米空軍ACC司令官がEW体制見直しを語る

電子戦専用機は現時点で考えない
基本DistributedなEW戦略で行く
Electronic Warfare.jpg16日、米空軍戦闘コマンド司令官Mike Holmes大将が米空軍協会のイベントで講演し、米空軍が1年かけて行ってきた電子戦EW見直しの結果について、限定的ながら少し具体的に語り、新たな空軍司令部での部署設置や装備品整備の方向性について触れました
講演後に米空軍報道官室には、講演内容に関する具体的な時程や細部を確認する問い合わせが相次いだようですが、講演内容以外については答えられないとの姿勢で終始一貫しているようです
米軍だけでなく米国防省も最近は、中国やロシアを利する可能性がある構想や戦略やレビュー文書の細部を非公開にすることが多く、このような講演の切れ端も貴重な情報ですのでご紹介しておきます。
16日付米空軍web記事によれば
HOLMES4.JPG●同司令官は、約1年間に渡りEWに関するECCT(Enterprise Capabilities Collaboration Team)が検討した電子戦レビュー(review of electronic warfare) について、電磁優勢EMSを将来にわたり確保するための新たな組織体制や施策について、従来よりも突っ込んで語った
●そしてECCTが同レビューが提言している主要な3点や関連事項について説明した。しかし、提言を実現する具体的な時期や要領等については言及せず、空軍報道官室も講演以上に説明できることはないとの立場を表明している
●まず電磁優位確保の責任者を空軍司令部におく
空軍司令部内に「EMS Superiority Directorate」を設け、将官をトップにつけ、空軍内のEWの優先投資事項を見極めさせる
—担当範囲には、無人デコイのMALD、F-15CやF-15E搭載のEPAWSS電子戦システム、ALQ-131電子自己防御装置、光電赤外線センサーF-35のEOTS、先進スナイパーポッド等々があるが、サイバー攻撃やサイバーモニターシステムが所掌範囲かは不明
●次に、バラバラな電磁優位活動を一つの組織に融合
—米空軍内の電子戦取り組みをまとめるマルチドメイン組織を設置し、ソフト開発などを集約する。本組織は迅速な脅威への対応を実現するため、「machine-to-machine」認知連鎖や適応をリアルタイムで追及し、勝利のため連携した「分散型システム:distributed systems」を敵電子優位システムを撃破するために展開する
●更に、米空軍内の電子線魂を再活性化
EW Cognitive.jpg—米空軍司令部の電子戦部門長を先頭にして、米空軍全体に電磁優位魂(EMS warrior ethos)を醸成するため、空軍全体を対象とした教育訓練プログラムを構築する。なぜなら情報作戦は電子戦担当者だけでなく米空軍全兵士が関わる戦いだからである
—米空軍のEWに関わっていた者は、10年以上にわたり、米空軍の電子線活動が縦割りで、中露の脅威に対し不適切な状態にあると不満を訴えてきた
●ECCTのGaedecke准将は、EWは国家防衛戦略の基礎であり、米空軍指導力がEWの研究、開発、技術、革新の全てで求められると述べ、同時に不遇の時代にもEWの重要性を訴え続けてきた空軍兵士に大声で感謝を述べたいと1月に語っている
●Holmes司令官はインタビューで、電子専用機で1999年に退役したEF-117のような機体を導入するつもりはないと述べ、「米空軍は今、分散型システム(distributed systems)を追及している」と説明している
●一方で同司令官は、突破型の電子攻撃プラットフォームを将来導入する可能性について否定せず、次世代制空のためのシステム検討の中で吟味されると表現した
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EW Cognitive3.jpgあまりパッとしない、レビュー前から分かっていたことじゃないの・・・と言いたくなるような内容です。
本当は、統合面での言及ももっと必要だと思うのですが、良くわかりません。相変わらず米海軍のEA-18Gに同乗させてもらってエスコートEWを実施している現状について、どう考えているんでしょう?
予算面での手当ては大丈夫なんでしょうか? とりあえずF-35とB-21に投資しておけば大丈夫・・・なんて本音も聞こえてきそうです
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