2+2で合意:3200名規模から2000名規模へ
海兵旅団から軽快な「海兵沿岸旅団MLR」へ
宇宙分野での連携強化も合意し岸田首相訪米準備
1月11日、ワシントンDCで日米2+2が開催され、13日の岸田首相とバイデン大統領との会談を前に、宇宙分野での協力強化に加え、在沖縄海兵隊で3200名規模の「第12海兵旅団」を縮小しつつも対中国作戦により適合した「第12海兵沿岸旅団:MLR:Marine littoral regiment」に2025年までに改編することに等に合意したと発表されました
「海兵沿岸旅団:MLR:Marine littoral regiment」の創設は、対中国など本格紛争に対処可能な将来米海兵隊への変革方針を示した2020年3月米海兵隊発表の「Force Design 2030構想」で明らにされ、アジア太平洋地域に3個設けることとなっています。
MLRを生み出した同構想は、戦車部隊の廃止、歩兵部隊や回転翼部隊の削減、総兵数の削減、ロケット部隊や対艦部隊や無人システムの増加や電子戦の強化などを柱に、小規模だが軽快な部隊に再編し、海軍と連携し制海に力点を置く将来海兵隊の姿を描いたもので、他軍種にも大きなインパクトを与える大きな方向転換を明確にしたものでした
同構想発表時には、日本に最初のMLR設置とDavid Berger海兵隊司令官が述べていましたが、地元調整のむつかしさ等から(推測)、まずハワイに第3MLRが最初に創設され、2023年9月の態勢確立に向け訓練中です
MLRは、従来の海兵旅団が歩兵や戦車や火砲中心だったのに対し、中国などのミサイル射程内の厳しい環境下「contested maritime spaces」で自己防御を図りつつ、機敏に移動しつつ敵艦艇や敵上陸部隊を攻撃するより軽快な部隊編成を目指し、対艦ミサイル部隊や防空部隊やISR部隊や兵站支援部隊を中心に構成される模様で、ハワイの第3MLRが試行錯誤を行っています
またMLRに関する報道では、「戦闘が始まれば中国が海空で優勢になる可能性が高いが。戦力を追加で投入できるようになるまでの間、最前線の部隊がいかに相手の侵攻を食い止めるかがカギを握ることになり、MLRにはその中心的な役割が期待される」とか、「小規模なチームに分散して各離島へ展開し、敵からの攻撃をかわしながら相手の艦艇や航空機の進出を食い止め、制海権の確保を目指す」と紹介されています
ただ各種報道はあまり触れていませんが、現在の3000名以上規模から2000名弱規模に縮小されることは事実で、「軽快さや分散行動や機動展開の容易さ」を追求するとは言え、中国のミサイル射程内の危険な地域に戦力を置いておけないとの軍事的合理性に基づく判断とも言えます。在沖縄海兵隊の総兵力は変わらないとの、思慮深い配慮に基づくよくわからない説明は日米両政府からなされていますが・・・
ハワイで準備中の先輩部隊第3MLRの状況
(2022年8月の記事より)
●同年2月に対空監視から味方部隊の航空管制までも担当する「対空大隊」を編成し、6月には攻撃能力を担う「第3沿岸戦闘チーム」や文字通りの「戦闘兵站大隊」が再編成され、RIMPACでも訓練に参加
●2023年9月の態勢確立に向け、軽着上陸用艦艇の「stern landing vessel」や、長距離運航が可能な「unmanned surface vessel」導入がカギとなるが、無人艦艇導入チームが同年夏から検討を開始。
●同年秋には、打撃力強化の柱「Medium Missile部隊」が編成予定で、「stand-in force」の準備が進んでいる
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宇宙分野での協力強化については、米国の日本に対する防衛義務を定めた「日米安全保障条約第5条」が宇宙空間も適用対象になりうることを2+2で確認しています。これは露のウクライナ侵略が宇宙ドメインで始まっていた最近の事例を踏まえると重要な一歩だと思います。
「反撃能力」「敵基地攻撃」に関しても協力強化へ・・・。どこを攻撃すればよいのか、日本のISR能力では特定できないでしょうから・・・
CSISの強烈インパクトのレポート発表が1月9日で、日米2+2が11日で、日米首脳会談が13日との美しい流れになっています
米海兵隊の主力海兵旅団の改革
「ハワイで創設のMLR部隊」→https://holylandtokyo.com/2022/08/19/3546/
「米海兵隊のstand-in force構想」→https://holylandtokyo.com/2022/05/25/3264/
「MLRを日本にも」→https://holylandtokyo.com/2020/04/15/726/
「Force Design 2030構想」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-03-25
インパクト強烈なCSISレポート・台湾有事で日本も・・・
空母2隻・数10隻の艦艇と数百機の航空機喪失、台湾経済大打撃・米軍の影響力当面喪失危機
「台湾有事のWargame結果を異例公開」→https://holylandtokyo.com/2023/01/11/4135/