イスラエルはF-35を中東で独占可能?

「サウジはイスラエルがF-15を入手後、僅か3年で同機を手にした。F-16の場合、エジプトはイスラエルの僅か2年後だ」
「F-16は、10年以内にバーレーンやUAE、オマーンやモロッコに提供され、今やイラク人も飛ばせている。次はレバノンか?」
Israel US2.jpg9月12日付Defense-News記事は、米国首脳が米議会内で「イランとの核合意:JCPOA」への支持を得るため、イスラエルやユダヤ系議員への懐柔策を行っているが、その重要なカードの一つが「イスラエルの軍事優位を維持するため、中東でイスラエル以外にはF-35を売らない」手形だと報じています。
現時点では「中東ではイスラエルだけに売却」と米国は言っていますが、サウジを筆頭とする湾岸諸国もJCPOAには懐疑的で、米国として湾岸諸国のF-35要求をいつまで拒否できるか疑問だと誰もが考えており、誰も答えられない「How long イスラエル独占?」との質問が中東を漂っているようです
過去5年間、当初は「アラブの春」と言われた中東の変革が、「IS」拡大につながるジェットコースター状態を経験した中東では、誰もが疑心暗鬼な状態にあり、「イスラエル独占」の言葉もむなしく響く今日この頃のようです
12日付Defense-News記事は
Israel US.jpgオバマ大統領は先月、ユダヤ系の議員に「イスラエルは米国がF-35を売却する中東で唯一の国だ」と書かれたレターを送った。バイデン副大統領は5月のイスラエル独立記念日式典で「来年イスラエルにF-35を提供するが、中東で5世代機を保有する国となる。他にはないのだ」と語り、大喝采を浴びた
ケリー国務長官も2日付の複数議員宛のレターで「イスラエルは2016年にF-35初号機を受領するが、米国製5世代機を保有する地域唯一の国となる」と訴えている
イスラエル国内ではネタニアフ首相に対し、イスラエルが長期に渡り、中東で唯一のF-35使用者であることを米国に確約させるようホワイトハウスに圧力をかけるべきだとの要求が強まっている
●長年イスラエル国防省で米国との交渉をリードするAmos Gilad氏は「永久だ」と語り、「米国は中東ではイスラエルにしか売らないと言っている」とDefense-Newsに語った
Obama GCC.jpgしかしGilad氏も事態の難しさを理解しており、「継続する極めて複雑な交渉であり、コメントできない」、「イスラエルの周辺国との優位性維持は必要不可欠で、多くの交渉を行っている。しかし中東では、話し合いはCheapだ」とも語っている
●元イスラエル空軍将軍で安保研究所長であるYadlin氏は、「湾岸諸国のイランへの警戒心も理解でき無視できないものであり、イスラエルの独占要求と湾岸諸国の要求のバランスを取るには、芸術的な采配が求められる」と難しさを表現している
Lockheed社は40周年4千機F-16の夢よ再び?
●F-35を製造するLockheed Martin海外販売担当Steve Over役員は、「昨年F-16は製造40周年を迎え、4000機以上の実績を刻んだ。F-35も今後40年でF-16の道を歩む可能性を誰も否定できない」と不適な自信をのぞかせつつも、輸出対象国の選定に関しては「高次元の国家安全保障上の要求から決まるものであり、政府の指示を受けて将来も輸出を行う」と語っている
Israel F-35.jpg●イスラエルの野党議員で退役将軍のBen-Reuven氏は、「中東情勢の予測を行った全ての情報機関、そして全ての手法は、アラブの春の進展に関し過去5年間で完全に予測を誤った。イスラエルも米国も、誰もシリアやリビアやイエメンでの出来事を予測できなかった。今日サウジは安定しているように見えるが、明日のことは誰も判らない」と危機感を露わにした
●中東安全保障を専門とするEfraim Inbar教授は、「米軍需産業や湾岸諸国からの強烈な圧力を前に、米政府がイスラエル独占を維持できるか疑わしい」と語り、「過去、米政府はイスラエルやユダヤ系議員の反対を押し切り、サウジにF-15を売却した。F-35が例外だと誰が言えよう」とつぶやいた
●匿名のイスラエル政府関係者は、「サウジはイスラエルがF-15を入手後、僅か3年で同機を手にした。F-16の場合、エジプトはイスラエルの僅か2年後だ」、「F-16は、10年以内にバーレーンやUAE、オマーンやモロッコに提供され、今やイラク人も飛ばせている。次はレバノンか?」と語った
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F-35 Israel3.jpgF-35ならまだしも、これが核兵器等の大量破壊兵器の拡散につながることを危惧します。
イスラエル発の記事でイスラエル目線の論調ですが、イスラエルにも考え直してもらわないと行けません。兵器技術や兵器の拡散は避けられないものですから、緊張緩和の道も模索して欲しいものです
15年前、当時のシャロン首相が神殿の丘を訪れ、パレスチナとの緊張の引き金を引いたのです。それ以前はパレスチナとの共存の流れがあったはずなのに・・・
ハイテク企業の一大拠点になったイスラエル。平和と安定さえ確保できれば、技術と知恵で世界をリードできる国だと思うのですが
「湾岸諸国はF-35不売に不満」
http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-05-16
イスラエル関連の記事
「イスラエル技術が中国へ?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-08-24
「イスラエルと中国が大接近」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-03-04-1
「中国に最新軍事技術流出」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-12-25-1
「起業大国イスラエル」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-06-20

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