シンクタンクの「戦いを左右するソフト評議会」提言
ソフトライターではなく、請負業者を正しく導く人材を
死屍累々の同様提言があるのは承知の上で
新政権のヘグゼス国防長官や新スタッフが、国防省内に指示を出し改革に取り組む機運が生まれつつある現在の雰囲気を生かし、国防省のソフト開発や改修に対する文化や考え方を変えることに、真剣に取り組むべきだと主張していますので、抽象的な内容紹介となりますが、ご紹介しておきます
同Commissionの問題認識
●米国は依然世界で最も革新的な国だが、先進技術の採用の迅速さで、敵国がまもなく米国を追い抜く可能性がある。現在より迅速に商用ソフトを取得して応用する方式に転換しなければ、我々は優位性を失う。ウクライナでは、自ら製造したドローンを使用して観察し、反省や敵の脅威を踏まえて一晩でソフト書き換える体制を確立しているが、米国もそのスピードで行動する必要がある
●アメリカの技術的優位性を最大限活用するため米軍に必要なのは、プログラムを直接書く技術者ではなく、技術請負業者に適切な質問をして適切に導く「ソフトウェアに精通software literate」した人材
●ここで「ソフトに精通している」とは、委託業者等に適切な質問できること、つまりソフトパッケージの制限、入力、出力、依存関係を理解して適切な発注が可能なこと等を意味している。
●また、前線戦闘員のニーズと国防省の調達規定や規則を理解し、委託業者との橋渡しをする人材も非常に重要だが、これらスキルを持つ人材は多くなく、その必要性は非常に切迫している。この人材やソフト関連労働力の問題が中国との競争勝敗の決定要因となる
●ヘグゼス新国防長官やスタッフは、米国防省のソフト開発や管理問題を把握し、3月6日に「戦力最大化のための最新ソフト取得指示」を発出し、国防省全部門に従来の鈍重なプロセスを回避するソフト購入計画と実行のための新しい方法「Software Acquisition Pathway (SWP)」徹底を図っており、これが進めば大きな変革となる。しかし現実には、ある評議会メンバーの企業では、約2000件のシフト受注のうち、82件のみが上記SWPに沿った調達
●国防省に根付くソフト調達の文化や考え方を変える必要がある。米国法規は国家組織に「安価な民間に流通している商業製品やサービス導入をまず優先して考慮すべき」と求めているが、特に国防省や米軍担当者は「我々は特別で、民間企業とは異なり、特注品や特別仕様が必要で、その開発には何年もかける必要がある」との先入観が強すぎる。
同Commissionの提言概要
(上記問題認識で触れた事項の改善のほか)
●3月6日の国防長官指示「戦力最大化のための最新ソフト取得指示:Directing Modern Software Acquisition to Maximize Lethality」の完全実施。この際、米議会によって承認済の調達権限である「Other Transaction Authorities (OTAs)」や「Commercial Solutions Openings (CSOs)」も最大限活用する
●国防省のデジタル人工知能局長(CDAO:Chief Digital and Artificial Intelligence Office)が「enterprise data repository」を設立し、さまざまな軍種や機関によって収集されたデータを照合し、AIに関する訓練、機能、運用要領の分析と改良にすぐ使用できる体制を構築する
●ソフト運用テストと評価手順の改革。例えばドローンを演習場で試験した場合、現場での不具合を現地で分析するのは容易ではなく、原因を迅速に分析するデジタルインフラに再投資する必要がある
●「ソフトウェアに精通software literate」した人材の重要性と不足する現状を理解し、同時に必要なスキルの一つがあれば、他の基礎を学ぶことは難しくない点も踏まえ、人材育成を強化する。
●本課題に関する調査や提言報告書は過去から多数存在しており、本提言もそれらを参考にしているが、過去からの提言の蓄積も参考にすべき
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検討Commissionを設置して提言をまとめたAtlantic Councilのwebサイトは、提言概要をより詳細かつ整理して紹介していますので、ご興味のある方は是非ください。
マングース個人的には、提言レポートの以下の部分
「the U.S. military doesn’t need squadrons of coders writing programs—it needs a “software literate” workforce that knows the right questions to ask of technology contractors」
直接プログラムを書く人材ではなく、プログアラム作成業者に適切な質問を投げかけ、業務進行を管理できる「ソフトウェアに精通(software literate)した人材」が必要、との部分に感じるところがありました。
Atlantic Councilの同レポートwebページ
→https://www.atlanticcouncil.org/in-depth-research-reports/report/atlantic-council-commission-on-software-defined-warfare/
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