長は、統合参謀本部議長にご栄転の前空軍参謀総長と共に、維持費のかさむ F-15やA-10の早期退役を加速し、(アジア太平洋戦域では足が短く活動拠点確保も困難で犠牲も懸念される)F-35 の調達機数も計画より削減し、先端無人機や指揮統制能力強化への投資を推進する案を練って推進している・・・と紹介しているとの情報が数多く出ています

●この流れの原点を遡れば、2009年1&2月号のForeign Affairs 誌に掲載された当時のゲーツ国防長官による「A Balanced Strategy」との論文にたどり着き、中国やロシアや新興脅威国の台頭を念頭に「足の短い戦闘機の役割は小さくなる」喝破した表現に至ります。そしてその頃からチマチマと「戦闘機命派」を批判してきたのですが、力及ばず今日に至るまんぐーすです
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F-22 Kadena2.jpgそれでも米空軍が嘉手納基地への戦闘機部隊のローテーション派遣を定期的にアピールのため報じるのであれば、まんぐーすはしっかり取り上げ、「皆様の注目度が下がらないように(米空軍がコッソリ嘉手納戦力を空洞化させないように)」微力ながらご紹介し続けたいと思います

【ご参考:嘉手納F-15C/D撤退と代替機派遣の経緯】
●2022年11月4-5日にかけ、アラスカ配備の8機のF-22が手納に展開
●2022年12月1日、第一弾として(恐らく)8機のF-15が米本土に帰還
●2023年1月17日、ドイツの米空軍基地から 16機のF-16が展開

●2023年3月28日、アラスカ Eielson 基地第 355戦闘飛行隊所属のF-35が展開
(この時点で、各機種の機数は不明ながらF-22やF-16も嘉手納に所在)
●2023年4月8日 F-22アラスカへ帰還、同10日F-16ドイツへ帰還
●2023年4月8日、米本土からF-15Eが嘉手納に展開

●2023年 10月3日、加州とルイジアナ州の州空軍F-15Cが展開
●2023年 11月20日、ユタ州HiII基地からF-35展開

●2024年4月11日、ハワイの2個飛行隊からF-22展開
(5月1日に VA州ラングレー基地のF-22追加配備と発表)
●2024年4月日時非公開、派遣非公開でF-16展開
(5月1日に州空軍SD 州114航空団とモンタナ州148航空団から派遣と公表)

Holmes大将やミッチェル研究所の「極東で戦闘機無力発言」
(非常にアクセス数の多い記事です)
「嘉手納F-15撤退を軍事的合理性から考察」→https://holylandtokyo.com/2022/11/09/3904/
「米軍F-35調達機数削減の予兆を指摘」→https://holylandtokyo.com/2023/07/18/4823/
「新空軍2トップはF-35調達数削減派」→https://holylandtokyo.com/2023/05/19/4648/

嘉手納基地F-15撤退と代替戦力派遣
「F-35とF-15C→F-22とF-16へ」→https://holylandtokyo.com/2024/05/02/5803/
「ユタ州からF-35派遣」→https://holylandtokyo.com/2023/11/24/5271/
「加州とルイジアナ州空軍F-15C到着」→https://holylandtokyo.com/2023/10/10/5113/
「F-15E展開、F-22とF-16が帰還」→https://holylandtokyo.com/2023/04/12/4511/
「空軍F-35が嘉手納基地に展開」→https://holylandtokyo.com/2023/04/04/4482/
「ドイツからF-16展開」→https://holylandtokyo.com/2023/01/19/4178/
「第1陣の8機米へ帰還」→https://holylandtokyo.com/2022/12/06/4021/
「米空軍幹部発言から大きな流れを学ぶ」→https://holylandtokyo.com/2022/11/09/3904/
「衝撃、11月1日から段階的撤退」→https://holylandtokyo.com/2022/10/31/3817/

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