前年「2025 AVPLAN」の「Project Eagle」深化
分散運用(DAO)と高度指揮統制(DCAO)の強化
F‑35のB及びC型バランスの変更・飛行隊規模拡大
岩国海兵隊の戦力配備や今後は?
5月8日付Defense-Newsは、2月発表の最新の海兵隊航空戦力計画(2026 AVPLAN :2026 Marine Aviation Plan)に基づき、米海兵隊のF/A-18戦闘攻撃機飛行隊が「2030年までに」任務終了となることに伴い、海兵隊のF/A-18整備員職域を同時期に合わせて廃止すると部隊に示し、同整備員にF-35整備員への職種転換を推奨すると、同5日に米海兵隊が通達指示したと報じています
本日は、この通達指示の背景にある2月発表の「2026 AVPLAN」と、その根源となる前年「2025 AVPLAN」で示された抜本的改革「Project Eagle」の柱である、「分散運用(DAO)
と高度指揮統制(DCAO)の強化」方針や「F‑35戦力バランスの変更・飛行隊規模拡大」について、岩国海兵隊の状況も踏まえ、遅ればせながら簡単にご紹介いたします。
米海兵隊は、開発遅延を繰り返した「問題児F-35」を、米軍の中でも最初にF-35導入&運用開始した軍種で、垂直離着陸可能なB型で2015年に初期運用可能態勢を宣言し、2018年9月には強襲揚陸艦Waspから発進させ、初の実戦投入をアフガン攻撃作戦で成功させた「積極進取」な部隊で、対中国でも米空軍より積極的に分散運用や兵站改革等の改革に取り組んでいますので、ご参考になればと思います。
「Project Eagle」を中核とした2026 AVPLAN は、「分散・データ主導・AI統合・持続性強化」へ大転換する計画で、以下の5本柱で構成
(1)DAO(Distributed Aviation Operations)=分散航空運用の本格実装
・小規模分散の前方拠点から戦力運用、EABO(遠征前方基地作戦)と完全連動
・敵のA2/AD環境で生存性を高め、持続的な航空支援確保
(2)DCAO(Decision‑Centric Aviation Operations)=AI/データで意思決定優位の確立
・AI/ML(AIと機械学習)活用で「敵より速く判断し速く行動」
・Project Dynamis(海兵隊デジタル化計画)とCJADC2(統合全領域指揮統制)に連動適合
(3)AGS(地上支援体制Aviation Ground Support)強化に第7の航空機能として格上げ
・DAOの生命線たるAGSの役割「燃料、電力、整備、移動、滑走路等インフラ」
・AGSの近代化に新装備の導入、 分散拠点で自立運用能力強化、兵站脆弱性補完に部隊再編
(4)AI/MLを活用した兵站・整備・運用の全面改革とデジタル化
Dynamic Aviation Supply(動的航空補給)
• 「集中型補給」から「分散・機動型補給」へ
• AIで故障率や部品需要予測し、部品パッケージ(ASP/BSP)準備
Predictive Maintenance(予測整備)
• 「壊れてから直す」から「壊れる前に直す」へ
• F‑35、MV‑22、KC‑130J予測にAI導入、整備員教育にもAI
Optimized Operations(運用最適化)
• 飛行計画と整備計画、部品供給をAI統合管理
• 「航空運用の自動化」が目標
(5)長期的(2026–2040)な航空戦力近代化ロードマップ
・3段階に区分:FYDP‑1(2026–2030)、FYDP‑2(2031–2035)、FYDP‑3(2036–2040)
・それぞれを「Fight Tonight」、「Bridge the Gap」、「Future Fight」と命名
米海兵隊のF-35体制構想は(2025 AVPLANから変化なし)
●現在約260機を保有し、2035年度完成予定の420機体制に向け移行中
●F-35B導入予定を353機→280機へ減、C型導入を67機→140機へ増
●米海兵隊は2026年末で、各種14飛行隊に、F-35B型205機とC型56機を配備
●将来的には20個飛行隊で、F-35B型280機(12飛行隊)とC型140機(8個飛行隊)体制へ
●1個F-35飛行隊の規模を6機又は10機から12機に拡大中
岩国基地配備の航空戦力に関し、
●2024年度に岩国配備機はF/A-18からF-35Bに移行完了
●1個飛行隊規模の10機から12機への増強も完了
●常駐F‑35Bの数は「32機」で変化なし
・正式配備部隊2個24機:VMFA‑121(12機)とVMFA‑242(12機)
・予備機・訓練機を8機
●2026 AVPLANでの変化事項
・常駐32機以外のローテーション増強機が完全にF/A-18からF-35Bへ移行
・2025年春にローテーション機が増強され展開機合計が40機超状態となったが、今後もローテーション増強による「一時的増強」が増え、実態としての展開機数が継続的に増える可能性大
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米海兵隊の計画が全てうまく進んでいるわけではありませんが、グダグダのF-35も早めに取り込んで中核戦力化し、いち早く対応に集中できる体制を確立できたのは、AV-8の老朽化問題もあったとは言え、海兵隊の意思決定を行う中核幹部が「F/A-18やF-35操縦者」ではなく、海兵隊の地上部隊を支える歩兵や砲兵や戦車部隊幹部だったからだと「まんぐーす」は考えています。
これら海兵隊中核幹部は、対中国を想定した西太平洋での戦いの変化を真摯に受け止め、自らの出身母体である「歩兵や砲兵や戦車兵」部隊をスクラップし、西太平洋の島々を機敏に移動し、中国艦艇の動きを発見監視追尾して、情報を攻撃部隊である海空軍にリアルタイム通報するISR部隊や、自らも機に乗じて攻撃可能な対艦攻撃部隊へ再構築する決断を下した人たちであり、だからこそ畑違いの航空部隊にも機敏な対応や変革を要求できるのだと思います。
米海軍や空軍の「戦闘機乗り」達は、自己の組織や操縦者ポストの保身を図り、「過去の成功の最大の犠牲者」となる道を突き進んでいる様にしか見えません
米海兵隊最新の航空戦力整備計画「2026 Marine Aviation Plan」
→https://media.defense.gov/2026/Feb/10/2003873872/-1/-1/0/260210-USMC-2026-AVIATION-PLAN.PDF
米海兵隊の航空戦力構想
「3年ぶり航空戦力構想2025」→https://holylandtokyo.com/2025/02/13/10792/
「F-35開発遅延の影響」→https://holylandtokyo.com/2025/01/29/10591


