2025年開発開始のNGSRを、2006年導入開始のCSELの後継に
4月のF-15E搭乗員2名の救出大作戦で注目の小型無線機
ざっくり1台180万円なり
この新型無線機NGSRは、4月の大救出作戦を受け突然出てきた話ではなく、2025年から研究開発が開始され、2026年度は約80億円の予算で機能テストや既存関連通信ネットワークとの連携運用
確認が行われているとのことで、2027年度予算案には、約30億円の開発試験費と約120億円で6868台(単純割算で1台180万円)を購入する経費が具体的に盛り込まれ、実戦配備に進む段階だと同記事は説明しています。
なお記事は、開発導入は米空軍が主導していますが、陸海海兵隊の搭乗員にも支給される方針だと紹介しています。
5月14日付米空軍協会web記事によれば
●現有のCSELはボーイング社が2006年から計5万台を米軍に納入し、関連通信技術の発達を反映して継続的に改良&機能向上が図られており、様々な周波数帯や衛星群を介し、音声とデータ伝送機能を提供してきた
●大きさは(添付写真をご覧ください)、CSELが初期の肩掛け式携帯電話の大きさイメージで、NGSRは「iPhone 17 Pro Max」サイズで、厚さが3.8cm(1.5 Inch)とのこと
●(記事は厳密な両機種の性能比較は行っていないが、)2027年度予算案文書では、「NGSRは、複数の軌道上衛星群、衛星地上局、米軍の戦時救助CSAR用通信機器、更に軍人員救助センターのクラウドアプリ等を含むネットワークと連接して機能する」、
●また、NGSRはCSELの「旧式衛星通信および暗号化方式」に取って代わる。NGSRは「安全なover-the-horizon機能、双方向データ通信、高精度な地理位置情報」機能を備え、国家偵察局(NRO)が確認済の「探知や傍受されにくい」装置である。また、国家安全保障局(NSA)認証
の「最新暗号化技術」も搭載、と説明
●更にNGSRはソフトウェア無線(software-defined) 方式を採用し、ソフト更新で将来の新波形に対応可能で、従来と同様に音声とテキスト情報両方を送信可能。また高度セキュリティ基準のMコードGPS信号にも対応
//////////////////////////////////////////////////
F-15E搭乗員CSAR大作戦に関する説明会見(4月6日)でトランプ大統領は現有CSELに言及し、「搭乗員は高度なポケベル型装置を与えられており、出動の際はバッテリー残量等を確認し、装置
を万全の状態に保っている。そして今回、その装置が驚くほど上手く作動して彼らの命を救った」と説明していましたが、その装置の新型が投入されるとのことです
ボーイングはCSELを計5万台納入済とのことですが、General Dynamics製のNGSRが2027年度予算案の「6868台」以降、追加で何台購入されるか等は現時点で不明とのことです。
我が航空自衛隊の救難部隊は、救助機UH-60ヘリと捜索用ジェット機U-125(その前はMU-2)のペアで長年運用されてきましたが、(実質、戦闘機への投資確保のため、)捜索用機U-125の老
朽化に伴う後継機は導入せず、脱出した航空機搭乗員の位置を知らせるビーコン発信器を追加導入するだけの対策で済ませることを、2022年に決定して今日に至っています。
台湾有事発生時の日米連携の視点も含め、日本のCSARや負傷者対処への関心の低さを最近の過去記事で指摘してきたところですが、戦闘機命派の皆様を始め、関係各位には本件への善処を期待いたします。
イランでのCSAR作戦とその後のハレーション
「対中国作戦でのCSARに懸念」→https://holylandtokyo.com/2026/05/07/14644/
「F-15E搭乗員の大救出作戦」→https://holylandtokyo.com/2026/04/07/14427/
対中国でCSAR体制の再検討
「今頃救難ヘリの対電子戦能力テスト」→https://holylandtokyo.com/2025/09/19/12718/
「対中国救難検討は引き続き迷走中」→https://holylandtokyo.com/2023/05/23/4592/
「対中国の救難救助態勢が今ごろ大問題」→https://holylandtokyo.com/2022/07/15/3463/
「米空軍トップが語る」→https://holylandtokyo.com/2022/09/08/3614/
患者空輸部隊の苦闘
「アジア太平洋大演習で部隊が苦闘」→https://holylandtokyo.com/2025/08/29/12516/
「対中国に備えた取り組み」→https://holylandtokyo.com/2023/06/27/4772/


5月14日付米空軍協会web記事が、4月のF-15E搭乗員2名の救出大作戦時にトランプ大統領が言及して注目を集めた、搭乗員が緊急脱出時に友軍や救命救助隊と意思疎通を図る小型携帯無線機を、従来の2006年導入開始のボーイング製CSEL(Combat Survivor Evader Locator radio)から、General Dynamics製の新型NGSR(Next-Generation Survivor Radio)に更新する予算を、2027年度予算案に開発費と調達費を含め約150億円計上していると報じています。