昨年2月にベラルーシが憲法改正して着々準備
露の飛び地Kaliningrad地上輸送路閉鎖への報復的措置か
ベラルーシ利用のウクライナ空爆開始にあわせ
6月25日、ロシアのプーチン大統領はベラルーシ大統領とロシア第2の都市サンクトペテルブルクで会談後、ロシアがベラルーシに射程500㎞以下程度の短距離弾道&巡航ミサイル「Iskander-M」を提供し、更にベラルーシ軍保有のSu-25戦闘爆撃機を核兵器搭載可能に改修すると発表しました
ベラルーシは2021年2月、同国憲法の「nuclear-free zone:核保有しない国家」及び「中立的立場で」との表現を修正し、ロシア寄りの立場を鮮明にし、ロシアの核兵器受け入れ準備を進めていたと理解されていますが、ロシア飛び地領土「Kaliningrad」に続いて、NATOとの最前線にロシアの核を配備することになります
先日ご紹介したように、ロシアは本土と「Kaliningrad」を結ぶ鉄道貨物輸送や石油パイプラインが隣国リトアニアによって制限されたことに反発を強めており、欧州NATO諸国に接するベラルーシへの各ミサイル配備等によって、欧米各国をけん制するねらいがあるとみられます
プーチン大統領は25日、「この決定はロシアによってなされたものだ。今後数か月以内に核弾頭と通常弾頭の両方が搭載可能なIskander-M戦術ミサイルをベラルーシに移送する」と明言し、
ベラルーシのLukashenko大統領は、同国Su-25に核兵器搭載可能となるような改修をロシアに要請し、露大統領から露国内で改修を請け負うとの回答を得たと述べ、「我々は米国やNATOによる核兵器訓練を見せつけられ懸念しており、ロシアに対し同様の対応が可能なよう検討を依頼した。過剰な対応をするつもりは無い(without overdoing it)」と会談後に語っています
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ベラルーシが67機保有するSU-25は、旧ソ連が米国製A-10の影響を受けて1970年代後半に開発した対地攻撃機で、戦車狩りなど最前線の敵軍を直接攻撃することを狙った低速ジェット攻撃機で、1300機以上が製造されたベストセラー機です。ですが、「フロッグフット」のNATO名のように航続距離が短く低速であることから、戦術核兵器搭載機として「適当」なのか「?」ではあります。
SU-25は、攻撃精度が良く、搭載量が多く、強力な30mm機関砲を搭載し、安価で頑丈で整備性がよいことを特長とし、高価な戦闘爆撃機に手が出ない中小国や発展途上国にとって好都合で、ソ連崩壊後、ロシアから世界中に中古売却され、アジア、欧州、アフリカ、中東、南米等々、世界中の戦争(特に対テロ)で「常連」で「実戦で証明された機体」として評価をさらに高めた古い機体です。
ウクライナ軍によれば、6月26日にはロシア軍TU-22爆撃機がベラルーシから出撃してウクライナ首都などを攻撃しており、ロシア軍の態勢を立て直しをベラルーシが支援する形が強化され、西側に「ウクライナ疲れ」が見え始める中で、ロシアの陰鬱な粘りが世界全体に影を落としつつあります
ウクライナ関連
「露の飛び地Kaliningradへの陸路遮断」→https://holylandtokyo.com/2022/06/28/3410/
「ロシア侵略の第一撃は衛星通信に」→https://holylandtokyo.com/2022/06/23/3365/
「アジア太平洋への教訓は兵站能力」→https://holylandtokyo.com/2022/06/17/3358/