「中国軍はより積極的に米海兵隊前線部隊を叩け」と主張も
一方で「制空権が不確実で防空能力不十分な米海兵隊は脆弱だ」と達観
米研究者による米海兵隊戦略に対する中国側論考のご紹介
米海兵隊は末尾過去記事の様に、米軍の海兵隊以外の他軍種が中国A2AD圏外の安全な場所からのstand off攻撃で対処しようとしている一方で、「Stand-in Force構想」が示すように、従来の「戦車や着上陸歩兵を中心とした戦い」から大転換し、西太平洋の島々など海軍戦術上の要所に「小規模で機動的な偵察部隊を展開させ、中国艦艇の位置や動向を友軍の長射程ミサイル攻撃部隊に通報して戦う」方向を目指しています。
具体的に「Force Design 2030構想」では、「戦車部隊の廃止や歩兵部隊と回転翼部隊の削減」に伴う「総兵数の削減」を大胆に打ち出し、機動的な小規模偵察部隊や長射程対艦ミサイル部隊や無人システムの増加、更に電子戦強化などが柱の対中国将来構想を出しており、今年10月19日から29日で実施の日米共同演習Keen Swordでは、在沖縄米海兵隊の第12海兵旅団が対艦ミサイルシステムNMESISと防空システムMADISを、初めて台湾に最も近い日本の島である与那国島に展開して訓練を行っているところです
Goldstein博士紹介の3つの中国側記事や論文は米海兵隊戦略を評価して・・・
【2025年の環球時報記事(中国国営の英字紙)】
●米海兵隊による中国近海への対艦ミサイル配備を非難する異例の社説
●従来の米海軍による「外洋の支配優先」戦略から、「海上チョークポイントの支配」への転換は、「ライバルの海上活動の自由制限を狙いとしており、新たなリスクを生む」と非難
【2025年の海軍雑誌『現代艦船』論考】
●米海兵隊が、無人水上艦艇による前線偵察演習やLRASM対艦ミサイルの発射実験等を例として、米海兵隊の新戦術をかなりの懸念をもって指摘
●一方で米海兵隊新戦術の弱点も指摘し、関連するセンサーやドローンの有効活動範囲が限定的である点や、米海兵隊の防空能力を不十分な点等々を複数指摘。また同雑誌は以前の号で、新戦略の兵站上の課題も指摘
【最近の中国海軍上級将校による中国軍内雑誌論文:米海軍大学が翻訳出版】
●米海兵隊の新戦略を「中国近海への継続的な侵入と侵略に相当」と評価し、中国は「効果的な対抗措置を確立すべき」と主張。
●特に注目すべきは、米海兵隊の動向を中国潜水艦戦力と結びつけている点。前方展開した米海兵隊部隊は「水中センサー等の装備を展開し、中国潜水艦を追跡する監視区域を確立する恐れがある」と指摘。また同様に、米軍はドローン群を用い「中国レーダー追跡能力を圧倒する」し、中国の防空能力を低下させる恐れを指摘
●米海兵隊に対し、中国は現在「資源集約型の戦力投入」を考慮しているが、それでは不十分であり、「中国は積極的な攻撃体制を整え、作戦範囲を積極的に拡大し、戦力を前方へ展開すべき」、「中国は、前方展開部隊を維持・常態化させ、水中戦闘能力を可能な限り前方へ拡大すべき」と主張。
Goldstein博士は上記3つの中国側記事や論考の分析を踏まえ、
●以上の中国側の米海兵隊戦術への評価は、厄介な問題を提起している。特に最後の米海軍大学が翻訳出版した論考は、米海兵隊の動向に対抗し、中国軍により攻撃的な姿勢採用を求めており、危険なエスカレーションスパイラルを招く恐れを感じさせる
●同時に中国側専門家は、危機意識を煽るだけでなく、米海兵隊の前線部隊が、防空&ミサイル防衛の欠如により脆弱で、兵站上の課題も抱えていることを明確に認識しており、その分析は適格と言わざるを得ない
●米側の国防関係者は、米海兵隊がアジアに無計画に展開し、多くの米国人兵士の生命が失われた苦い歴史を忘れてはならない。米国の指導者は戦略を見直し、前方防衛への依存度を下げるべき。また米海兵隊は、太平洋の戦略的奥行きと無数の島嶼群(例えばフィリピン)を活用し、より低コスト低リスクの、より持続可能で明確な防衛戦略を目指すべき
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色々な視点で議論が可能なGoldstein博士の寄稿ですが、中国側が「米軍前線部隊を防空面から脆弱だ」と的確に認識している事、また米国の専門家や一般国民の頭の中に、Goldstein博士のよう
に「アジアで再び、米国の若者が血を流すべきではない」との思いが強く存在していることは、忘れてはならないと思います
また、米海兵隊が「Force Design 2030構想」や「Stand-in Force構想」を打ち出し、アジアで「Boots On the Ground」態勢で共に戦う姿勢を示していることに感謝する一方で、それが「米軍内での米海兵隊の生き残り戦略」でもあり、トランプ政権の「西半球重視」の中で、どのように推移していくのかにも、引き続き注意する必要があります
米海兵隊の新コンセプト
対中国に戦車など廃止し対艦監視&攻撃へ
「与那国島に長射程ミサイル訓練展開」→https://holylandtokyo.com/2026/10/13/15805/
「Stand-in Force構想」→https://holylandtokyo.com/2022/05/25/3264/
「Force Design 2030構想」→https://holylandtokyo.com/2020/03/26/790/
「長射程対艦ミサイル柱に」→https://holylandtokyo.com/2020/03/09/777/


10月20日付Defense-Newsが、米Brown大学(シンクタンクDefense Prioritiesにも所属)の中国研究者Lyle Goldstein博士による寄稿を掲載し、米海兵隊の「Force Design 2030構想」や「Stand-in Force構想」に示された対中国戦略に対し、中国の公式メディアや中国の軍事専門家がどのような反応を示しているかを3つの記事や論文を取り上げ分析していますので、一つの視点としてご参考まで取り上げます。
