NATO国防相会合の雰囲気は変わるか?

オースチン国防長官初参加:17-18日
バイデン政権は前政権との違いがあるのか?

NATO ministerial3.jpg16日付Defense-Newsは、17日から18日にかけ開催されるNATO国防相会議(バーチャル)に関し、強硬に加盟諸国にGDP比2%国防費支出を要求し、目標達成に消極的だったドイツから駐留米軍を削減する姿勢まで示した(バイデン政権は削減凍結を表明)トランプ政権との違いを示せるのか・・・との視点で同会議の論点を、匿名の国防省高官の話から紹介しています

結論めいて申し上げると、「NATO諸国間の関係の再活性化」や「話し合いの雰囲気醸成」や「アプローチの変化」や「同盟国との協力」とのバイデン政権の姿勢を強調しつつも、「負担の共有」を求める姿勢に変化はないが、国防費のGDP2%枠だけでなく、兵力派遣での貢献も評価する考え方も議論の対象になるかも・・・といった雰囲気です

そのほか、サイバー対処問題、イラクやアフガニスタンへの派遣兵力の増減問題などが焦点になるだろうとの見方ですが、Aaron Mehta副編集長の記事ですのでご紹介しておきます。18日には日本でも少しは報道されると思いますが・・・

16日付Defense-News記事によれば
NATO.jpg15日、17日から開催されるオースチン長官初参加のNATO国防相会議について、2名の国防省高官は別々に、「米国と他加盟国との関係再活性化」や「国防支出増加の要求は引っ込めない」との米国の姿勢を語った
一人の高官は、非常に攻撃的対立的だったトランプ政権とは異なる姿勢を示し、「アプローチの仕方を変える」、「ともに同盟国等と取り組んでいきたい」とのトーンを打ち出していくと述べた

また、「相談する:consulting」ことに焦点を当てると表現し、前政権がドイツ駐留米軍削減を関係国との調整なしに打ち出したようなやり方とは、異なるアプローチをとるとの姿勢を強調した
しかし、凍結されたドイツ駐留米軍の削減とポーランドへの一部移動計画について高官の一人は、「欧州での米軍の態勢は当地の安全保障にとって重要であり、撤退と見られるようなことは考えていない」と述べるに留まった

NATO ministerial4.jpgただ、オースチン長官が異なる姿勢でバーチャル会議に臨むとしても、NATO加盟国に国防支出増加を要求する基本姿勢に変化はないと述べ、「加盟国に対し、既に決定した事項にコミットしていく事を確認したいし、その方向に向かっていることを評価したい。ただ課題があることも承知している」と高官の一人は表現している
同会議を前にした15日にJens Stoltenberg事務総長は、「負担の共有については、2%枠だけでなく、貢献や能力(contributions and capabilities)の話でもある」と表現し、9か国のみが2%枠を満たしている現状と、他の形での貢献も評価すべきとの考えを示唆した

これに対し国防省高官は、「事務総長の述べた3つのC(cash, contributions and capabilities)の考え方はわかるが、最終的にはお金が全てに深くリンクしていることも忘れるべきではない」、「今投資できなければ、将来のあるべき態勢を確立できない」と釘を刺した
NATO ministerial2.jpg上記のような論点の他に、NATO加盟国間にはイラクとアフガンへの派兵問題がある。トランプ政権は派遣兵力を2500名まで削減する決定をしたが、NATO加盟国はバイデン政権がこれを再び増加させることがないかを注視している

これに関し高官の一人は、「政権全体で取り組む米軍の態勢見直しに取り掛かっており、その中で議論される。米国とNATO加盟国は共に戦い、去るときは同じだ」と語った
もう一つの論点は、特別なセッションが設けられている「新たな破壊的な兵器技術」関連で、特に最近米国を揺るがしている「SolarWinds」ソフトを経由した大規模政府系機関ハッキングが問題になっているサイバー関連問題だろう。この問題議論のため、NATO正式加盟国でないスウェーデンやフィンランドの代表者も呼んで議論することになっている
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Austin8.jpgバイデン政権になっても、むしろバイデン政権だから、日本にも「負担の共有」要求は「真綿で首を締める様に」強まると考えるべきでしょう。民主党政権ですから・・・

日本の米軍への「思いやり予算」が、とりあえず1年そのままで、それ以後について継続協議となりましたが、タフな交渉が待ち構えていると考えるべきでしょう

でも先日の記事の繰り返しになりますが、最終的には、日本はどうするのか? 覚悟はあるのか?・・・に行きつきますので、きちんと正面から情勢を見つめることが必要なのでしょう
アーミテージ氏が最近投げかけた、「日本は、中国に対してタフになる心構えは出来ているのか?」との問いに、答えることができるのか・・・です

バイデン政権の国防姿勢関連
「オースチン長官が米軍態勢見直し指示」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-02-06
「国防副長官が所信を述べる」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-02-03
「バイデン政権で国防政策はどう変わるのか」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-11-09

影響深刻:米政府機関に大規模ハッキング
「ロシア発:驚愕の大規模サイバー攻撃」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-12-18
ドイツ駐留米軍削減の関連
「国防長官が1.2万名削減計画を発表」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-07-30
「独駐留米軍を1万人削減へ」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-06-16
「移動先ポーランド大統領と会談」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-06-25
「米独2000名に安保アンケート」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-03-10
「9月末までに米軍再編検討を」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-01-14

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