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「ロッキードに言わせてもらう」と英議会で警告
維持整備費高止まりと英製ミサイル搭載遅延に不満爆発
23日、英国のBen Wallace国防相が英国議会国防委員会で、英国が2015年時点ではF-35購入機数を138機と明確にしてにもかかわらず、今年3月発表の国防予算計画「Defence in a competitive age」では曖昧な表現に終始している件について、F-35の高止まりしている維持整備費と、英国が要求している欧州製ミサイル搭載事業が遅々として進まないことへの不満が原因だと明言しました
英国議会という公式な場で、しかも国防相としての立場で、これ以上は無い・・・と言えるほど明確に、相手を指さして恫喝するがごとく、「維持費を下げなければ、支払い不可能な請求書に縛られるつもりは無い」、「F-35を計画通り買ってほしければ、コストを抑えろ」、「白紙の小切手を渡すつもりは毛頭ない」と訴えています
加えて、F-35に欧州MBDA製の中距離空対空ミサイル「Meteor」(米製AMRAAMと同等)と空対地ミサイル「Spear」を2024年ころまでに搭載する計画について、ロッキードとBAEが真剣に取り組んでいるようには見えない点にも強い不満を表明しています
一方で、英国と米国は作戦運用面では緊密な連携を保っており、最近では英国の新型空母エリザベスに米海兵隊F-35を派遣する形で常駐させ、更に米イージス艦を同空母に同行させ「空母攻撃群」として一体運用を開始しており、既に中東地域で作戦行動を行い、アジアにも進出予定となっているところです
以下では、Ben Wallace英国防相の怒り爆発の国防委員会発言をご紹介いたします。
23日付Defense-News記事によれば同国防相は
●BAE SystemsやLockheed Martin社、更にF-35製造にかかわるすべての関係企業の皆さんに、私から重要なことをお伝えしたい。F-35の維持コストを下げることは皆さんにとって極めて重要なことである。なぜなら、私は我が国が支払不可能な請求書に縛られたくないと考えているからだ
●更に重要で、関連企業の皆さんに承知しておいてほしいのは、我々が引き続き「Meteor空対空ミサイル」を英国F-35Bに搭載したいと考えており、そのための検討や設計作業などを後回しされることに我慢ならないと考えていることである。
●もし関連企業の皆さんが、英国によるF-35継続購入を期待されるのであれば、維持整備経費を抑制し、欧州製のミサイル搭載改修要請に対し、公平に公正に対応してほしい
●英国は(現在発注済の)48機以上のF-35が必要だし、そのために投資したいと希望しているが、関連企業の皆さんがコスト管理や維持整備分野で役割を果たさず、英国製兵器の搭載を確かなものとしないなら、私は白紙の小切手を切るつもりは無い
●上記の国防相発言に対しロッキード報道官は、「多くの投資により、過去5年間でF-35の飛行時間当たり経費を44%削減してきたし、今後5年間で英米を含む関係国と協力して40%削減するよう取り組んでいる」と述べている
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英国防省関係者は、Wallace国防相の発言は、英国から米国に対する警告で、「Meteor空対空ミサイル」をF-35内部兵器庫に搭載する計画を邪魔するなら覚悟があることを伝えたものだとコメントしているようです
また国防相の発言は「Spear空対地精密誘導ミサイル」に触れていなませんが、「Meteor空対空ミサイル」のような扱いを受ければ、同様の問題として英米間に浮上するだろうと考えられているようです
なお、F-35の時間当たり維持整備費は、現状35000ドル/時間で第4世代機の約2倍で、これを25000ドル以下に2025年までに引き下げる目標を掲げていますが、様々なタイプのF-35が混在して維持整備が複雑で、整備支援システムALIS崩壊と後継ODIN開発中断で混乱に拍車がかかっており、加えて最新型Block4の導入も予定されていることから、削減目標達成は困難と考えられています
英国よりも遥かに多数のF-35を購入予定の日本も、これぐらい強気に出たいですがねぇ・・・
英国のF-35への態度が冷徹に
「英国の138機F-35購入計画は多くて60-72機へ!?」→https://holylandtokyo.com/2021/03/31/174/
「英空軍参謀総長が語る」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-05-11
空母エリザベスでは海兵隊F-35が
「英空母エリザベス米英のF-35B搭載で初出撃」→https://holylandtokyo.com/2021/05/11/1492/
「英新型空母と米駆逐艦が空母攻撃群を編成へ」→https://holylandtokyo.com/2021/01/27/308/
ALISの後継システムODIN
「ODINの開発中断」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-04-24
「ODIN提供開始」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-10-24
「元凶:ALISとその後継ODINの現在位置」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-03-17
「ALISを断念しODINへ」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-01-22
「ALIS問題を議会で証言」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-11-15
「ALISは依然大きな障害」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-02-02
F-35維持費削減は極めて困難
「国防省F-35計画室長が語る」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-05-03
「米空軍参謀総長が語る」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-03-02
「F-35の主要な問題や課題」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-12-17
「維持費をF-16並みにしたい」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-04-01-1