本ブログでは、しばしば米空軍協会が発行する「Air Force Magazine」の記事を紹介していますが、本日は海兵隊版の雑誌「Marine Corps Gazette」8月号に掲載された現役海兵隊軍曹によるエッセイを紹介します。
このエッセイは、2009年の「Chase Prize Essay Contest」で第2位を獲得した作品で、「Fire support’s dependence on contractors」とのタイトルが示すように、常に最前線への一番乗りを目指す海兵隊の火砲が民間業者に依存しすぎてることへの危機感を表現したものです。
作者であるTimothy Caucutt軍曹(SGT)は、海兵隊の砲兵部隊で沖縄やアフガニスタン勤務を経験し、米本国の砲兵学校で教官を務めた経験の持ち主です。
同エッセイが示す海兵隊の火砲の現状と軍曹の疑問は・・・
●新型の曲射砲M777(New M777 ultra-lightweight titanium-enhanced howitzers)は技術的にいろいろな噂が絶えない装備である。私は、海兵隊がこの新装備を民間契約業者の助け無しに運用できるのだろうかとの疑問を持っている。
●同曲射砲のコンピューターシステムは頻繁に誤作動するため、我々兵士は頻繁に民間業者に修理支援を依頼しなければならない。このため部隊の柔軟性が損なわれているように感じている。
●業者への依存は同時に、兵士の能力を低下させている。これに対処するため、海兵隊は業者への依存を見直し、兵士の教育を強化すべき。
●火砲、迫撃砲、水上砲、CAS装備などは代表的な海兵隊装備であるが、必要性が曖昧な部分にまで自動化が進んでいる。例えば戦術データシステムやC2システム関連である。
●勿論これらのシステムは、データ計算、目標追尾、データ通信に重要である。しかし、一端トラブルが発生した場合、民間契約業者に電話することが最優先になってしまっている。訓練であればやっかいなことで片づけるが、実戦であれば生死に関わる問題である。
●頻繁に問題が発生する高度なシステムが、本当に低劣度の戦いに不可欠な装備なのか・・・多様な角度から再評価が必要なのではないか。(以上が記事概要)
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新型軍事装備品の予算要求は、新たな脅威があり、その対処に新たな技術やシステムが必要と主張して進められることが多いようで、益々装備の複雑化が進んでいます。
その結果現場では、不要な又は滅多に使用しないボタンや仕組みが追加された装備が兵士を困惑させているようです。
身の回りにもありそうですね・・・こんな製品。
今後2週間くらいは、夏休み期間として毎日更新できないかもしれません・・ご勘弁を
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