中国が対艦弾道ミサイル試験に成功か

昨年8月、周辺に展開の米軍機や米軍艦艇に見せつけるように
DF-26BとDF-21Dを時差発射で同時目標着弾か

DF-26D 2.jpg13日付読売新聞が、関係筋情報として一面サブトップに、「【独自】中国の「空母キラー」ミサイル、航行中の船へ発射実験…2発が命中か」との記事を掲載し、2020年8月に中国軍が、「米空母キラー」と呼ばれる対艦弾道ミサイルの発射試験を行い、米軍が監視する目の前で「目標直撃」の成功を収めていたと報じています

中国軍は、射程約1500㎞の「DF-21D」と、射程4000㎞のDF-26Bとの移動する艦艇攻撃用の弾道ミサイルを保有し運用を開始していると報じられてきましたが、時速50㎞程度で海上を移動する艦艇位置をリアルタイムで把握して攻撃する能力が本当にあるのか、海上目標攻撃試験が未確認であったため、「半信半疑」な思いが西側関係者の間では交錯していました

DF-21D 6.jpgそんな中、昨年11月にDavidson太平洋軍司令官が講演で、「中国軍は動く標的に向けて対艦弾道ミサイルをテストした」と認めていましたが、実際に目標艦艇に命中させていたか等の細部については言及していませんでした

今回の読売の「関係筋情報」でも、移動する目標情報をどのようにミサイルに伝えて命中させたのか等については触れられておらず、課題と考えられてきた中国軍の「海上でのリアルタイムISR能力」については評価が難しいところですが、当該ミサイルの射程からすれば、米空母や主要な米海軍艦艇が第1列島線はおろか、第2列島線より中国大陸に近づくことのリスクが益々高くなったことに間違いはありません

DF-21D 5.jpgなお本件は、8月26日に香港紙サウスチャイナ・モーニング・ポスト(電子版)が、中国軍が8月26日朝、内陸部の青海省と沿岸部の浙江省からそれぞれ中距離弾道ミサイルを1発ずつ、南シナ海に向けて発射し、中国軍が設定した演習海域に着弾したと中国軍に近い消息筋が明らかにした、と報じていたところでもあります。(産経web報道 https://www.sankeibiz.jp/macro/news/200827/mcb2008270826016-n1.htm)

13日付読売新聞1面記事によれば
中国軍が南シナ海で2020年8月に行った対艦弾道ミサイルの発射実験の際、航行中の船を標的にしていたことを、中国軍の内情を知りうる関係筋が明らかにした。米軍高官もこの事実を認めている。「空母キラー」とも呼ばれるミサイル2発が船に命中したとの複数の証言もあり、事実とすれば、中国周辺に空母を展開する米軍の脅威となる
DF-26 浙江省.jpg発射実験は8月26日、海南省とパラセル(西沙)諸島の中間の海域で行われた。関係筋によれば、無人で自動航行させていた古い商船を標的に、内陸部の青海省から「DF-26B:東風26B」(射程約4000㎞)1発を先に発射。数分後、東部の浙江省からも「DF-21D:東風21D」(射程1500㎞超)1発を発射した。ミサイル2発は「ほぼ同時に船を直撃し、沈没させた」という

別の関係筋も、ミサイル2発が商船に命中したと証言した上で、海域周辺に展開していた米軍の偵察機やイージス艦に「中国軍のミサイル能力を誇示した」と明かした。中国軍が南シナ海で動く標的に発射実験を行ったのは初めてとみられる。船の位置を捕捉する偵察衛星などの監視体制、ミサイルの精密度が着実に向上していることを示す
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記事によれば、DF-26とDF-21を別々の場所から時間差で発射し、海域周辺に展開していた米軍の偵察機やイージス艦の目の前で、海南省(島)と西沙諸島の中間の海域を自動航行する古い商船に「ほぼ同時に」命中させたとの事です

DF-26.jpg目標の商船の位置を商船自身が発信していた可能性とか、海南島やパラセル諸島から艦艇の位置をミサイル部隊に通報していた可能性もありますが、5000名の乗員が乗り込み、数兆円の価値がある虎の子アセットを、米軍がリスクを冒して中国大陸に接近させる可能性がさらに低下したと言えましょう

また、コロナの話題ですっかり中国の南シナ海や尖閣周辺での乱暴な行動が目立たなくなっている中、中国軍事力増強に警鐘を鳴らす意味で、重要な読売の報道です

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