防研が宇宙での軌道戦(Orbital Warfare:宇宙でのドッグファイト)を解説

衛星の「RPO技術」(ランデブー・近接運用技術)の軍事転用
2022年の米中衛星事案や2025年の中国2衛星事例も交え
米宇宙軍が使い始めた「ダイナミック宇宙作戦(DSO)」とは
数十秒ではなく軌道上で「2〜3日」かけ展開のドッグファイト

8月21日付防衛研究所の「NIDSコメンタリー」枠で、川村幸城・主任研究官(1等陸佐)が「軌道戦—宇宙空間のドッグファイト」との論考を公開していますので、宇宙での米中露を中心とした物理的な戦いの可能性が高まりつつある中、一般国民からは見えにくく認知度が低い分野でもありますので、これを機会にご紹介したいと思います。

ただ川村氏の論考は、約5000字の本文に23個の参考文献等が付随した、「NIDSコメンタリー」が本来あるべきと「まんぐーす」が考える「わかりやすさ・シンプルさ」とは遠い形式となっていることかから、本論考の記述順序や構成を無視して、以下では川村論考のポイント部分に、「まんぐーす」の独断補足解説を「ごちゃまぜミックス」する「不適切な」形でご紹介にしたいと思います

論考「軌道戦—宇宙空間のドッグファイト」の概要とまんぐーす補足ミックス解説
●静止軌道は、地球観測、偵察、通信中継等にとって理想的な配置場所と考えられており、軍事面でも重要な衛星が配置されてきたが、衛星は軌道上で稼働中に必要な燃料(10~15年分)を全て積載状態で打上げられるため、高価な機器を搭載した衛星も、燃料切れが衛星の寿命を意味する。
●衛星の効率的活用のため、衛星に燃料を補給したり、宇宙空間で衛星を修理したり、新規装備を追加する能力が求められるようになってきたが、その基礎となるのが衛星の「RPO技術」(ランデブー・近接運用Rendezvous and Proximity Operations技術)で、短節に言えば、衛星同士を接近させ、接近させた一定の状態を維持する技術である。

●衛星の「RPO技術」を基礎に、衛星に「燃料補給用衛星」を接近&ドッキングして燃料補給したり、ロボットアーム装備の「衛星修理用衛星」を対象衛星に近づけて交渉箇所修理や最新機器の追加する技術開発が進められており、これら技術は宇宙ゴミ除去にも活用が期待されている
●実際2025年6月頃から、2機の中国衛星(Shijian-25とShijian-21)が、複雑で高度なRPO運動で分離とドッキングを繰り返したが、専門家の間で同一軌道上でバッテリー充電が行われたと解釈されている

●一方で「RPO技術」は、敵国の衛星に接近して「敵衛星の能力を偵察」したり、「敵衛星を破壊」することにも応用可能で、例えば接近偵察では、対象衛星の搭載カメラレンズの開口径や解像度特定の他、撮影稼働時間、更に近傍で微弱信号を傍受し、衛星搭載機器でのデータ処理能力まで推定可能と言われている
●また衛星搭載のロボット・アームを活用すれば、対象衛星のアンテナやセンサーや太陽光パネルを損傷することも可能で、ミサイルで衛星を破壊するより「デブリ発生を抑制」可能な「攻撃手段」とも解釈されている。

●この様な「RPO技術」利用の敵衛星への宇宙行動は、米宇宙軍関係者を中心に軌道戦(Orbital Warfare)や宇宙でのドッグファイト(dogfighting in space)と呼ばれ、最近では米宇宙軍が、衛星の寿命を維持するために、多くの燃料や電力を消費する位置変化機動を避けてきた過去の行動パターンから一線を画す意味も込め、「ダイナミック宇宙作戦(DSO:Dynamic Space Operations)」との用語で広義に表現している。
●これは、軌道計算により位置特定が容易な衛星の特徴を弱点と捉え、より機動的に衛星を軌道上で移動させ、敵より優位な位置を確保し、例えば偵察衛星の敵上空通過時間を変化させて敵の「隠ぺい工作」を無効化し、我の衛星の生存性を高める作戦運用を重視する姿勢を見せている

●2022年1月には、2機の中国衛星の偵察を試みた米衛星の接近機動に対し、中国衛星が急減速機動で対応し、米衛星も再び位置修正を試みたが、対する中国2衛星が二手に分かれる分離軌道を見せた事例が実際に生起し、以降注目を集めているが、その後数年間で米中露の衛星間で類似のケースが増加している。
●これは戦闘機同士の数十秒で決着をつける戦いとは異なり、軌道上で「2〜3日」かけて展開する性格の戦いだが、軌道力学に基づく「高度なチェス」のような位置取り争いや「力の探り合い」が、衛星の物理的な接触や破壊攻撃へのエスカレーションのリスクを伴いつつ発生しているのが、現在のリアルな宇宙戦の姿である

●一方で、軌道上バッテリー充電事例として紹介した中国衛星(Shijian-25とShijian-21)のケースでは、複雑で高度なRPO運動により、Shijian-25側が通常運用の6年分に相当する燃料を消費したとの分析もあり、今後ますます衛星への燃料補給や修理提供能力は重要に
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川村幸城・主任研究官(1等陸佐)の論考「軌道戦—宇宙空間のドッグファイト」に、「まんぐーす」が勝手に補足して「ごちゃまぜ」解説する、「不適切」なブログ記事となってしまいましたが、重要なテーマ故に、少しでもわかりやすく提供したいとの思いを優先し、約1900字でご紹介いたしました。

研究者として、言葉の厳密性や出典の明確化に拘った川村主任研究官の論考での取り組みは、読者の皆様自身が原文に触れてご確認ください。

川村主任研究官の論考リンク
https://www.nids.mod.go.jp/publication/commentary/commentary451.html

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