映画「ハート・ロッカー」がアカデミー賞を6部門で獲得して世間の注目が集まっているところ、待ってましたとばかりに米軍で簡易爆弾IED(improvised explosive devices)対処の先頭に立つオアテス陸軍中将(Lt. Gen. Michael L. Oates)が各所で語っています。同中将は、4年前に設けられた統合IED阻止組織(Joint Improvised Explosive Device Defeat Organization (JIEDDO))を率いています。
オアテス中将曰く・・・
●イラクのIEDは・・
2~3年前、イラクでは軍が使用するレベルのIEDが売買されていた。かなり高度な起爆装置が用いられ、イランを起源とすると考えられるものであった。その後、数や件数は減っている。
●アフガニスタンでは・・・
アフガンではIEDの数が倍になり、被害者の数もそれに連れ増えている。爆発物の質は大部分が自家製レベルで、塩素酸カリウムや硝酸アンモニウム農薬を原料にして、被害者が引き金を引く幼稚な起爆装置や遠隔装置を使用している。
アフガニスタンのIEDは、パキスタンに起源のをもつとの証拠を多く持っている。パキスタン政府もそれら農薬が爆弾製造者に渡らないように努力しているが、鉱業、農業、道路工事等、身近なマッチなど有用な分野に広く用いられていることから取り締まりが難しい。また、軍用の金属製に比べ、これらのいわば幼稚なIEDは探知が難しい。さらに相手は硝酸アンモニウムが使用困難と感じはじめ、他の物質に目をつけ始めているし、我々も備えている。
●アフガンでの対処には・・・
まずアフガン道路の徹底的な監視と爆発物の発見である。空軍のTask Force Libertyや陸軍のTask Force Odinが監視機能の向上につとめ、「置き去り式」監視装置などまだ完全ではないが将来現場の環境を変えるであろう。原始的ではあるが装甲車両の全面に処理装置をつける方法も進めている。物理的にそのような装置を現場に送る輸送力が不足している。致命的ではないが、限定的である。
もう一つは人的ネットワークの活用である。イラクで成果を上げつつあるが、今後アフガニスタンにも適応できればよいと考えている。この手法には文化や言語の理解が不可欠である。イラクでは部族の位置や力関係が分かるようなデータベースが作られつつある。これが役立つ。
大変な仕事ですな・・・。「ハートロッカー」は公開劇場が少ないので何とか増やしてほしいです。
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