隣国へ侵攻の露が苦労も、西太平洋で米国はより困難
ハワイの巨大燃料貯蔵施設が閉鎖決定で危機感更に
6月13日、Kathleen Hicks国防副長官がDefenseOneのイベントで講演し、露のウクライナ侵攻がアジア太平洋地域に改めて突き付けた極めて大きな課題(very hard lesson)は、米本土から離れた西太平洋戦域への燃料、水、食料、弾薬、部品等の物資輸送と事前集積などの兵站問題だと危機感を訴えました
そして同副長官は、「ロシアは自らが国境を接している国を侵略したにもかかわらず、大きな兵站支援問題に直面している。米国が太平洋をまたいで活動しようとするなら、より一層大きな兵站上の課題を抱えることになり、化石燃料への依存がそれを更に悪化させるだろう」、「ロシアの教訓から兵站の課題を理解し、それを西太平洋に移して立ち向かわねばならない」と述べています
副長官は「グアムやハワイや南洋諸島には、米軍戦力が作戦遂行に必要な化石燃料資源は全く存在せず、西太平洋で米軍基地を受け入れているホスト国も輸入原油に依存している状態だ」と現状を憂い、大平洋軍指揮官も「太平洋戦域で有事に、弾薬補給や燃料補給を行う能力が不足している」と警鐘を鳴らしています
このような状態を受け、国防省も太平洋軍要望として、2027年までを対象とした兵站や装備の維持整備能力強化や装備の事前集積強化のため、PDI(Pacific Deterrence Initiative)構想実現のため3.2兆円規模の予算要求を2023年度予算要求として持ち出し、「兵站態勢や前線の作戦を支援する体制が、強固に防御された戦域を支えるには不十分だ」と訴えています
この現状について、元太平洋軍上級顧問でAEI研究員であるEric Sayers氏は、貯蔵燃料の地下水汚染問題で閉鎖が決定したハワイ真珠湾の「Red Hill Bulk」燃料貯蔵所の代替施設構想もない状態で、西太平洋戦域の兵站事情は悪化し続けていると懸念し、
「ウクライナ侵略は我々に、米国艦隊や大規模空輸を支える給油能力なしでは、米軍戦力の投射が単純に不可能なことを改めて思い知ららせてくれた」、「端的に言えば、米議会は艦艇規模や戦闘機数の増強を考えるなら、同レベルでアジア太平洋地域での燃料供給など兵站問題にも目を向けるべきだ」と訴えています
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中国の台湾侵攻など中国の西太平洋進出に際しては、「容易に回復できない既成事実化:a fait accompli」を許さないように米国や日本は対処する必要があると言われ、そのような作戦構想がWar-Game等を通じて検討されていると認識しているのですが、米国や西側諸国はどの程度戦いを継続可能なのでしょうか?
また仮に、中国がロシアのように、前線兵士の犠牲を苦にせず、3か月以上のネバネバ中期戦に出た場合、どのような状態になるのでしょうか? ウクライナではドイツやポーランドなど陸続きの周辺国が支援物資の輸送拠点になりますが、西太平洋ではどうなるのでしょうか・・・・・? 不安しかありません
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「ウクライナへの補給物資輸送拠点」→https://holylandtokyo.com/2022/05/11/3197/
「米空軍改善提案の最優秀:燃料と水輸送負担軽減策」→https://holylandtokyo.com/2022/05/06/2781/
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