11月2日までに2回接種後2週間経過が必要も
兵士の約6%は期限に間に合わず罰則対象か?
8月25日にAustin国防長官が全米軍兵士へのコロナワクチン接種を速やかに実施するよう各軍種トップに命じたことを受け、各軍種毎に接種期限を設けて全兵士への接種を全力で進めていますが、最も早い11月2日に期限を設定した空軍省隷下の米空軍と宇宙軍正規兵の状況に注目が集まっています
米空軍&宇宙軍正規兵の期限11月2日は、2回目の接種が終わって2週間経過した日を基準と指定しており、1回目の接種と2回目接種の間隔3週間と、2回目後の2週間を合わせた計5週間が必要なことから考えると、11月2日に間に合うには、9月28日までに少なくとも1回目を接種しておく必要がありました
9月28日時点での米空軍&宇宙軍正規兵の接種状況は、2回とも終了75.1%、1回目のみ終了18.8%との合計で計93.9%(約94%)で、3週間前から約20%急増しての約94%であり、急速に接種が進んでいる状況にはありますが、逆に約6%の米空軍&宇宙軍兵士が期限までに間に合わない恐れがあります。
8月25日の国防長官指示では、何らかの身体的理由や宗教上の理由での「ワクチン免除」も認めていますが、米軍では海外展開が日常的であることから、既に10数種類のワクチン接種が義務付けられており、宗教上の理由で免除を求める者は「ほぼゼロ」「極めてまれ」と言われており、身体的理由で接種できないケースも特殊な場合のみで、ごく少数と言われています
このような米軍の現状から、期限までに接種を受けない者へは、状況や理由に応じ何らかの罰則(from non-judicial punishment to courts martial)を科すことになっていますが、現時点で期限が最も早い米空軍&宇宙軍でも、「理由なき未接種者」への罰則をどうするか明らかにしていません
Austin国防長官が8月25日にワクチン全員接種を各軍種に命じた以降、軍内のワクチン反対派兵士から命令差し止め訴訟などが既に複数行われており、最近では「コロナに罹患して回復した者は免除せよ」訴訟も開始された様です。
基本的に米軍内ではファーザー製ワクチン接種を行っており、1回目接種から接種完了までの期間を5週間と見積もっていますが、緊急用のみで使用を認めている接種1回でOKな「Johnson & Johnson製」を導入するのか等、11月2日に向け様々な動きが憶測されているようです
ちなみに、米空軍&宇宙軍正規兵の期限は11月2日ですが、米海軍海兵隊は11月28日、米陸軍は12月15日と期限を設定しています。
また、州兵や予備役兵は正規兵と同じ期限ではないようで、接種率も10%程度遅れているようです。
米軍を取り巻く各種政策や装備開発&調達の話題とは異なりますが、米軍を構成する人的戦力を見る一つの視点として、今後話題になる可能性も踏まえご紹介しておきます
自衛隊部隊でのクラスター発生が時々報道されていますが、日本ではどうなんでしょうか?
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