米空軍が2機契約済のE-7導入中止を米政権が検討中

米空軍側は必死で必要性を訴えている模様も
数か月遅れている2026年度予算の詰めで激論か
契約済試作機が数か月後に初飛行予定の中
ボーイングとの約3800億円契約の運命は

5月13日付米空軍協会web記事は関係筋の話として、米空軍がE-3早期警戒管制機の後継として26機の導入を決定し、既にプロトタイプ機2機の3800億円契約を2024年8月にボーイング社と締結済の「E-7」に関し、衛星情報でカバー可能と考えるホワイトハウス側がその必要性に疑問を投げかけ、導入中止の激論が、絶対必要と主張する米空軍や宇宙軍側と行われており、発表が遅れている2026年度予算の発表予定時期までの数週間で決着を付ける模様だと報じています

米空軍は、2024年時点で既に稼働率が2~3割(それ以下との噂も)と急落しているE-3の惨状と中国脅威の高まりを受け、一時は宇宙アセットでのE-3任務代替を検討したものの、現状の衛星センサー能力ではE-3の代替は困難と判断し、2023年前半頃からは米空軍幹部が声を揃え、一刻も早くE-7を導入したいと訴え、豪州や英国が運用中のE-7に米軍特別の機能付加する価格交渉でボーイングと1年余り揉めたものの、上記契約を締結しています

5月6日には、Allvin空軍参謀総長が下院歳出小委員会で、E-7は現時点でE-3代替を高いレベルで実施可能な唯一のアセットであり、他のドメインのアセットでE-3の代替が確実に実施可能と判断するには、まだまだ時間と技術的成熟が必要だと訴えたようですが、ホワイトハウス側の判断に影響を与えられるか不透明だと記事は伝えています。

確かにE-7は高価で、試作機2機で$2.56 billion(約3800億円)もするアセットであり、国防予算の削減に取り組む就任直後のヘグゼス国防長官にとってターゲットのなりそうなアセットですが、米宇宙軍トップのSaltzman大将も最近の議会公聴会で、「衛星センサーは様々な利点を持つ有用なアセットだが、米軍の任務全てをカバーできるよう最適化されたアセットは一つもなく、(他ドメインの)複数システムと組み合わせる必要ありと考えている」と証言しているところです
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最初に米空軍が手にする契約済E-7プロトタイプ2機も2028年納入予定で、それまでは稼働率が地を這うE-3でやり繰りするしかないのですが、そのE-7がなくなったらどうするんでしょうか・・・? 日本のE-767への期待が高まる可能性大です!

トランプ大統領就任直後に、米空軍は次期制空機「F-47」導入決定という「飴」を手にしましたが、国防省全体での大将ポスト2割削減など、厳しい「ムチ」の波が押し寄せそうな気配が漂ってきました。

米軍とE-7導入関連の記事
「試作2機のみ価格合意」→https://holylandtokyo.com/2024/08/30/6218/
「ボーイングとの価格交渉難航」→https://halylandtokyo.com/2024/03/11/5621/
「E-7とE-3違いを概観」→https://holylandtokyo.com/2023/03/30/4447/
「導入を正式発表」→https://holylandtokyo.com/2022/04/28/3186/
「E-3は2023年から退役へ」→https://holylandtokyo.com/2022/04/01/3074/

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