7月1日に米宇宙軍の試験衛星7個軌道投入に成功
今年4回目の商用打ち上げで、初の夜間打ち上げに成功
空中発射なので小型衛星を安価に打ち上げ可能
日本の大分空港が打ち上げ飛行場受け入れへ
7月1日、Virgin Orbit社の小型衛星打ち上げロケット「LauncherOne」が同社保有の専用ジャンボ機から高度約12000mで分離され、無事ロケットエンジンに点火して宇宙空間に到達し、ジャンボ機から分離1時間後には米宇宙軍委託の試験衛星7個を所定の軌道に投入しました。2022年4回目の打ち上げ成功で、初の夜間打ち上げ成功だったようです
Virgin Orbit社は、ヴァージンアトランテック航空等の創業者である英国人Richard Branson氏により2017年に創設され、ジャンボジェット機(B747-400)から衛星打ち上げロケットを発射するという画期的な手法に挑んだ会社で、2021年1月に同方式による初の打ち上げに成功しました。
その後初めての営業打ち上げとして、2021年6月20日に米軍やオランダ空軍の衛星7個の投入に成功して事業を「軌道に乗せ」、2022年には7回、2023年には18回の打ち上げを計画しており、ロケットの投下&発射母機となるジャンボジェット機を追加で2機契約&改修に入っているとも報道されています
この打ち上げ方式の特長は、
(下のYouTube映像の説明から)
●地上打ち上げに比較してロケットが小型化&シンプル化でき、ロケットは使い捨てだが価格面で気にならず、打ち上げ費用が200㎏衛星で13億円程度と安価
●航空機からの打ち上げで、緊急の打ち上げ要請に、より柔軟に対応可能
●基本的には世界中の飛行場から母機ジャンボが離陸可能で、離陸後30分から4時間飛行で到達可能な海上から、地上への落下物の心配なく比較的自由な方向に発射でき、様々な衛星軌道に投入可能
ジャンボ機から空中発射Virgin Orbitロケット解説(10分)
日本の空港では、Virgin Orbit社が大分空港利用に向けた交渉を大分県や関係機関と進めており、2022年以降の10年間で計20回の打ち上げ用離陸飛行場として考えているようです。
その他小ネタとしては、Virgin Orbit社が発射母機として追加購入したジャンボジェット機(B747-400)が日本の航空自衛隊が政府専用機として運用していた機体で、大分への展開で「里帰り」が実現する日が期待されていることです。政府専用機は丁寧に使用されていますから、Virgin Orbit社の目の付け所に感心します
より細かな地上打ち上げとの比較ができればよいのですが、大分空港からの母機離陸やロケット「Launcher-One」の打ち上げが実施されれば大きな話題になるでしょうから、ご期待ください
Virgin Orbit社関連の2020年4月の記事
「航空機を利用衛星打上計画」→https://holylandtokyo.com/2020/04/17/729/