米国防省が「E-7導入中止決定」を修正&E-7復活か

6月末には「E-7導入中止決定」と複数の国防省高官が・・・
E-7代替に「宇宙配備センサーと5機増強の海軍E-2」との無謀案消滅か

9月21日付米空軍協会web記事は、同協会ミッチェル研究所長のDavid Deptula退役空軍中将による投稿記事を掲載する形で、米国防省が一度は2026年度予算案から「E-7早期警戒管制機」導入予算を削除し、老朽化著しい「E-3」後継機として「E-7」を導入する計画を中止して、代替に「宇宙配備センサー」と「5機の空母搭載E-2早期警戒機の追加導入」を進めようとしていた方針を修正し、E-7導入計画を復活させたと報じています

米国防省と米空軍が、2024年夏にE-3早期警戒管制機の後継機として計26機のE-7導入する全体計画を決定し、既に2機のプロトタイプ機製造を約3600億円でボーイング社と契約済のE-7導入プロジェクトは、トランプ政権誕生後のヘグゼス国防長官の元での「Review」の中で見直し対象となり、2025年6月末時点で「複数の国防省高官や空軍幹部が匿名で、E-7導入中止を決断したと証言」と各種メディアが報じていたところでした。

ただ「E-7導入復活」との話は、9月23日時点で、以下ご紹介する9月21日付米空軍協会web「Deptula投稿」記事でのみ取り上げられており、真偽のほどが不明確ですが、Deptula所長が「国防省の決断を称賛」する形で、E-7導入の重要性を訴える同投稿概要をとりあえずご紹介しておきます

David Deptulaミッチェル研究所長の主張
●米国防省はE-7導入の代わりに、宇宙配備衛星センサーと海軍のE-2航空機(5機増強)のみに頼ると提案をしていたが、これは大きなリスクを伴っていた。元空軍参謀総長6名と他の退役将官13名が異例の公開アピールで、早期警戒管制機廃止の危険性を米議会指導者に警告するなど、関係者の危機感は切迫するものがあった
●E-7はB-737機体をベースに、Northrop Grumman社の最新レーダー(multi-role electronically scanned array radar)を搭載し、E-3より高速なスキャン速度と低い維持コストで、優れた空中戦管理、監視、指揮統制能力を提供し、制空権確保に不可欠な存在

●確かに衛星センサーは有望で、空軍も以前はE-3後継に検討していたが、現時点では不確実で技術的な課題を抱えており、対衛星兵器に対して脆弱。米宇宙軍の指導者たち自身も、E-7のような実績のある堅実な空中プラットフォームを含む多層的なアプローチを支持。
●また米海軍のE-2は、乗員数が少なく、レーダーの捜索距離が短く、米空軍の給油機との連携も不能なため、E-3の戦域全体をカバーする空中戦闘管理・指揮統制任務の代替には到底適さない。2026年度予算案ではわずか5機の追加調達が提案されていたが、かつて30機以上を保有していたE-3の補完には全く不十分。

●米空軍によるE-7導入は、世界的な脅威増大や欧州東方正面で危機感が高まる中、E-7開発の主導的役割を担う英国との協力関係強化面からも、NATOの相互運用性向上に貢献
●特に英国バーミンガムのE-7用先進施設は、米空軍と英国との提携決定を踏まえて米空軍向けにE-7A試作機を改修し、英国や豪州との産業基盤共有をも図る戦略的に極めて画期的な施設である。なお、英国は同施設に500億円近い投資を行っている。

●肝心なことは明白。E-7は単なるE-3の後継機ではなく、21世紀の制空権確保の要となる能力。このプログラムの推進に尽力した政権の功績は称賛に値する
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E-7の能力が、今急速に問題となっている無人機対処にどの程度有効か、どの程度の連続哨戒に対応可能かは疑問の残る話ですが、Deptula所長(米空軍OBも)が声を上げている様に、「宇宙センサーと米海軍E-2を5機増強で代替」との対案は、あまりにも「素人っぽい」乱暴な案でしたので、「E-7導入復活」が本当ならば、とりあえず歓迎したいと思います

突然のE-7導入中止の動き
「国防省がE-7導入中止決定」→https://holylandtokyo.com/2025/07/02/12025/
「E-7導入中止を米政権が検討中」→https://holylandtokyo.com/2025/05/15/11591/

米空軍のE-7導入決定までの経緯
「試作2機のみ価格合意」→https://holylandtokyo.com/2024/08/30/6218/
「ボーイングとの価格交渉難航」→https://halylandtokyo.com/2024/03/11/5621/
「E-7とE-3違いを概観」→https://holylandtokyo.com/2023/03/30/4447/
「導入を正式発表」→https://holylandtokyo.com/2022/04/28/3186/
「E-3は2023年から退役へ」→https://holylandtokyo.com/2022/04/01/3074/

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