今頃感ありありですがcross-functional teamsを
2040年代を目指す遠大な・・・
自動化、事前備蓄、強靭化、ウクライナ教訓
3月29日付Defense-Newsが、米陸軍のFutures Commandと兵站コマンドが協力し、陸軍体制改革に取り組む「CFT:cross-functional teams」を対中国を念頭とした兵站(物資輸送・補給・維持整備)改革のために立ち上げ、米本土から遠く、かつ厳しい戦いが予期される戦域での「contested logistics」戦略や実施計画を煮詰めると報じています
このCFTは米陸軍Futures Command内に2018年に3分野(長射程精密攻撃火力Long-Range Precision Fires, 次世代戦闘車両Next-Generation Combat Vehicles and 将来垂直離陸型輸送ヘリFuture Vertical Lift)で編成されましたが、今回の兵站専用CFTは上記3分野以外で初のCFTとなる模様です
新CFTの細部は数か月後に発表するとFutures Command司令官のJames Rainey大将が28日に講演で語っていますが、兵站コマンドの関与を指示したWormuth陸軍長官は、従来のように敵の妨害なく自由に輸送活動が可能な環境に無い場所で、大規模な兵員や弾薬や装備輸送をどのように実現するかを検討する使命であり、「contested logistics」検討だと表現し、
Futures Command司令官は、「Top focus areas」として軍需産業界と協力し、輸送経路の安全性を改良向上し、輸送部隊の生存性や交戦能力を増強し、兵站物資の軽量化を図ることなどに言及しています
兵站コマンドで新CFT業務を所掌するMohan副司令官は、「2040年までに完全な改革を目指すもので、CFTはアジア太平洋戦域に焦点をあて戦略や実施計画を立案する。最も厳しい戦いが予期され、米本土から極めて遠く、海に隔てられている困難な環境での検討だ」と述べ、数週間後から複数の関連WarGameを開始すると語っています
更に米軍全体で分散運用を目指す観点から、地域諸国との関係を強化して小規模な展開拠点を新たに設置する努力を続けることや、併せてそれら拠点に弾薬や装備の事前集積を強化する考えをMohan副司令官は示しています
前線基地での装備や弾薬の事前備蓄について同副司令官は、ウクライナへの支援活動を通じて多くの教訓が得られ、敵の妨害がない場合の輸送能力把握に役立ったが、相手先の受け入れ態勢整度合いや保管設備はケースバイケースであり、事前備蓄と有事緊急輸送のバランスは場所により平時から慎重に見極めておく必要があることを強く感じたとコメントしています
更に、米陸軍の指揮統制システム改革(Project Convergence)と「contested logistics」を有機的に連携させ、必要な物資や装備の存在場所をリアルタイム把握とニーズ発生場所をAIも活用して結び付け、効率的な輸送計画作成や必要な機材の配分優先順位決定に活用して効率化を進めたいとMohan副司令官は語っています
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2026年には中国による台湾への作戦が始まる恐れがあると太平洋軍司令官が危機感を表明する中、2040年に完成を目指す「contested logistics」検討を数か月後から具体的に進めると言われても、その時間感覚は大丈夫ですか? 新CFTプロジェクトの説明ぶりとしてはよく考えた方が良いのでは? とご忠告したくなるのは私だけでしょうか?
まぁ、現段階では細部が良くわからない取り組みですので、とりあえず・・・と言うことでご紹介しておきます
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