可能な範囲で、追記や補足をしていきます
5月21日付までの報道より
3月13日にトランプ大統領が「国家非常事態宣言」を出して以降、めまぐるしく変化していく米国内のコロナウイルス対処の動きですが、米国防省に関して体系的にはまとめられませんが、ご紹介していきたいと思います。可能な範囲で追記等して行きたいと思います
各国首脳から「WW2以来、国家の団結が試される」とか、「100年に一度の難局だ」との発言が聞かれるようになった今日この頃ですが、日本の野党やリベラル(左翼)の見苦しさには、憤りを通り越した情けなさを感じます
早く収まって、サイレンとマジョリティーによる鉄槌を喰らわせたいと考える次第です
国防省勤務者の感染状況(表は5月21日現在)
●米軍兵士と文民職員合計で7285名の感染が確認され、内254名が入院中、死者計17名。そのほかに、家族1026名と契約企業社員548名の計8859名(回復済み含む)に感染が確認されています。16日時点で計37名、18日時点で89名、19日で81名、20日に128名、23日に249名、24日に340名、25日に435名、26日で600名、27日に652名、30日に1087名、31日で1259名、4月1日で1405名、2日で1638名、3日は1752名、6日で2528名、7日で2657名、9日で3132名、10日で3360名、13日で4528名、14日で4769名、17日で4849名、20日で5335名、23日で5901名、28日で6648名、30日で6962名、5月4日で7434名、8日で7826名、11日で8046名、15日で8374名、21日で8859名(回復済み含む)と継続右肩上がり増加している
●3月21日、Defense Security Cooperation Agencyで勤務する契約企業従業員1が死亡。DSCA本部はペンタゴン内に所在も、志望者の勤務場所等は非公開。同僚はテレワーク中途か。
●ペンタゴンに出入りのある空軍兵士と空軍契約企業従業員各1名の感染が判明。「Defense Health Agency」所属の空軍兵士は3月16日に約1時間ペンタゴンに立ち入り、契約企業社員は3月2日以降はペンタゴンに出入りしていないと発表
州軍の動員状況(5月21日現在)
●4月9日現在での州軍兵士の動員数は27000名が召集。前日より約5000名増加。24日現在で動員された州兵の24名に感染確認。内1名は州軍司令部勤務。3月18日には、近く1万人以上となると州軍司令官(空軍大将)が発言
●州軍の動員数推移→19日で2020名、20日に3330名、22日で7300名、23日で8000名、24日で9000名,25日で10700名、26日で11400名、27日で12300名、30日で14830名、31日で16130名、4月1日で17250名、2日で18500名、6日で22000名、7日で27000名、9日で29400名、10日で28000名と4月10日に始めて減少、13日は28000名で変化なしも、14日に3万名、17日に33000名、20日に36750名、23日に43300名、28日と30日で45000名、5月4日で46500名、8日で46500名、11日は46700名、15日で47000名だったが、21日は45850名と初めて減少傾向に
●州兵の感染者数は4月17日で115名(0.4%)
●しかし一方で、総数45万人の州軍の全ての招集には莫大な費用が必要で、現時点ではそんな計画はなく、やらせるべき仕事もないと同大将は発言
●また、州軍を政府直轄(Federalizing the Guard)で使用する権限が大統領にはあるが、「現状では、州軍は州の管轄化で活動することが最も効率的であり、政府直轄は意味がない」と明言
●3月30日、エスパー国防長官がニュージャージー州軍の兵士1名がコロナ感染で死亡と発表。州軍初の犠牲者
国防省と米軍の動き(5月21日付までの報道)
●4月9日に国防長官と統合参謀本部議長がネット放送で、州軍等を含め米軍計5万名がコロナ対策に従事と説明
●統参議長は同ネット放送で「危機の米国に手を出すな。痛い目にあうぞ」と敵対国を想定し発言し、「兵士の感染は0.1%以下で米軍の即応態勢には全く影響なし」と強調
●3月26日国防省は「給与と休暇」に関する指針を発表し、パンデミックの状況に鑑み、各自が最善の道を選択するよう指示。
●3月25日国防省は、全ての米軍人と文民職員の不要不急の移動を、2-3ヶ月間停止すると発表。今後60日間で移動を予定していた約9万人が影響を受ける模様
●4月14日、エスパー国防長官が、米軍と文民職員への「不要不急」の移動を避ける指示を、5月1日から延長すると発言し、時期については複数の国防省関係者が夏ごろまでと発言
●5月5日、エスパー長官が米軍兵士を4階層に分け、段階的に抗体保有を調べる検査を行うと発表。第1階層の核任務や領土保全兵士の検査は終了。次の階層の海外派兵兵士の検査を開始
●5月11日、米海軍トップの家族の感染判明でGilady大将が隔離状態に。また州軍司令官自身が陽性判定で隔離(のちに陰性判定も不安定な検査結果)。ホワイトハウス内でも陽性者複数発覚
●3月26日、アジア太平洋に展開中の空母ルーズベルトにグアムに寄航命令。乗員20名に感染確認、2週間前にベトナムのダナンに寄航
(本件に関し、空母艦長が指揮系統以外を含む軍内各方面に救援要請レターを送り、それが外部に漏れたこともあり、艦長が更迭される。2日で感染者70名とも)
感染者90名以上を出し、窮状を訴えるレターを各所に送って即刻解任された空母ルーズベルト艦長を英雄視して見送る艦内集会の様子が4月3日SNS上で拡散。米国が好きな「自身を犠牲に部下を守た英雄」扱いですが、この密集集会を見せられると・・
続報、空母艦長を更迭した海軍長官が空母を訪問し、艦内放送でメディアへの艦内状況のリークはするなと乗員に指示したが、その様子がSNSで直ちに拡散し、米議会や大統領が問題視。海軍長官は謝罪させられ、4月7日夜に辞任。米海軍の闇深し
●少なくとも同空母の乗員450名がコロナ感染判明。日本駐留の米海兵隊から約230名が対処のためグアムに到着
●4月10日、エスパー国防長官が前艦長の復帰について、全ての選択肢が検討されている、と語る
●4月22日現在、米海軍艦艇26隻(すべて入港中)でコロナ感染者、任務従事中の90隻に患者なし。米軍内で最も感染者が多い米海軍で累計1298名感染、空母ルーズベルトが777名占める
●4月24日、米海軍トップのGilady大将とエスパー国防長官が会談し、更迭された艦長の復帰を米海軍側が要望。国防長官は時間をかけて考える必要があると対応したとか・・・新聞報道です
●4月6日、在日米軍司令部は『公衆衛生上の緊急事態宣言』を発令(5月5日まで)
この宣言により・・・
—駐留する米軍隊員、軍属らの健康を守るための対策を取る権限を司令官に与える
—司令官は米民間職員、嘱託社員、日本人職員、米軍属に対し、(軍人には既に命じていた)ウイルス拡散を阻むための規則遵守を命じることができる
●嘉手納基地は3月30日から2日間、完全活動停止を決定。欧州から帰国の2兵士の感染が確認されたことを受け
●米議会は、この夏に退役を予定している米軍主要幹部に関して、大統領の判断で退役を伸ばして継続勤務させることを可能とする法案を準備中。主な対象者はGoldfein空軍参謀総長、Raymond宇宙軍初代参謀総長、Lengyel州軍局長官(空軍大将)らである
●エスパー国防長官は23日、陸軍の野戦病院5セットを準備しているが、まずニューヨークとシアトルに開設する方向だと発言
●同時に、膨れ上がる全ての州の要請には対応できないと発言。またペンタゴンと周辺への立ち入り制限を設け、入り口の限定、体温チェック等を行うと説明
●4月5日、米北米コマンドはニューヨーク市へ海空軍衛生関係者を1000名派遣すると発表。同市では既に2256名がコロナ関連で死亡
●25日、国防長官と統合参謀本部議長が同席でメッセージを発し、コロナ対策は数ヶ月を要し、部隊の即応態勢を低下させると発言
3月25日、米国防省が開設した誤情報対処webページ
「Coronavirus: Rumor Control」
→https://www.defense.gov/Explore/Spotlight/Coronavirus/Rumor-Control/
●統合参謀本部の医療担当トップは、「国防省のコロナウイルス対処の焦点が、米国内対処にシフトしつつあり、ウイルス検査を大規模に処理できるように施設容量の拡大を検討している」と発言。17日時点までに米軍の17箇所で計936ケースの検査を実施
●米軍医科大学の4年生170名(正式な資格未取得)と看護学生60名を、4月から医療現場に派遣し、資格ある医師等の下で関連業務に従事させることを決定。同大学48年の歴史で初の決断
●米陸軍が、特定の医療分野の退役済みの元医療関係者80万人に臨時現場復帰の希望者募集を行ったところ、3月27日までに1.4万人の反応があり細部を調整中。麻酔科、緊急治療室、呼吸器科などの分野で募集
●4月10日、米陸軍は退役済みの元陸軍医療関係者25000名が現場復帰し活動中と発表
●ペンタゴン勤務者に対し、可能な者はテレワークに移行してよいとの指示発出。一方で、米国防省全体でテレワーク使用者が急増し、国防省ネットワークの容量限界に迫りつつある
●米中央軍は、中東展開中の全ての部隊の移動を14日間禁止し、コロナ感染拡大を防止
●米欧州軍は、即応体制を維持しつつ、2600名の兵士を分散離隔(in self-isolation)し、訓練を中止
●米太平洋軍は25日、「Health Protection Condition Level to Charlie」にし、ハワイでの感染者急増を受け、部隊団結強化を訴え。米CDCが日本と豪州への渡航制限アップ
●26日、在日米軍が横須賀勤務の海軍兵士1名の感染確認を発表。初の在日米軍兵士の感染。15日に米国から入国し、観察期間で隔離されていた兵士。
●イラクでの多国籍軍によるイラク軍訓練は60日間停止。これに伴い、多国籍軍の訓練担当部隊2500名の一部(英軍兵など)が帰国開始
●アフガン駐留米軍の交代要員の派遣が延期となり、現在駐留している要員の現地勤務が延長。23日現地の米兵士4名の感染判明
●米戦略コマンドは、核抑止の3本柱は、業務に従事する兵士の管理を厳格にし、問題なく運用を継続中と発表
●米海軍の病院船2隻をニューヨーク(USNS Comfort:30日到着)と西海岸(USNS Mercy スタッフ800名、1000ベッド、12手術室:27日ロスに到着。シアトル周辺が感染者多いが、将来予測で加州へ)で活用へ移動。
●4月10日、2隻の病院船の中の1隻の派遣先変更を検討中と海軍関係者が語る
●4月30日、ニューヨークに派遣されていた病院船Comfortが帰還開始。3月30日から1か月間の支援で約150名の患者受け入れ。同市内の一般病院に余裕ができ始め、任務終了
●Goldfein空軍参謀総長は、米空軍の輸送機が、健康保健省を支援するため、ウイルス検査キットを輸送すると発表。また、重要輸送任務を担う搭乗員を隔離して稼動可能な要員を確保
●空軍輸送コマンドは、爆撃機の運用維持と戦闘機の領土保全任務を優先して輸送任務を担い、それ以外については優先度を下げるとの方針決定
●4月10日、米空軍C-17輸送機が、初めて輸送機用の特別患者空輸コンテナを使用し、3名の感染者をアフガンなら独の病院へ空輸
●米空軍士官学校は、ほとんどの生徒を帰省させる措置を開始。また4年生を例年5月の卒業より早く卒業させる方向を決定。24日から士官学校の業務をほぼ停止米空軍の教育訓練コマンドは、現時点で同コマンドの実施する教育課程は、ウイルス対策に配慮しつつ行っているが、操縦教育課程も含め大きな影響は受けていないと発表。一方で新入隊者の受け入れ要領を、早急に見直し、各地域の関係部署と調整する必要があると発言
●米空軍は3月31日、各級指揮官の判断により、兵士の安全や健康確保のため、「頭髪基準」からの逸脱を許容してよいと通達。理髪店での感染拡大を懸念して
●4月22日、空軍参謀総長は、6月1日からワクチンが開発されるまでの約1年間、何回もの感染の波が繰り返される状況を予期し、「新しいアブノーマル」態勢で任務を行うと表現。「ワクチン開発成功まで」との具体的表現で長期戦覚悟と語る
●国防省は、戦略備蓄している500万個の医療用マスク(N95 respirator masks)、2000台の移送可能な呼吸補助機を、ウイルス対処に使用すると発表
●陸軍参謀総長は、兵士募集所を全て閉鎖と発表。応募者に6名感染者発見を受け。SNSやネットを使用した対象者とのコンタクトに移行を進めている
●米空軍は新兵採用者に感染者発覚が続いていることから、受け入れ基地をミシシッピ州の1箇所にまとめることを決定。4月7日までに実施
●米軍基地数箇所で、ドライブスルー式のウイルス検査所を開設
●4月28日、米海軍と米空軍の飛行アクロバットチームが、コロナと戦う関係者への敬意と感謝を示すため、全米の都市上空を飛行するイベント「America Strong」をニューヨークなどで開始。皆が久しぶりに見上げる大空と華麗な編隊飛行に歓声を。今後全米の都市を巡回飛行へ→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-04-29-1
●コロナ対策一色の地域コマンドのwebサイト
在日米軍のwebサイト
→https://www.usfj.mil/
●陸海空海兵隊により多少の違いはあるが、日常生活に必要な買い物や医療機関利用を除き、レストランや娯楽施設やジム等の混雑する場所への立ち入り禁止。基地の職場と自宅の往復程度に行動を限定。
●直接指揮権のない基地に勤務する文民職員に対しても、軍人と同様の行動を期待する
米太平洋軍のwebサイト
→https://www.pacom.mil/
●太平洋軍としては、感染拡大防止の基本ラインを指示し、細部は各地域の状況や特性に応じて隷下部隊長が指示するスタイル
●全世界で計画の米軍の主要演習が続々中止や延期
— 規模期間縮小 RIMPAC2020 ハワイ州から中止の要請を受けた米海軍は、陸上でのイベントミニマム化、開始時期の6月末から8月上旬延期、期間の短縮5週間から2週間
— 大幅に規模縮小 Defender 2020(米本土から欧州への地上部隊の大規模機動展開を計画)
— 大幅規模縮小 米韓合同演習(3月から予定)
— 中止 African Lion(3月23日から予定 5000名規模 北アフリカ諸国との多国間演習)
— 途中中止 Cold Response(ノルウェーで始まっていた8カ国演習を中断中止 約15000名参加中)
— 中止 Red Flag-Alaska 20-1(4月30日から予定)
— 延期 2回目のJADC2(4月8日から予定 ABMSなど連接を実験検証する演習)
●国防省の調達担当次官室等は、軍需産業幹部に対して毎日連絡を取り、コロナウイルスが軍需産業基盤にどのような影響を与えているかフォローを継続中。ちなみに、ボーイングとロッキードは、主要な国防省発注システムの製造を継続中。
●F-35組み立て工場(FACO)は、3月16-17日閉鎖していたイタリアが18日に消毒の後再開、名古屋は3月9-13日閉鎖も再開済み、テキサスは継続操業中
●4月19日付で関連軍需企業に対しLord調達担当次官は、「critical infrastructure industry」だと国土安全保障省から指定されている軍需企業は、この状況下でも業務を通常通り計画された様に継続することが期待されていると通知。「国家的非常時において関係企業の協力が不可欠であり、従業員の安全に最大限の配慮がなされるよう、企業と緊密に連携をとりつつ、国家安全保障関連任務を遂行していく」と
●「critical infrastructure industry」に含まれるのは、「aerospace sector; mechanical and software engineers; manufacturing/production workers; IT support; security staff; security personnel; intelligence support; aircraft and weapon systems mechanics and maintainers; suppliers of medical suppliers and pharmaceuticals; and critical transportation」
→https://www.defensenews.com/pentagon/2020/03/20/pentagon-declares-defense-contractors-critical-infrastructure-must-continue-work/
●投資会社が、軍需企業の株価回復には1年以上の長期間が必要だろうと発信
●米空軍省のRoper調達担当次官が、調達関連職員は懸命に努力しているが、新たな職務遂行方法を生み出す必要があると3月25日発言
●4月20日、調達担当Lord次官は会見で、米軍の主要装備調達は航空分野を中心として操業停止などに追い込まれており、おおむね全ての計画が3ヶ月程度遅れている、と説明。企業へのキャッシュ提供のため、契約行為の迅速化を進めていると説明
その他
●米議会が、2021年度予算案関連の審議要領について「わいがや検討会」
●ロンドン郊外で7月20-24日の間に予定されていた、世界最大の航空見本市「Farnborough Airshow」(隔年開催)の中止が決定
●3月26日、米国防次官が緊急会見し、コロナ関連で資金繰りに不安がある小規模なハイテク企業に、中国資本が接近して技術流出の恐れがあると警戒し、監視を強化し、安全保障関連企業との連絡を密にして相談に乗る等に取り組むと発言。専門家は防ぐのは困難と諦め気味
→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-03-26
●4月30日、再びLord調達担当次官が外国資本の国防産業への接近を警戒し、小規模だが重要な海軍や空軍関連部品を製造する企業が危ないと
●5月13日、衛星通信企業Intelsatが破産宣言。国防関連分野は対象外となるが、国防関係者は中国資本の浸潤を強く懸念
●5月13日、Will Roper米空軍調達次官補も、航空・宇宙・マイクロエレクロニクス関連の企業で、民生部門に比重がある企業が切迫しており、国防省ですべてに対応できわけではないと苦しい状況を吐露
Defense-Newsが調べた各軍需産業の状況(3月18日時点)
→https://www.defensenews.com/coronavirus/2020/03/18/we-asked-defense-companies-how-theyre-impacted-by-the-coronavirus-heres-what-they-said/