米海兵隊stand-in force構想実現に3MLRが奮闘中

2023年9月の運用態勢確立に向けRIMPACで訓練
センサー、通信機能、対空兵器、打撃力等をセットで「In」
米空母打撃軍の進出を支援するため敵艦艇を撃破など
約2000名体制で任務に応じて派遣部隊をチョイス

3rd MLR.jpg8月10日付Defense-Newsは、2021年12月発表の「A Concept for Stand-In Forces」に基づき米海兵隊が新たに編成した「Stand-In」部隊3MLR(第3沿岸海兵旅団:3rd Marine Littoral Regiment)が、2023年9月の初期運用態勢確立IOCに向け、組織編制や装備品選定や運用要領確立のための訓練や検討を精力的に進めている様子を紹介しています

3rd MLR6.jpgこの「Stand-In Forces」構想に基づく第3MLRは、通常の海兵隊部隊が有事に一番乗りで敵の戦力域内WEZ(weapons engagement zone)に乗り込む構想なのに対し、第一列島線上を想定した敵WEZ内に存在して敵情をリアルタイムで味方と共有するほか、「sea-denialやsea-control」作戦を行い、味方統合戦力部隊の進出を助けるイメージの部隊です

記事は典型的な運用例として、米空母戦闘群CSGが通峡するような場合に、第3MLRからの派遣部隊がWEZ内の島の沿岸部に位置し、自ら探知又はネットワークから入手した敵艦艇を攻撃するパターンを、6月末から8月4日まで実施されていたRIMPACで訓練したと伝えています

3rd MLR2.JPG2022年3月に約2000名で仮編制されたばかりの第3MLRは、この任務を遂行するため多様な機能を指揮官である大佐の下に機能的に編成することを目指していますが、検討すべき事項も多く残されており、どの機能にどの程度の装備と人員を保有するかや、どのような新装備を導入すべきか、またどのような状況でどの程度の派遣部隊を編成するかを今後の演習とを通じて検証していくとのことです。

対中国作戦で、遠方からの極超音速兵器や長射程精密誘導ミサイルや巡航ミサイルなどの攻撃能力強化ばかりが話題になる米軍にあって、数少ない前線密着部隊ですので、近況を断点的ながらご紹介しておきます

8月10日付Defense-News記事によれば
3rd MLR3.JPG●第3MLR 内に、2022年2月に対空監視から味方部隊の航空管制までも担当する「対空大隊」を編成し、6月には攻撃能力を担う「第3沿岸戦闘チーム」や文字通りの「戦闘兵站大隊」が再編成され、RIMPACでも訓練に参加した
●2023年9月の初期運用態勢確立に向けては、軽着上陸用艦艇の「stern landing vessel」や、長距離運航が可能な「unmanned surface vessel」導入が重要なカギとなるが、無人艦艇に関しては検討チームの調査が夏に開始される。このように「stand-in force」の迅速かつ適時の機動展開に向けた検討も佳境を迎える

3rd MLR5.JPG●2022年秋には、第3MLRの打撃力強化の大きな柱である、前述の「第3沿岸戦闘チーム」の下に「Medium Missile部隊」が編成される予定である
●2023年2月には、米海兵隊が第3MLRのための大規模演習を南部加州で計画し、その成果を踏まえてフィリピンでの「Balikatan演習」に臨む予定である。フィリピンは西太平洋の同盟国の中でも第3MLRに関心の高い国の一つで、似たような機能の部隊を自国で編成しており、同盟国との連携強化面でも米国として重要な演習となる

●そして2023年秋には太平洋軍米海兵隊として大規模な演習を行い、第3MLR以外の米海兵隊の多様な能力との連携も披露し、第3MLRの初期運用態勢確立につなげる計画となっている
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3rd MLR4.jpg記事では上で紹介した以外に、目標情報をはじめとする各種情報のリアルタイム共有方法や、同盟国等も含めたセンサー情報や攻撃力の融合運用など、様々な課題の存在を示唆しています。

「stand-in force」なのですが、任務に応じて適切な派遣部隊を編成して展開させる・・・とのイメージで説明されており、また、3MLR(第3沿岸海兵旅団:3rd Marine Littoral Regiment)の部隊や本部がハワイに所在する実態からも、「stand-in force」の意味するところを慎重に理解する必要がありそうです

自衛隊との連携も密になると考えられる部隊ですので、「3rd Marine Littoral Regiment」をよく覚えておきましょう

2022年5月時点でのstand-in force構想進捗
「米海兵隊のstand-in force構想」→https://holylandtokyo.com/2022/05/25/3264/

「A Concept for Stand-In Forces」の現物32ページ
https://www.hqmc.marines.mil/Portals/142/Users/183/35/4535/211201_A%20Concept%20for%20Stand-In%20Forces.pdf?ver=EIdvoO4fwI2OaJDSB5gDDA%3d%3d

遠方攻撃を巡り米軍内に不協和音
「米陸軍は2023年から遠方攻撃兵器で変わる」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-09-09
「スタンドオフ重視を批判」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-06-19-1
「遠方攻撃をめぐり米空軍が陸海海兵隊を批判」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-05-22
「米空軍トップも批判・誰の任務か?」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-04-02
「海兵隊は2つの長射程対艦ミサイルを柱に」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-03-06

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