効率的な迎撃兵器:半値PAC-3と電磁パルス搭載ドローン

新興勢力に負けじとロッキードが20日に同時発表
英国で開催のFarnborough航空ショーで
ドローンやミサイル迎撃コスト爆増への対策に

7月20日から24日に英国で開催中のFarnborough航空ショー初日の20日、ロッキード社が「現有PAC-3(MSE)の約半値のPAC-3(ACE)」と「敵ドローンの群れ対処用の高出力マイクロ波装置搭載で再利用可能な無人機Morfius X-Rotor」の「開発」を発表し、安価な敵のドローン(イラン製Shahedは1機550万円)や各種ミサイル対処のコスト爆増と迎撃兵器枯渇に苦悩する国々にアピールしました。

本件を紹介する20日付Defense-Newsは、「PAC-3(ACE:Adapted Capability Effector)」「Morfius X-Rotor」も共に開発中で、具体的にいつ頃から前線配備を予定するのかや、具体的な性能について記述していませんが、露ウクライナ戦争や米の対イラン作戦関連で、ドローンやミサイルの脅威や威力、そして同脅威への対処に強い関心が集まる中、同航空ショーでの「注目点」とされる「効率的なドローンやミサイル迎撃兵器」分野の話題としてご紹介しておきます

【現有PAC-3(MSE)の約半値のPAC-3(ACE:Adapted Capability Effector)】
●現有PAC-3(MSE)ミサイルが1発約6億円とされる中、ロッキード社が約半値でPAC-3(ACE:Adapted Capability Effector)を開発中と発表
●PAC-3(ACE)は、酸素を推進力として利用する敵兵器、つまり空気吸入式の推進装置を使用する巡航ミサイルや短距離弾道ミサイル迎撃用(航空機も対象)
●現在使用中のPAC-3(MSE)既存システムを構成する、指揮統制システムや発射機やレーダー装置で運用可能
●ロッキード社は、米国と欧州同盟国協力して開発を進めると発表

20日付DefenseOne記事では、PAC-3(ACE)に関し(MSE)と比較しつつ、
●ロッキードの担当部門トップCahil氏は「ロケットモーター、レーダー、電子頭脳部位はより安価なものを使用する」、「最先端のミサイル対処機能の一部が欠けている」、「イランとロシアが最近の攻撃で使用した低技術の短距離弾道ミサイルに対して有効」と説明。
●更にCahil氏は、ACEは「ドローン迎撃用に設計されたものではない」と注意を促しつつ、「現在のスタートアップ企業が未解決のギャップ、つまり、例えば 時速5~600マイルで飛行する露製イスカンデルMをより安価に迎撃するするために設計されたもの」と解説
●同氏は、新型ACEミサイルは2028年生産開始の可能性があるが、各国政府の資金投入額や協力体制構築具合により、より早く生産開始になる可能性もある、と述べた

●ウクライナと米国企業はドローン対処技術に取り組んできたが、「短距離ミサイル防衛」は、ウクライナ製兵器が米国製兵器を代替できない数少ない分野の一つである。
●ウクライナが7月にPAC-3(MSE)を使い果たした際、ロシアは短距離弾道ミサイル攻撃を強化した。この課題対処に多くの企業が弾道ミサイル迎撃兵器開発に着手しているが、今のところ成功した企業はない。

関連で20日付Defense-News記事
●米国の多層ミサイル防衛システムは現在、米陸軍の地上配備PAC-3と高高度防衛ミサイル(THAAD)、更に米海軍イージスシステム利用のSM-3およびSM-6迎撃ミサイルで構成
●4月ロッキード社は、地上配備PAC-3を海軍艦艇の垂直発射管で使用する準備中と発表
●迎撃ミサイル不足に苦悩するウクライナや欧州諸国は、ウクライナ企業と欧州9か国が協力し、PAC-3価格1/6以下(1発1億円以下)を目指し、代替迎撃ミサイル「Freyja」を2027年中完成目指し開発中

【ドローン対処の高出力マイクロ波装置搭載で再利用可な無人機Morfius X-Rotor】
●戦場での敵対的ドローンとその群に、如何に費用対効果高く対処するかは、全ての国にとって大きな課題
●20日にロ社が発表の「Morfius X-Rotor」は、「高出力マイクロ波HPM発生装置」を搭載した、軽量で、回収&再利用可能な無人機
●同社は発表で、「1回の飛行で50機以上の敵ドローンを無力化」可能で、既存の指揮統制システムで使用可能で、特定のセンサーやレーダーに依存しない、とアピール

●Morfius X-Rotorは既に、アリゾナ、オクラホマ及び加州で飛行試験を実施し、迎撃能力を実証確認。今後数ヶ月以内に追加試験を計画。
●ロ社は、機体と高出力マイクロ波装置HPMの試作生産を加速し、前線部隊への迅速な提供を目指していると発表
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隔年開催のFarnborough Airshowですが、これまでは毎回直前に英空軍Fairford基地に世界から参加機を招いて、大規模な「航空機のお披露目デモ飛行イベント」であるRIAT(Royal International Air Tattoo)が開催されていたのですが、2026年は対イラン作戦の最中で、米軍機も存在する同基地のセキュリティー問題からRIATが中止となり、Farnborough航空ショーは企業と関係来訪者が集中し、大混雑が予想されているようです。

ドローンやドローンへの対処兵器など軍用装備に関心が集まる中ですが、民間旅客機分野は「盛り上がりに欠ける」だろうと報道されています。民間機分野は未だに「コロナ禍で大打撃を受けたサプライチェーン」が復活道半ばで、毎回大規模な旅客機商談成立が発表されるのが恒例だった同エアショーですが、今回は・・・だそうです

一部の方には、破談になった独仏西による次期戦闘機開発FCAS関連国が、どのような動きを見せるかも気になるところかもしれませんが、ウクライナの状況を目の当たりにしている欧州諸国から、「戦闘機への資源配分を削減する」流れを期待したいところです。

パトリオットPAC-3関連の記事
「欧州がPAC-3の1/6価格でFreyja開発」→https://holylandtokyo.com/2026/07/01/15097/
「PAC-3を海軍艦艇VLSから発射」→https://holylandtokyo.com/2024/06/10/5945/
「THAADにPAC-3連接試験」→https://holylandtokyo.com/2022/03/18/2820/

ウクライナの迎撃用ドローン関連
「欧米渇望のウ製迎撃ドローン」→https://holylandtokyo.com/2026/03/17/14163/
「ウ軍チームが中東で使用法伝授」→https://holylandtokyo.com/2026/03/23/14252/
「欧で米陸軍が試験しアジアへ」→https://holylandtokyo.com/2025/12/12/13330/
「ウが露ドローンを大量迎撃」→https://holylandtokyo.com/2025/09/18/12797/

FCAS(仏独西の次期戦闘機開発)の終焉
「中止決定」→https://holylandtokyo.com/2026/06/10/14959/
「仏企業トップもあきらめ感」→https://holylandtokyo.com/2026/03/09/14076/
「独首相:もう終わり」→https://holylandtokyo.com/2026/02/27/14019/
「独がGCAP参加を検討」→https://holylandtokyo.com/2026/02/13/13929

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