Digital Designの利点を空軍幹部が産業界に訴え
新規開発だけでなく、既存装備の一部にも導入と
8月10日、米空軍の研究開発を担うマテリアルコマンドのDuke Richardson司令官がイベントで、「デジタル設計:digital design」技術について、例えばT-7練習機の開発設計工数が8割削減できたほか、皆が参集して会議形式で実施していた非効率で退屈な重要設計審査(critical design reviews)を日常業務可できる可能性や、軍需品への中小事業者の新規参入を促進する効果も大いに期待できると導入を促しました
発言は同コマンドが主催する「Life Cycle Industry Days」に参加した産業界関係者や米空軍の研究開発関係者に対して行われ、デジタル設計を「システム設計開発を根本的に変革するものだ」と表現して、単に開発設計の現場だけでなく、開発計画の過程に付き物の様々な審議や検討会の効率化や、書類業務の迅速化にも大いに貢献するとその効用を訴えるものとなっています
まんぐーすは「デジタル設計」について、パソコン画面上でCAD使用し、様々な試験をバーチャル環境で実施可能にして、設計上の問題点や要求性能の妥当性について効率的に判断してシステム開発を迅速化するものだとイメージしていましたが、
様々な開発過程のデータや書類を「日常的に共有all the time; every single day」し、「印刷された関連書類を卓上に積み上げての検討会プロセス」の効率化や、「契約に必要な書類の稟議チェック」を同時進行にすることにつなげるなどの効用があることを初めて知りました。これら非効率な仕事の仕方は「官僚制あるある」で、「デジタル設計」導入を契機にメスを入れとは、なるほどなぁ・・・と思います。
もちろん、まんぐーすがイメージしていた実地試験のバーチャルへの置き換え効果等々も非常に大きく、同司令官はマテリアルコマンド幹部にも「この技術が使えるようトレーニングを受けることを強く推奨してきたが、まだ道半ばだ」と軍内への普及も同時進行する必要性も認めています
ただRichardson司令官は、閉鎖的な軍需産業界に新たな企業、特に中小新興企業を招き入れる契機にしたいと考えており、「軍需産業界の皆さんには、このデジタル設計技術が如何に業務要領を変える可能性があるか検討してほしい」と述べつつ、「小さなビジネスを営んでおられる事業主の方には、この手法が厄介な仕事を排除して、大きな道を切り開く可能性があることを認識してほしい」と訴えています
また同司令官は、「デジタル設計技術」が次期ICBMのSentinelやNGADやT-7練習機と言った大型新規事業だけでなく、B-52エンジン換装やF-15EX開発と言った従来装備品の改修などにも導入され始めている点を強調し、全てに適応されるわけではないが、中規模の改修や能力向上事業には重要となるので、「バスに乗り遅れないでほしい」と表現しています
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「デジタル設計:digital design」を実際に行った経験もなく、同設計を使用したプロジェクトに関与したこともないまんぐーすは、Richardson司令官のアピールをそのままご紹介するしかできないのですが、この技術は民生技術を軍事にも応用したようなイメージですが、どうなんでしょうか?
日本でも普及が進むことを期待いたします
デジタル設計技術の活用
「F-22の能力向上」→https://holylandtokyo.com/2021/11/16/2410/
「F-15EX」→https://holylandtokyo.com/2021/03/22/166/
「戦闘機構成の検討開始」→https://holylandtokyo.com/2021/02/22/266/
「NGADのデモ機初飛行済」→https://holylandtokyo.com/2020/09/17/482/
「女性用にコックピット機銃変更へ」→https://holylandtokyo.com/2020/08/26/533/