米空軍が安価巡行ミサイル5年で2.8万発導入へ3企業と合意

現有JASSMは1発2億円強のところ、1発3000万円程度見込
今後5年間で2万8000発を約2兆円でとの構想
FやB翼下搭載のFAMM-L型と、輸送機からパレット投下式のFAMM-Pの2種類
ヘグゼス国防長官肝いりの「調達変革戦略」体現プロジェクト
米陸軍の安価コンテナ型巡航ミサイル計画LCCMも同企業で推進中

7月15日、米国防省は米空軍が進める「FAMM:Family of Affordable Mass Missiles:手頃価格の大量のミサイルファミリー」計画で、従来のJASSMのような高価格の空対地巡航ミサイルには性能が多少劣るが、有用な巡行ミサイルを大量に導入するための基本枠組みに、3企業と合意したと発表しました。

同日付の各種米軍事メディアは「基本枠組み合意」に関し、具体的契約の前段階であるが、企業が3社合計で年間8000発に及ぶ空対地巡航ミサイルを製造する準備を可能とするもので、正式契約は各社ミサイルの「試験と評価」が終了し、

かつ米議会が既に2026年度予算関連法で5年間の長期契約を認めているところを、2027年度関連法で7年の長期契約を公式承認すれば締結されることとなっており、事業としては実質的に成立しているとの論調で本件を報じています。

3企業とその製品ミサイルは、「Anduril社のBarracuda 500」、「CoAspire社のRapidly Adaptable Affordable Cruise Missile:RAACM」、そして「Zone 5 Technologies社のAGM-188 Rusty Dagger」で、いずれも射程280~500nm(450㎞~900㎞)で、これら3企業はLiedos社と共に、同様のミサイル技術を生かした米陸軍用の低価格コンテナ型巡航ミサイル計画LCCM(Low-Cost Containerized Missiles)にも今年5月に選ばれています

米空軍のFAAM計画では、現有JASSM空対地巡航ミサイルが1発2億円強(製造に2年必要)のところ、1発約3000万円程度を念頭に進められており、戦闘機や爆撃機の翼下など搭載のFAMM-L型と、輸送機からパレット投下式のFAMM-Pの2種類を導入し、

米空軍の2027年度予算関連の見積資料では、2028年以降の5年間に約2兆円の予算で、3社合計2.8万発の生産を目指してラインを順次増強し、2031年度には年間約8000発の製造能力を持つ計画となっていると米メディアは紹介しています。

また、この「基本枠組み合意」を国防省は、ヘグゼス国防長官肝いりで進める「調達変革戦略:Acquisition Transformation Strategy」の好例としており、担当国防次官補は、FAMMの取引形態は「武器をより迅速に、従来とは異なる供給元から調達する目的を体現している」とアピールしています。

米メディア報道によれば、具体的には「選定サプライヤー間の競争維持のため、国防省は選定サプライヤーに対し、最低発注単位で設定した固定価格契約で業務を分担させ、生産スケジュールやコスト面で条件をクリアした企業のみが追加発注の資格を確保可能」との方式を採ると報じています。

話は前後しますが、米空軍担当部署は発展版のFAMM計画(FAMM Beyond Adversary Reach)として、巡航ミサイルの「射程延長」も検討しており、4月には「低速船舶を攻撃可能な、射程1200マイル以上の手頃価格の対艦巡航ミサイル」、「艦艇移動情報を随時受信しつつ、時速860キロ以上で飛翔」、「年間1000~2000発製造可能」の条件で情報提供要請を発出しているとのことです。
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記事末尾に示す関連過去記事でもご紹介したように、以前から、War-Game等を通じて関係者間では問題視されてきたが、近代の戦いでは巡航ミサイル等の精密誘導兵器の消費量と消費ペースがすさまじく、1発2億円強もするJASSMやLRASMのような対地対艦兵器ではとても戦いを継続不可能で、

目標に応じた手頃価格の兵器オプションが不可欠・・・との認識が、ウクライナ紛争や対イラン作戦を通じ、米軍上層部だけでなく、米国防省の文民指導者や米議会や専門家間で急速に共有された結果、米空軍のFAAM計画や米陸軍のLCCM計画の急速な進展に繋がっています

上記で取り上げた各ミサイルの具体的性能まで把握できていませんが、機会があれば取り上げたいと思います

米空軍のFAMM計画(5年で2.8万発を約2兆円で)
輸送機からパレタイズ投下も含む多様な安価巡行ミサイル調達
「米空軍2027年度予算案の情報」→https://holylandtokyo.com/2026/05/18/14668/

米陸軍も低コストコンテナ型ミサイル計画
「LCCM計画3年で1万発」→https://holylandtokyo.com/2026/05/22/14776/

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