米空軍2027年度予算案:5年間で2.8万発の安価巡行Mを1.8兆円で要求

単純計算で1発6400万円。射程は現時点で250~500nm(470~940㎞)
将来的には1200nm(2200㎞)を目指す方向性
戦闘機と爆撃機と輸送機への搭載目指し、輸送機へのパレット搭載優先
射程500nm(900㎞)で1発1500万円の対艦ミサイル構想も
ここに来て様々な安価巡行ミサイル開発や能力向上計画が徐々に整理か

4月29日付米空軍協会web記事が、4月上旬に公開された2027年度予算案に、対中国のような大規模紛争で大量に必要(中国には10万個の攻撃目標が存在)となる巡航ミサイルを、今後5年間に従来より安価にかつ大量に開発&調達する計画が盛り込まれている、と紹介しています。

ちなみに現有巡航ミサイルの代表兵器であるJASSM-ER(AGM-158B空対地ミサイル:Joint Air-to-Surface Standoff Missiles-Extended Range)は、1発約2億2000万円で射程926㎞~1000㎞超とされています。

この計画はFAMMプログラム(大量低価格弾薬ファミリー計画:Family of Affordable Mass Munitions program)と呼ばれ、今後5年間に約$12.6 billion(約1兆8000億円以上)を投入し、対中国等を想定した大規模紛争に必要となる約2万8000発の巡航ミサイルを迅速に開発&導入しようとするものです。

今後5年で28000発の調達ペースは、
27年度:$355 million for 1,000発(1発5200万円)
28年度:$1.85 billion for 5,300発(1発5200万円)
29年度:$2.3 billion for 5,920発(1発5850万円)
30年度:$4.03 billion for 7,700発(1発7800万円)
31年度:$4.13 billion for 7,990発(1発7700万円)

以下では、記事が説明する導入予定の巡航ミサイル性能や搭載対象アセット等について触れていきますが、4月29日付記事の短い説明には、米空軍と国防省が分担(または独立して?)進める様々な検討や構想が混在して記載されており、またFAMM計画との関係性もよく整理されておらず、以下の「過去記事情報を踏まえた、まんぐーす解釈を加えた」説明には、「?」な部分や不正確な説明が含まれるであろう事を、あらかじめお断りしておきます。

【巡航ミサイルの射程】や【ミサイル搭載母機と搭載形態】
●米空軍は現時点で射程250~500nm(470~940㎞)のミサイル想定
(まんぐーす注 → 上記の年度毎の調達計画からすると、2030年度以降に1発の単価が大きく上昇しており、以下で説明の射程延伸型を想定している可能性あり。)

●米空軍調達部門(Life Cycle Management Center)は4月20日に関係企業に対し、艦艇攻撃用の射程1200nm(2200㎞)のミサイル「FAMM-Beyond Adversary Reach」の実現可能性に関する情報提供要請を開始

・開発目的を「手頃な価格、十分な射程距離、陸海軍も利用可能な共通ミサイル」と想定
・戦闘機や爆撃機の内部兵器庫や翼下搭載、又は輸送機後方の貨物投下ハッチからパレット搭載して投下発射可能なミサイル。また海軍艦艇から発射可能な対艦ミサイル兵器。更に陸軍の地上発射装置を用いて地上目標を攻撃可能なミサイル。
・戦闘機や爆撃機の内部兵器庫や翼下搭載形態よりも、輸送機からのパレット投下発射方式の開発を優先

【輸送機へのパレット搭載検討の経緯】(末尾の過去記事参照)
●2019年開始の「Rapid Dragon計画」で、空軍特殊作戦軍団のMC-130J輸送機が、JASSM-ER(AGM-158B空対地ミサイル)9発をパレット化して投下
●またC-130とC-17から複数の試験を実施し、2021年12月にはエグリン空軍基地を拠点にメキシコ湾で実弾発射試験も実施

●その後米空軍は、「Rapid Dragon」構想を国防省DIU(Defense Innovation Unit)に引き継ぎ、DIUは「Franklin」計画として、「射程500nm(900㎞)で1発1500万円の巡航ミサイル開発」目標を設定して検討開発を継続
●この計画には多数の企業が挑戦し、Anduril社の「Barracuda」、ロッキード社の「CMMT:Common Multi-Mission Truck」、L3Harris社の「Red Wolf」、Leidos社の「Black Arrow」、Zone 5 Technologies社の「Rusty Dagger」がこれに当たる。

●また米空軍は独自に、Northrop Grumman 社と2023年に契約し、2026年連用開始を目指しSiAW(Stand-in Attack Weapon)を開発中
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5月13日には、米国防省が上記空軍構想を包括するような大規模ミサイル導入計画(LCCM計画)と、関連する新興4企業との契約発表を行っていますので、後日ご紹介いたします。

色々な兵器名やプロジェクト名が乱れ飛ぶ、「理解困難な」「読みずらい」ご紹介となってしまいましたが、きれいな流れで系統的に進んでいる開発プロジェクトではなく、ウクライナ戦争で関係者が身にしみて感じた「弾薬確保の重要性」に端を発し、

必要な弾薬やミサイルの数量を再見積したところ、「現有の高価なミサイル増産」では「破産」することが国家指導層にも認識され、慌てて米軍内で検討されていた様々なプロジェクトを「再構築」「再整理」し、具体的な予算措置が始まったのが2026年度予算以降・・・と解釈するのが良いかと思います。安価なミサイルの軍種間での共通活用追求など、典型的な例だと思います。

日本の遠方攻撃能力(スタンドオフ攻撃能力)整備の本格化も先日ご紹介しましたが、米軍の教訓を参考に、「効率的」な装備導入につなげていただきたいと思います

ちなみに米空軍現有の典型的巡航ミサイルJASSM-ER(AGM-158B)は1発約2億2000万円で射程926㎞~1000㎞超とご紹介しましたが、航空自衛隊のF-15J戦闘機に搭載計画があるミサイルです。また予算の関係から、空対艦ミサイルとして空自は、RAASMではなく、航空機発射型(空発型)の12式地対艦誘導弾能力向上型を搭載予定です。

輸送機からの兵器投下検討
「批判の中:輸送機からミサイル投下追求」→https://holylandtokyo.com/2024/10/30/6414/
「欧州演習で初披露」→https://holylandtokyo.com/2022/11/15/3936/
「巡航ミサイル投下&攻撃試験」→https://halylandtokyo.com/2021/12/20/2550/
「Rapid Dragon 本格検証へ」→https://holylandtokyo.com/2020/11/06/380/
「輸送機使用に反対」→https://holylandtokyo.com/2020/07/01/562/
「MC-130からパレタイズ投下」→https://holylandtokyo.com/2020/06/09/619/

対地や対艦巡航ミサイルの廉価版検討の事例
約1/10の価格で大量生産可能な低コスト版
1個パレットにJASSMは9発も廉価版なら25発可能
Anduril社やNG社等も開発中
「JASSMやLRASMの廉価版CMMT」→https://holylandtokyo.com/2025/03/26/10960/
「Stand-inミサイルSiAW」→https://holylandtokyo.com/2025/01/22/6591/

日本にも長射程攻撃能力を
「3月から陸自と海自に」→https://holylandtokyo.com/2026/04/08/14387/

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