NGAD随伴だけでなく、F-35、E-7、KC-46、地上から操縦も
Brown参謀総長が米空軍の話題を広範に語る
同盟国軍は「我のstand-in F」で「我はstand with」と表現
F-35の維持費削減見通しに慎重な表現
対中国での救難救助態勢を再検討中と
8月29日付米空軍協会web記事が、シンクタンクAEIによるBrown空軍参謀総長へのwebインタビュを紹介し、「無人ウイングマン機」「ACE構想」「救難体制の再検討」「F-35維持費見積もり」などなど広範囲の話題についてついて断片的ながら語っています
最近は米空軍全体の動きに関し、活発に発言するKendall空軍長官の発言をご紹介する機会が多いのですが、検討途中の段階でも発言してしまう同長官に対し、慎重にワシントンDC勤務者らしく言葉を選んで発言するBrown大将の方が全体像に近いとの見方もできますので、以下では項目ごとにご紹介します
無人ウイングマン(CCA:collaborative combat aircraft)関連
●(NGADと共に2030年代の何時ごろ飛行可能になるか?との質問に、時期については語らず、)CCAに関しては、センサー、シューター、兵器運搬機など多様な役割を期待し、作戦機運用コスト削減も狙いの一つである
●NGADから操縦され共に飛行するだけではなく、CCAはF-35やE-7やKC-46や地上から操縦され飛行することも検討している。(注:KC-46は空中給油機として以外にも通信ノードとしての役割を期待され、また最近では戦闘管理に役割を期待する声も出てきている)
●(Kendall長官がCCA関連技術は十分成熟していると今年発言しているが、Brown大将は何時作戦投入されるかに関しては答えず、関連でCCA等を活用して米空軍は5年以内に「stand-in force」体制になるかとの質問に対し、)やるべき仕事がまだ残っている。米空軍は近未来の間はstand-inとstand-offのハイブリットであり、同盟国が我々のstand-in戦力で、我々がstand-offになるとの戦略は立てられない。米空軍は「stand-with」だ
作戦運用の大きな変化ACE構想
●部隊視察で兵士たちに会うと、過去30年の戦い方とは異なるACE構想(agile combat employment)の必要性について理解してくれており、分散した拠点からの作戦や、兵士が複数の能力を持つことの重要性をわかってくれていることがわかる。また多くの努力が投入されていることも明らかだ
●また分散運用を促進するACE構想推進のために、権限の下部組織や前線への委任を一層進めるドクトリン変更にも理解を示してくれている
救難救助態勢の見直し
●アジア太平洋地域の特性(距離の克服)や救難救助を担ってきた回転翼機の脆弱性増加に伴い、米空軍は2023年度のHH-60W救難ヘリ調達数を削減することとし、べトラム戦時から継続してきた救難救助作戦コンセプトの見直しを行っている
●今や脅威のレベルは変化しており、従来救難任務に従事してきた回転翼機やオスプレイが撃墜されることを恐れており、考え方を変える必要に迫られている。無人機の活用などに焦点を当て、様々な検討を行っている
F-35の維持整備費高止まり問題について
●初期に見積もられている「F-35の飛行時間当たりのコスト」は「楽観的過ぎる:overly optimistic」見積もりとなっており、米空軍は従来の「飛行時間当たりのコスト」見積もりから、「1機あたりの年間維持コスト」見積もりモデルに変更し、米空軍全体の負担の「見える化」推進に資する方向で進めている
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その他にもBroun参謀総長は、インフレによる物価高騰の影響が勤務地によって異なり、諸手当の見直し等が追い付いていない問題について米軍兵士向けに説明していたり、パイロット不足に対して養成期間の短縮や民間航空会社との定期協議を行っていることを説明しています
また、ウクライナの教訓から同盟国等との継続的な訓練が重要であることや、同盟国の能力向上に取り組むことの重要性についても強調しています
「飛行時間当たりのコスト」見積もりから、「1機あたりの年間維持コスト」見積もりへのシフトは、航空自衛隊にも影響を与えるのでしょうか???
無人機ウイングマン構想
「空軍長官:B-21用にも新規開発」→https://holylandtokyo.com/2022/03/24/2938/
「まず5世代機の仮設敵機役から!?」→https://holylandtokyo.com/2021/08/18/2084/
「頭脳ACSを2機種目で試験成功」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-07-02
「Skyborg構想の頭脳ACSで初飛行2時間」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-05-06
救難救助体制の再検討
「対中国の救難救助態勢が今ごろ大問題」→https://holylandtokyo.com/2022/07/15/3463/