2日付Defense-Newsによれば、拡大が予想されるアジア軍事市場を狙ってか、米軍需産業が豪州との結びつきを強め、豪州地元産業も米企業との協力関係構築を狙っているようです。
マーケットを求めて動くのが企業の習性ですが、その動きの素早さに感心させられます。
また同時に、中国から少し距離がある一方で、ASEAN等のアジア市場に近い豪州の微妙な地理的利点が浮き彫りになった形です。
日本や韓国企業と組んでくれればいいのでしょうが、日本は法的制約があり有事被害を受けやすいし、韓国は信頼できないし北朝鮮や中国に近いし・・
米軍事産業が豪州に触手を
●Northrop Grumman社(NG社)は2月に「Qantas Defence Services」に買収し、地域のロジスティック業務のハブ化を目指しており、業務の多様化を図っている
●5月28日、NG社副社長は講演で「世界市場で生き残るには種々の方法があるが、地域のパートナーと組み、必要なその能力を獲得する事も出来る」と豪州での手法を表現した
●この買収により、NG社は豪空軍が保有するC-130、A330タンカー、B-737、CL-604要人空輸機の整備維持や兵站支援を引き継ぐことになる。
●更にNG社は、豪空軍が購入を開始しているFA-18、EA-18G、F-35、MQ-4無人機(全ての機体にNG社は関係しており、MQ-4はNG社が製造)の支援も手がけたいと狙っている
●NG社はまた、当地域でも広く使用されているC-130に、対赤外線自己防御装置を売り込もうと考えている
●NG社以外にも、「Exelis」社がメルボルンにアジア太平洋支局を立ち上げた。同社は当地に、研究開発と試験評価施設を立ち上げたい意向を持っている。同社はネットワーク、ISR、電子戦分野で、同地域の航空業界や軍事産業部門への進出を図っている
●「Exelis」社は、豪州の軍事通信企業C4iを2013年1月に買収し、足場を固めつつある
豪州企業も米企業との関係模索
●元豪国防相のRic Smith氏をリーダーとする国主導の「Victoria Defence Council」のメンバーは、5月に米国の主要な軍需産業を訪問して豪州軍需産業を売り込み、今後の関係強化を模索した
●豪州のメンバーが訪問したのはNorthrop Grumman, Honeywell, General Dynamics and Lockheed Martinで、豪企業はこれら米大企業の「supply-chain」に加わりたい希望を持っている
●5月22日にSmith氏はワシントンでの会合で「豪企業は特定の一時的な契約を求めてきたのではなく、米大企業の下請け(support)を希望することを選択した」と考え方を明らかにした
●Smith氏は「豪州の多くの中小企業は民生品と軍需品の両方を手がけており、今後もその方向で進めたい。五輪の自転車競技で金メダルを獲得した自転車メーカーが、軍需品にも進出いている」と状況を語った
●Smith氏は、既にBoeing and Lockheed Martinの部品製造や部品組み立てを始めている企業もあると語った
●同氏はまた、米企業に対し豪州への進出を拡大するよう進めている。
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中国からの攻撃を受けにくく、アジア市場に近いとの利点を生かし、豪州と米国産業の利害が一致したわけですが、やはりアングロサクソンの繋がりの強さでしょう。
豪州が次々に米軍のローテーション派遣を受け入れる背景には、このような経済的メリットも計算ずくだったのでしょう。
日米豪もシャングリラ会合で3ヶ国協議(→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-05-27 )を行い、対中同盟を印象付けましたが、どうしても豪州とNZは好きに成れません。捕鯨や核に関し、好き勝手な「理想論」を振りかざす辺りが・・。日本もでしたか理想論者は・・
米豪関連の過去記事
「成果無し?:豪新政権で米豪2+2」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-11-22
「米豪軍事演習」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-08-07
「統合の基地奪取訓練」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-05-05
「米軍が豪へ避難訓練!?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-08-02
「米が豪に宇宙レーダー移設」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-11-15