昨年11月の露の衛星破壊実験と共に「侵略の兆候」だったと
仏軍宇宙軍司令官が欧州の事前予想を証明したと
6月15日、フランス軍宇宙コマンド司令官Michel Friedling少将がパリ郊外の軍事見本市で講演し、ロシアのウクライナ侵略は「地上軍の侵攻に先立って、サイバーや宇宙ドメインで開始された」と語り、「長く欧州軍首脳が想定してきたことが現実になった。大きな教訓だ」と表現しました
具体的にFriedling少将は、「ロシア地上部隊の進軍に先立つ2月24日、民間衛星通信会社Viasatに対してサイバー攻撃が大規模に行われたが、これは極めて興味深い大きな出来事だった」と述べ、米国加州に拠点を置く高速大容量衛星通信サービスを軍民両方に提供していた「Viasat」への大規模攻撃は、ウクライナの国家指揮統制をロシア侵攻を前に混乱させることを意図したものだった語りました
また、侵攻に先立つ数か月前の2021年11月15日、ロシア衛星「Cosmos 1408」を標的としてロシアが強行した地上発射型兵器による衛星破壊実験は、1500以上の宇宙ゴミを生み出し、ロシアも関与する国際宇宙ステーションにまで防御態勢を強いることになったが、
「ロシアが米国宇宙アセットを拒否する準備を完了していることを示す狙いがあったものと考えている」、「宇宙デブリにより、ロシア自身の宇宙アセット使用が妨げられても、必要なら衛星攻撃を実施する覚悟を示したと考えている」との評価をFriedling仏少将は披露した
更に同少将は、「Viasat」だけでなく、ロシア軍の装備や活動状況を衛星写真で提供してきた民間企業「Maxar Technologies」や、衛星インターネットをウクライナに提供してロシアの電子妨害からも守った企業「SpaceX」も、日々のウクライナ情勢に密接に絡むようになっており、敵にとってその役割はますます複雑曖昧に(blurry)なってきていると表現し、そして「これは将来への問いかけである」と話を結んでいます
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「Viasat」への地上侵攻直前の大規模サイバー攻撃ついては、米英高官も5月中旬に明らかにしていたようですが、ロシアの脅威をより身近に感じる欧州大陸の大国軍人によって語られることに意味アリとしてご紹介いたしました
民間企業の国家間の軍事作戦に重要な役割を果たす・・・・。もちろん歴史上の戦いでも、民間企業が輸送や兵站支援を担ったこともあるでしょうし、兵器製造は民間企業が担っているのでしょうが、最前線の戦いに直結する情報や通信の中核を担うとなると事情は違ってきそうです
何をどこまで期待してよいのか、情報保全や平時の関係は如何にあるべきか・・・など、仏将軍ならずとも、経験のない課題に直面しそうです
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