5世代機にはバーチャル訓練が必要

F-22 refuel.jpg25日付Defense-Newsは米空軍関係者の話を集め、高性能の第5世代戦闘機(F-22やF-35)の能力を最大限活用生かした訓練を行うには、「Red Flag」のような実戦的訓練でも限界があり、バーチャルな仮想空間でのシミュレーション訓練の併用が不可欠になるとの記事を掲載しました
先日ご紹介したように、実戦を10回経験すると操縦者の生還率が格段に向上することから生まれた「Red Flag」のような実戦模擬演習ですが、アセットがあまりに高度化し、全てを実環境で模擬することが難しくなっているとは皮肉な話です
25日付Defense-Newsによれば
virtual training1.jpg●7月の講演で米空軍戦闘コマンド司令官のMike Hostage大将は、「第5世代航空機が我々に提供してくれる能力や破壊力に応じた演習環境を準備することが、Red Flag演習でも困難になりつつある」と語った。
●同大将は「従来の実環境での演習では、5世代機に全ての能力を発揮せよと命じることが出来ない。まず同アセットの破壊力があまりにも強烈であり、更に我々の能力を相手に知られたくないからである」とも付け加えた
●これまで年間4回開催され、毎年約2.7万人が参加して1200機の航空機を2万ソーティー飛行させ実戦的訓練を行ってきた「Red Flag」だが、アセットの全ての能力を訓練できなくなっている
●米空軍のシミュレーション訓練を担当するFranz Plescha大佐は、コスト削減の観点からもバーチャル訓練への関心が高まっていると感じており、「高級幹部からバーチャル訓練へのサポートはあり、その点では困難な状況にはないが、予算確保の挑戦は存在している」と現状を語っている
virtual training2.jpg●同大佐は「バーチャル技術は急速に進歩し、実環境との違いがなくなりつつある」と産業界の能力を評価しているが、米空軍ISR庁のJack Shanahan少将は「不十分なバーチャル環境で間違った訓練を行っては決してならない」と5月の講演で強調し、「過去のバーチャル訓練からすると、まだまだ投資の必要な部分が多い」と注意を喚起している
●前出のHostage大将は、バーチャル環境を生み出すネットワークをハッカーから防御する必要性を課題としてあげつつ、バーチャル演習ではアセットの能力を発揮し、実演習では体験できないミサイル発射や破壊行為を参加者が体験できる事を利点として指摘している
戦闘支援分野ではよりバーチャル訓練が進んでいる。医療スタッフの訓練や精密誘導爆弾を誘導するJTAC(Joint terminal attack controller)要員の訓練、また最近ではF-35整備員の訓練も、実機での訓練の前にバーチャル環境で経験を積ませている
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virtual training7.jpgバーチャルな訓練が飛躍的な効果を生むのが「無人機」です
無人機の能力にはまだ限界があり、操縦者の現場での判断が不可欠な部分もありましょうが、パイロットの訓練が実飛行によらなくて良い点では無人機の利点は圧倒的です。
パイロットの育成や技量維持に必要な経費は、航空機の減価償却や部品費や燃料費や騒音対策経費等々、整備員等の地上勤務員の維持養成も含めると、有人機のトータルコストは莫大です
一方、無人機を遠隔操作の場合(グローバルホークのようにほぼ完全自動なケースも今後増えると予想)でも、バーチャル環境での訓練でほとんどカバーでき、有人機に比して所要機数も少なく、維持経費も格段に低くなると考えられます
最近の「Red Flag」演習と予算不足
→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-08-07

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