安価なイラン製自爆無人機がウクライナで猛威

【21日、追加情報】米国政府がクリミアでのイラン人運用支援を強く批判

10月20日、ホワイトハウスのKirby報道担当補佐官が、当初ロシア兵による「SHAHED-136」操作が失敗したことを受け、イラン人支援要員がクリミア半島に入って、ロシア軍を支援していると厳しく非難

将来、イラン製地対地ミサイルの導入可能性も示唆し、イランの支援を否定するロシアとイラン側の主張を真っ向から否定
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「貧者の巡航ミサイル」と呼ばれる安価兵器が「ウ」に打撃
目標到達率5割程度もソフト目標に威力発揮
士気や市民生活への影響大で懸念広がる

SHAHED-136.jpg10月18日付Military.comが、9月下旬からロシアがウクライナ攻撃に投入開始したイラン製自爆攻撃無人機「SHAHED-136」の概要と効果について取り上げ、単純構造で安価で破壊力も突破力も限定的な兵器ながら、対処の難しさから大量投入で社会インフラや防御の薄い軍事目標攻撃に成果を上げ、停電など市民生活に影響を与えるなど恐怖感を与えるテロ兵器として猛威を振るっていると報じています

小型無人機の脅威や対処法検討について、これまでも様々にご紹介してきましたが、分かり易い形で表面化してしまった「貧者の巡航ミサイル」とも呼ばれる自爆型無人機の脅威を、どの程度の数量が使用されたのかなど細かな部分は不明な点も多いのですが、本事例から考えたるべくご紹介いたします。

イラン製自爆攻撃無人機「SHAHED-136」の概要
SHAHED-136 3.jpg●長さ380㎝、幅250㎝、重量200㎏で、5~40㎏の弾頭を搭載でき、プロペラ推進の速度185㎞/hで射程距離は1000㎞と言われている。
●プリプログラムされた目標位置にGPS利用で自力進出し、搭載カメラで目標を確認した後、地上からの無線指令で最終的に目標に突入する運用の模様

●「無人機の群れ」として飛行する高度な無人機間の連携能力はなく、単に同時複数発射で敵防空網を飽和させる運用が主流
●価格は1発300万円以下で、代表的なロシア軍巡航ミサイル「Kalibr」(弾頭480㎏)の1発約1億4000万円と比較すると極めて安価。

米やウクライナ専門家の見方
SHAHED-136 5.jpg●射程は1000㎞以上と言われるものの、通信覆域が限られ通信妨害に脆弱であることから、ロシア軍はより目標に近い場所の車両搭載発射機から射出して使用している
●低空を飛翔するため、防空レーダーや対空ミサイルでの対処が困難だが、騒音が大きく低速であるため、例えば10月10日の攻撃では、発射された75発の内、55%に当たる41発がウクライナ側により撃墜されている

●ロシアは「SHAHED-136」の被撃墜率が高いことを考慮し、防空カバーの弱い軍事目標や社会インフラ(発電所など)を攻撃目標にしており、首都キーウで停電が発生するなどウクライナ国民の「士気をくじく」「不安をあおる」点で特に効果を上げている。軍事的な影響については良くわからない

SHAHED-136 4.jpg●ウクライナ側は迎撃兵器として米国に対し、米海軍艦艇が自己防御用に搭載しているレーダーと機関砲を組み合わせた防空システム「ファランクス」を要望している模様
●ウクライナ国防省は、露が既に精密誘導兵器をほとんど打ち尽くしており、ロシアが今後、このような外国製無人攻撃機に依存する可能性を示唆している。
●ただし、安価ながらイランからの輸送費用や、制裁下にあるイランが「SHAHED-136」に使用する搭載カメラなどの部品の質が低く、ロシア側で交換して使用しているとの話もある。
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イラン製のSHAHED-136解説映像(約6分:90秒から性能解説)

ゼレンスキー大統領は「昼夜を分かたぬ市民へのテロ攻撃をロシアは行っている」と国際社会に訴えていますが、ウクライナの国立戦略研究所のBielieskov氏は「対処法をわきまえた前線部隊は半数以上を迎撃しているため、ロシア側は一般市民を目標にしている」と非難しつつ、「この攻撃が増加しても、ウクライナの前線での攻勢を覆すことはできないだろう」とコメントしています

SHAHED-136 2.jpg攻撃を受けているウクライナ国民の苦悩から目を背けるわけにはいきませんが、自爆型無人機による一般市民や社会インフラに対する攻撃が大規模にメディアで報じられ、軍事作戦を大きく変えそうなこの無人機兵器の恐ろしさが認識される一つの機会だと考えます

自国製巡航ミサイル等が「底をつく」状態にあるらしいロシアが、経済制裁下のイランからどの程度この種の兵器を導入できるのか不明ですが、注目したいと思います

無人機対処にレーザーや電磁波
「対処用のエネルギー兵器動向」→https://holylandtokyo.com/2022/07/14/3432/
「JCOが小型無人機対処3機種吟味」→https://holylandtokyo.com/2022/05/17/3233/
「2回目:安価で携帯可能な兵器試験」→https://holylandtokyo.com/2021/10/08/2280/
「カタール配備のC-UASと陸軍のIFPC」→https://holylandtokyo.com/2021/06/02/1708/
「1回目:副次的被害小な兵器試験」→https://holylandtokyo.com/2021/04/19/110/
「国防省が小型無人機対処戦略発表」→https://holylandtokyo.com/2021/01/12/295/
「小型ドローン対策に最新技術情報収集」→https://holylandtokyo.com/2020/10/30/445/
「米海兵隊の非公式マニュアル」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-07-31
「ドローン対処を3-5種類に絞り込む」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-12-14

 

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