6機製造中B-21とE-3後継選定の動き

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B-21 B-2.jpg2月9日付米軍事メディアが、模範的な「モデル開発案件」として2022年中には初飛行を予定する「B-21ステルス爆撃機」の開発状況と、老朽化で稼働率が急落するE-3早期警戒管制機の後継選定の動きを報じていますのでご紹介いたします

F-35やKC-46のようなトラブル満載の航空アセット開発ばかりをご紹介する機会が多いのですが、寒さ厳しき折、少しは明るそうな話題を提供させていただきます。少なくとも現時点では、2件とも特に問題の無い調達案件です

B-21次期爆撃機を6機製造中で2022年に初飛行へ

B-21 artistic.jpg9日付米空軍協会web記事は、同日米空軍Global Strike コマンド計画部長の「核抑止サミット」での発言を取り上げ、現在6機のB-21次期ステルス爆撃機を順調に製造中で、模範的な「モデル開発案件」として2022年中には初飛行を行うと報じています

B-21開発については、2019年7月には当時の米空軍副参謀総長が「初飛行は863日後だ(2021年12月3日)」と語り開発の順調さをアピールしていましたが、その後関係者の発言はトーンダウンし、2021年1月には2機試験機製造中、2021年9月にはKendall空軍長官が「合計5機製造中」と明らかにし、時々シルエット写真が公開されたりして期待感をあおっているところです

B-21 bomber.jpg講演したJason R. ArmagostGSC計画部長(少将)は、「私には初飛行予定日に言及する権限はないが、今年の何時かに機体を披露し、その後速やかに初飛行を行うことになる」、「模範的なモデル開発案件となっているB-21開発は、デジタル技術を生かして迅速な開発を実現している」と説明しています

また同少将は、「デジタルモデルを基礎とした開発とソフトのオープンシステム化で、例えば燃料管理システムは、まだ初飛行前にもかかわらず燃料システムモデルを用いてソフト試験を重ね、複雑なソフト開発を完了している」と説明し、このような手法はB-52爆撃機エンジン換装における翼の強度確認等でも使用され実績を残していると自信たっぷりに説明しています。

さすがに2021年12月の初飛行予定は「大ぶろしき」だったようですが、開発全体は順調なようで、今年中の「機体お披露目」と「初飛行」は大きなニュースになりそうです

E-3 AWACS後継検討に企業に情報要求書を
ここ数か月で急速に後継導入機運が盛り上がり
ボーイングの「E-7 Wedgetail」で実質決まりでしょうが

E-7 2.jpg2月8日、米空軍がE-3早期警戒管制機の後継機選定に関する情報要求書(RFI:request for information)を関連企業に提示し、その内容から2023年にも米空軍が後継機導入契約を結ぶことを念頭に置いていることが明らかになりました

30日以内の回答を求めた「RFI」は、あくまでも検討資料収集目的で、次の段階となる提案要求書につながるものではない前提だそうですが、契約後5年で地上訓練機材等も含め少なくともプロトタイプ機2機の納入が可能かや、関連能力を有する機体かどうかを確認する内容になっているようです

E-7.jpg米空軍が保有する31機のE-3は、平均年齢43歳で機体稼働率が急激に低下しており、比較的若い「G型」でも稼働率が2020年70.7%から2021年60.7%に10%も低下し、古い「B型」は同期間で65.8から55.8%に低下している厳しい状況に直面しており、前線部隊から後継機早期導入を求める声が高まっていたところです

「RFI」は、先進的な「360度をカバーする空中移動目標捜索レーダー」、「敵味方識別能力」、「海洋監視レーダー能力」の他、「指揮統制」、「航空管制」、「近接航空支援」、「SEAD」、「空中給油」、「捜索救難」を支援可能な能力に関する情報提供を求めているようです

E-3 2.jpg既に米空軍は昨年10月、E-7製造元のボーイングに対し、現形態のE-7を米空軍規格に適合させるために、何をどのくらいの経費で実施する必要があるかの検討を依頼しており、結論は実質出ているような気がするのですが、一応ステップを踏んでいるのかもしれません

E-3後継機に関する動き
「米空軍がE-3後継機にE-7調達に傾く!」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2022-01-28
「米空軍航空機は依然高齢です」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-11-27
「空軍長官が7つの優先事項を語る」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-12-12
「PACAF司令官:E-7ほしい発言」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-02-27
B-21爆撃機の関連記事
「B-21を5機製造中」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-09-22
「下院軍事委員長も絶賛」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-06-07
「格納庫写真から大きさを推定する」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-03-06-1
「初飛行は2022年半ばか」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-01-17
「開発状況」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-08-15-1
「2021年12月3日初飛行予告」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-07-29
「初期設計段階終了」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-06-30
「米空軍の爆撃機体制計画」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-02-17-2
「2017年3月の状況」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-03-20
「B-21に名称決定」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-02-27
「敗者の訴え却下」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-02-17
「敗者がGAOに不服申し立て」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-11-07
「結果発表と分析」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-10-28
米空軍爆撃機の話題
「爆撃機管理は今後5-7年が多難」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-07-19-1
「B-52から重力投下核任務除外」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-01-20
「B-1早期引退でB-21推進?」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-09-19
「B-1とB-2の早期引退に変化なし」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-02-19
「2018年春時点の爆撃機構想」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-02-17-2
「B-52がNATO欧州加盟国の上空飛行」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-08-29-1
「弾薬庫航空機を継続検討中」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-11-05
「弾薬庫航空機に向け改修」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-08-13
「同構想とB-52」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-03-12
「B-52エンジン換装大論争」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2017-12-24

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