昨年12月にイエメンへの密輸船を拿捕押収した弾薬武器
「ウ」支援予算が未承認の中、米国苦心の支援策
10月4日付Defense-Newsは、2024年度米国予算が45日間の「つなぎ予算」だけ承認され、ウクライナ支援予算が未承認の中、昨年12月に米海軍によって拿捕&捕獲された、イランからイエメン反政府組織Houthiへの密輸途中の武器弾薬を、数か月間の交渉の末にウクライナ支援品として活用する許可を米国政府が獲得し、現在ウクライナに向け輸送中だと報じました
具体的な「拿捕&捕獲」場所は非公開ですが、米海軍艦艇によりダウ船「MARWAN」から昨年末に拿捕された密負弾薬兵器には、9000丁以上のライフル銃、284丁の機関銃、194のロケットランチャー、70発の対戦車誘導ミサイル、70万発の弾薬、100万発以上の7.62㎜小銃弾が含まれ、中央軍担当エリア内の倉庫に保管されていたとのことですが、少なくとも100万発以上の7.63㎜弾は現在ウクライナに向け移送中とのことです
ウクライナ支援により米国保有の武器弾薬の在庫急減少が懸念される中、またウクライナ支援予算確保を巡り米議会内の与野党の摩擦が増す中、バイデン政権は昨年12月の「拿捕&捕獲」した武器弾薬の「米国による押収」許可を数か月間交渉し、7月にやっと許可が下り、品質確認や法的手続きを経てやっとウクライナへ移送が開始されたとのことです
2024年度米国予算を巡っては米議会の機能不全が露呈し、9月30日夜にウクライナ支援予算を含めないことを条件に、約6週間分の「つなぎ予算」がギリギリ暫定成立して「政府機関の閉鎖」や「兵士への賃金未払い」が「寸止め」されましたが、下院議長が辞任するなど、今後6週間で正規の2024年度予算が成立する見通しは立っていません
この混乱により、米国によるウクライナ支援オプションは限定的となり、上記のような「押収品の提供」との情けない形しかなく、ウクライナ支援で現有武器弾薬を提供した際の、「穴埋め補給予算」が確保できない苦しい状態が11月半ばまで続くとのことです
米国防省報道官は「我々はもう少しの期間だけ、ウクライナ支援を維持することができるが、(その先のために)米議会の行動が必須だ」と訴えていますが、当面は米国の機能不全が続きそうです・・・
2024年度予算巡る泥仕合
「国防長官の年俸1ドル案提出」→https://holylandtokyo.com/2023/10/02/5089/
ウ支援で弾薬不足懸念加速
「CSIS弾薬問題レポート」→https://holylandtokyo.com/2023/02/16/4212/
「上院軍事委員長:弾薬が最大教訓」→https://holylandtokyo.com/2023/02/10/4288/
「米軍は弾薬にもっと予算配分を」→https://holylandtokyo.com/2022/12/02/3990/
「弾薬不足:産業基盤育成から」→https://holylandtokyo.com/2022/10/19/3758/
米国が拿捕のイラン製弾薬100万発をウ支援に
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