80年代以来のロシアの動きを西側が警戒
31日付Fifthdomainは、世界の情報通信を担う海底光ケーブルの周辺で、ロシアの深海海洋調査局に所属する「Yantar」との調査船がここ数年怪しげな動きを見せていると警戒する西側諸国の様子を報じています。
海底光ケーブルは世界の海に約400本が設置され、その総延長は地球を25周する長さにも及び、世界中の電子メールや電話やテキスト情報を運ぶことで、毎日1000兆円もの経済取引を支えてると推計されています
直径3㎝程度のケーブルの位置は公開情報で容易に確認でき、特に地上から海にケーブルが入る地点にはケーブルが集まっており、格好の脆弱点を形成しています。
調査船「Yantar」が何か悪さをしているという証拠は全く無いようですが、同ケーブルが極めて重要なのにあまりにも脆弱であるため、西側諸国は80年代以降初めて復活し始めたロシアの動きに深い悩みを抱えてしまったようです
31日付Fifthdomain記事によれば
●同調査船はロシアの「Main Directorate of Deep Sea Research」に所属し、全長約100mで60名あまりの乗員で運用される程度の艦艇である。最近ではアルゼンチン海軍の潜水艦がゆくへ不明になったことを受け、捜索のためアルゼンチンで目撃されている
●ロシア議会の文書によれば、同調査船は深海調査や秘密情報を扱う海底ケーブルの接続業務を行うとされており、2015年9月には米ジョージア州の米海軍潜水艦基地の近くで米潜水艦や各種センサーやネットワークの調査を行ったと記録されている
●ロシアのTV局は、ケーブル接続だけでなく、特別な装備を用いてケーブルの切断や海底センサーの妨害を行うことができると報じたこともある。なお、ロシア国防省は同調査船に関する質問に一切回答をしてくれない
●調査船「Yantar」が悪事を働いている証拠はないが、同艦艇が緊要な海底ケーブル敷設海域で遊弋したり、艦艇識別装置のスイッチを切って活動していることがある点を指摘し、将来の軍事作戦行動に備えた情報収集を行っているのではといわれている
●海底光ケーブル関係のトラブル発生時にその周辺に現れて状況を観察しているように見える活動もしばしば確認されており、2016年10月にはシリア通信会社のシリア地周辺を結ぶケーブルの緊急メンテナンス時に現れたり、湾岸諸国とイランを結ぶケーブルにトラブルが発生した2016年11月にもイラン沖に出現している
●海底ケーブルは一般社会インフラとしてだけでなく、米軍の軍事作戦にも使用されており、例えば2008年にイラク上空での米軍無人偵察機の活動を中断したケースでは、同無人機を操縦する米本土とイラクを結ぶケーブルが船の錨で切断され、数日間無人機の運用が停止した例もある
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考えれば考えるほど、我々の日常生活は脆弱な基盤の上に成り立っています。
全長100mの調査船一杯に夜も眠れず・・・の心境です・・・。
中国もいろいろ悪さを考えているんでしょうねぇ・・・
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