英新型空母と米駆逐艦が空母攻撃群を編成し作戦行動へ

艦載機F-35を必要数購入できない英軍と
F-35搭載可能な強襲揚陸艦火災損失の米海軍
悲哀に満ちた「win-win」関係とも考えられ・・・

Queen Elizabeth.jpg18日、英海軍の新型空母エリザベスと米海軍の駆逐艦Sullivansが空母攻撃群を編成し、空母エリザベスの指揮のもと、2021年後半から作戦行動を行う旨の合意文書に、米国防長官(20日退任のMiller臨時長官)とBen Wallace英国防大臣が署名しました。具体的には、今年後半に英国ポーツマス港から艦隊として行動を開始する予定だそうです

この米英混合編成の空母攻撃群については、昨年11月に英国のジョンソン首相が、「空母エリザベスが英国と同盟国の空母攻撃群をリードし、最近20年間余りで最も期待に満ちた作戦行動を開始する」、「我々はより多くの海軍アセットを世界で最も重要な地域に派遣し、我が国を支える海上交通路を守る」、更に「地中海やインド洋や東アジアで任務に就く予定」で、英米同盟のさらなる深化を象徴するものだと説明していたところです

Sullivans USS.jpgちなみに空母エリザベスは、2017年春に進水し、昨年2018年夏から秋にF-35B搭載試験を米東海岸沖で3機の英軍F-35Bで開始し、2020年の秋は更に搭載機数や運用レベルを上げて「作戦能力試験:Operational Trials」を終了させ、2020年12月に初期運用態勢を宣言したばかりの英海軍新型空母です

ただし同空母は35機のF-35B搭載可能な設計になっていますが、厳しい財政事情から英軍は現時点でも最大24機の調達計画した打ち出せず、昨年夏時点で17機しか入手できていない状況です。その穴を埋めるかのように、米海兵隊F-35Bを同空母で運用させる枠組み作りや訓練が実施され、実際に昨年9月の同空母最大能力発揮試験は、10機の米海兵隊F-35Bが同空母に展開支援して米東海岸沖で行われたと記憶しております

F-35B.jpg米英力軍はこの試みを、単なる「相互運用性: interoperability」ではなく、相互に保有アセットを入れ替えても作戦運用可能な「戦力互換性:interchangeability」を目指す取り組みだと「美辞麗句」で表現していますが、英軍F-35機数不足加え、F-35搭載に向け改修中だった米海兵隊強襲揚陸艦Bonhomme Richardが昨年7月の火災で再起不能となり、F-35搭載可能艦艇の不足に悩む米海軍海兵隊にとっても「頼みの綱」の空母エリザベス様・・・状態となっています

もちろん、難しい空母運用を異なる国のアセット混合で行うことは非常にハイレベルな作戦運用であり、「戦力互換性:interchangeability」との一段高いレベルが米英同盟本領発揮の象徴であることは疑う余地がないのですが、互いの苦しい台所事情を慰めあう悲哀に満ちた「win-win」関係とも表現できましょう

20日付Military.com記事によれば
18日、米国防省は合意文書への両国の署名を受け、「この合意は、米国防戦略NDS実行のカギとなる米英同盟の強固さと相互運用性が、更に進化していることを裏付けるものである」との声明を出している
Wallace UK.jpgWallace英国防大臣も、「英国が21世紀の空母攻撃群を保有できたことを喜びとするとともに、これを可能にしてくれた過去10年余りにわたる米国の揺ぎ無き支援や協力に感謝する」と語った

米海兵隊の元航空部隊司令官であるSteven Rudder退役中将は本件に関し、空母エリザベスへの米海兵隊F-35の搭載運用について、「新たな運用形態標準:new normとなるだろう」と述べている
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「戦力互換性:interchangeability」確保に向けて努力されてきた米英両軍の皆さんにとって、少し失礼な表現の紹介となってしまったことを反省しております

Queen Elizabeth2.jpg日本が導入予定のF-35Bも、「新たな運用形態標準:new norm」への参加を打診されるのでしょう・・・。少なくとも訓練レベルでは

この法的整理は難しいでしょうねぇ・・・。作戦運用面では、航空自衛隊のパイロットが操縦ですから、海軍海兵隊式の運用になれることも容易ではないと思います

英空母エリザベスの悲しき現実
「コロナ下で800名乗艦で最終確認試験」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-05-01
「英空母エリザベスは米軍F-35B部隊と一体運用へ」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-11-26-1
「英海軍と英空軍共有のF-35Bが初任務」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-06-27
「米海兵隊F-35が英空母へ展開へ」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-05-09
「米軍F-35Bを英空母に」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-12-16
「英空母が航空機不足で米軍にお願い」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-10-03
F-35搭載改修終了直前の惨事(放火)
「強襲揚陸艦Bonhomme Richard火災の衝撃」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-07-15

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