米海兵隊が対テロから海洋作戦に舵を切る

2021年度予算案で2つの対艦ミサイルを最優先事項に
米艦隊で中国艦艇を対艦M射程内に導き(おびき寄せ)

Berger.jpg5日付Defense-Newsは、米海兵隊司令官による2021年度予算関連での上院軍事委員会証言を紹介し海兵隊が2つの長射程対艦ミサイルを予算案の最優先事項としたことを取り上げ、過去20年間の対テロ戦争における「軽快な陸軍」の位置づけから、海洋パワー投射の延伸を担う部隊に力点を転換しようとする姿勢だと紹介しています

2つの長射程対艦ミサイルとは、射程100nm以上と言われる「Naval Strike Missile」を無人走行車両に搭載した「NMESIS」(Navy Marine Expeditionary Ship Interdiction System)と、米国のINF全廃条約脱退で導入可能になった、射程900nmと言われる巡航ミサイル「Tomahawk」の地上発射版です。

米海兵隊は、これら長射程対艦ミサイル部隊をがっちりした陣地を構築して配備するのではなく、小規模な部隊編成にして太平洋の島々に分散し、攻撃の主導権を取れるように機敏に移動して攻撃し、敵に目を突けられる前に再度移動する構想を持ち、その際米海軍艦艇と連携し、中国艦艇を海兵隊対艦ミサイル部隊の攻撃範囲に追い込む(おびき寄せる)作戦をイメージしているようです

5日付Defense-News記事によれば
NMESIS.jpg●5日、David Berger海兵隊司令官は上院軍事委員会のシーパワー小委員会で証言し、2つの移動式対艦ミサイル導入を最優先装備として位置付けていると語り、「米軍水上作戦の一環として、地上から対艦攻撃能力を提供する。地上機動部隊の高い残存性を生かして我が海上打撃能力を強化し、敵が緊要な海域を支配することを拒否する」と、対テロ戦からの転換を明確に打ち出した
一つは、海兵隊のHIMARS(High Mobility Artillery Rocket System)を、米陸軍が使用するOshkosh製のROGUE-Fires無人車両(Remotely Operated Ground Unit for Expeditionary Fires)の台車に搭載するNMESISで、射程100nm以上のノルウェー製「Naval Strike Missile」を装備する

●この「NMESIS」について同司令官は、「搭載ミサイルはLCSに搭載中の見通し線外システムと同タイプで、米海兵隊に海面を這うように飛翔して艦艇の側面から攻撃する機動性の高いミサイルを提供することになる」と説明している
Berger2.jpgまた同司令官は、2021年度予算案で48発の地上発射型Tomahawk巡航ミサイルを要求していると軍事委員会で述べ、「過去6か月間、海軍と海兵隊は融合した海洋戦力として如何に作戦すべきかを議論してきた。つまり、過去20年間海兵隊がやってこなかった制海と海洋拒否作戦を、海兵隊も担うということである」と説明した

●更に「トマホークはこの変革に必要なツールの一つであり、今後長期的に整備する艦艇や沿岸地上から、敵にリスクを与える小規模部隊で運用する長射程打撃力である」と述べた。
●なお、米海軍はレイセオンと協力し、飛翔途中で目標艦艇を自ら探知追尾するトマホーク「Maritime Strike Tomahawk」を2023年運用開始を目途に開発中で、完成すれば飛翔中に外部からの指示で目標を変更したり、指示に沿った移動目標を攻撃可能になる

米海軍との共同作戦構想
Smith.jpg昨年発表された海兵隊の作戦運用コンセプトは、過去20年間より、海兵隊が海洋パワーとして海軍と連携することを求める内容となっている。その一環として、海兵隊は小規模な部隊を太平洋の島々に分散配置し、中国艦隊の自由な活動を妨害したいと考えている
●米海兵隊の装備開発要求担当のEric Smith中将は同コンセプト発表時に、海兵隊は自らが主導的に選択する地上の場所で戦い、敵の目標になる前に再起動する作戦を目指すと説明していた

●そして同中将は、同コンセプトでは、米艦隊と協力して中国艦艇を海兵隊地上展開部隊が攻撃可能なエリアに導くと述べ、「高い脅威エリアで、海兵隊部隊は米艦隊を支援するために機動し、または米艦艇によりおびき寄せられた中国艦艇を阻止又は攻撃する」と説明していた
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海兵隊が拘る着上陸作戦能力と機動力の活用と、中国との本格紛争に関与することによる存在意義確保の両方を満たし、かつ艦隊や航空部隊の脆弱性を補完する戦闘力としての特性を生かした方向性として期待したいと思います

Tomahawk Maritime.jpgただし、太平洋の島々とは、フィリピンやインドネシア、パプアニューギニアやミクロネシア、ソロモン諸島、もしかしたら日本の南西諸島なども含むのかもしれませんが、既に中国経済圏に取り込まれつつあるこれら地域では、地域住民が中国側の情報提供者として働くことが十分に予想できることから、極めて難しい作戦と考えられます

これは陸上自衛隊にも言えることで、海上自衛隊や航空自衛隊よりも最前線に立つことを求められる、一つの大きな転換点ともいえるかもしれません

番外編のおまけ
自衛隊員と米海兵隊員の腕相撲対決!


太平洋地域で地上部隊に期待
「南シナ海で航行の自由作戦活発化?」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-02-06
「海洋プレッシャー戦略に唖然」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-06-13
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「尖閣防衛に地対艦ミサイル開発」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-08-14
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「対中国で米軍配置再検討」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-02-16-1
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