米空軍側は詳細な情報提供で再発防止徹底を理由に
巷では整備事故情報のSNSへの無断投稿防止のためではと
誓約書導入もSNSへの投稿で判明とか・・
10月16日付米空軍協会web記事は、米空軍が2024年8月頃から、航空機整備中の事故の教訓共有や再発防止のため、従来は組織全体に共有されてこなかった秘密情報を含む、事故の要因、調査結果、原因、事故対策としての推奨事項など、事故の全体像を教育する特権安全情報(PSI:privileged safety information)提供を開始し、同時に教育受講者に同教育内容を他者と共有しない秘密保持契約(NDA:nondisclosure agreement)への署名を求めていることを、米空軍が認めたと報じています
本件は、米空軍が最初に公式発表したのではなく、米空軍下士官の間で広く利用されている「非公式」のFacebookページ「Air Force amn/nco/snco」で、9月頃に兵士が本件関連の投稿をシェアして判明し、米空軍協会機関誌が10月14日にそのSNS情報を確認したものだそうで、取材の過程で空軍側に秘密保持契約(NDA)の内容公開を求めたが回答が得られなかったとも同記事は伝えています
米空軍側はSNS情報を追認する形で、空軍報道官が「事故再発防止のため提供され機密情報は、関係者の懲戒処分や機微な情報が漏洩する危険を抑えつつ、事故の全体像や教訓を完全に迅速に提供することを可能にし、米空軍の事故防止プログラムを支える」と説明し、米空軍の安全管理責任者である少将も「整備関連事故の増加に対応し、8 月に整備員へのトレーニングを拡大した」と補足し、
更に秘密保持契約(NDA)への署名を強制するものではないが、署名しないと今後毎年提供される特権安全情報(PSI)に当該兵士は接することができなくなり、「事故や怪我を防ぐための十分な準備ができない」ことになると空軍報道官は説明していますが、この種の整備事故の実態がSNS上に無断投稿され、米議会や空軍外から厳しく追及される事案が続いている最近の状況から、兵士による事故情報漏洩を防止する狙いが取材した関係者から指摘されていると記事は報じています
一方で併せて記事は・・・
●(現場の整備部隊チーフクラスに意見を求めたところ、)情報のSNS上への漏洩を防止する狙いがあるのかもしれないが、事故には多くのことが伴うので、全体像を把握するのに役立つと思う。最近無人機MQ-9のプロペラに接触する事故が発生したが、当該整備員はプロペラ回転時の接近禁止エリアや整備時に使用する用具の正しい使用法を理解していなかったことが判明しており、このような原因分析が迅速に部隊に共有されることが重要だと語っている
●空軍報道官は、本件は整備員を同じ信頼関係に組み入れて事故を防止しようとする取り組みで、この種の定期教育訓練を設けてこなかった米空軍の事故防止体制の欠落店を補完するものである。これまでは整備事故の教訓がきちんと空軍全体で共有される仕組みが不十分だった、と説明している。
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米国社会全体が契約社会であることを示す事例ですが、「整備員を同じ信頼関係に組み入れて事故を防止しようとする取り組み:This requirement is an effort to bring aviation maintainers into the same trusted fold to prevent mishaps」だと説明する米空軍報道官の言葉から、その運営の難しさを強く感じます
同時にSNS社会での軍隊活動の難しさを感じます
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